ごみの分別回収に協力しない市民や事業者への罰則を条例で定めている横浜市は19日、戸塚区のアパートに住む一人暮らしの男性に2千円の過料を科すことを決めた。ごみの分別違犯者への罰則を規定した条例は群馬県富岡市にもあるが運用実績はなく、分別ルールに従わなかったことを理由に「一罰百戒」が適用されるケースは、今回が全国初とみられる。
 市によると、男性は今年2月、燃やすごみの収集日に、再利用が可能なペットボトルなどの資源ごみと家庭ごみなどを分別せずに出していたことが市のごみ袋開封調査で判明。市は2月以降、「市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」に基づき、男性に対して計3回にわたって分別のルールに従うよう「指導」「勧告」「命令」の順に改善を求めた。
 しかし、今年7月の命令後の9月にも同様のルール違反が確認されたため、市では「命令後1年以内に分別をしないでごみを出した場合は過料徴収する」との規定に該当すると判断し、過料処分を決めた。決定に先立ち、男性には書面による弁明の機会があることが市側から説明されたが、男性から弁明はなかったという。罰則制度は2007年9月、関係条例を改正して創設され、昨年5月から運用されている。
 「手間をかけて分別ルールを守る市民がいる一方で、分別のルールに従わない人がいることは不公平感を抱かせる」ことなどが制度創設の理由で、今年9月までの分別違反者に対する指導は約5300件あり、勧告は28件。命令は初の過料処分となったこの男性の例を含めて3件となっている。
 間違ったり勘違いで分別違反をした住民を罰則対象から外すため、市は「分別違反のごみの量がごみ袋の3割以上を占めている場合」を違反と認定する際の目安にしているという。
 一方、ごみ分別違犯者に最高で3万円の過料を科す条例を06年3月に全国で初めて制定した富岡市は、これまで過料を徴収した例はない。
 同市の担当者は「故意にごみの分別ルールを守らないといった悪質な例がない上、違犯者を特定するのが難しい。いまのところ抑止力としての過料規定はあっても、適用する考えはない」と話している。

同記事では,横浜市において,同市の「横浜市廃棄物等の減量化,資源化及び適正処理等に関する条例」に基づき,過料を徴収されたことを紹介.同制度については,同市HPを参照*1
同過料に関しては,同条例第51条に規定.同条例では,「一般廃棄物処理計画に定める分別の区分に従わずに家庭から排出される廃棄物を排出していると認めるときは,当該占有者等に対し,改善その他必要な措置を講ずるよう」にと,「命令を受けた日から1年以内」で,「一般廃棄物処理計画に定める分別の区分及び排出方法に従い,家庭から排出される廃棄物を排出しなければならない」という「規定に違反して一般廃棄物処理計画に定める分別の区分に従わずに家庭から排出される廃棄物を排出した者は,2,000 円以下の過料に処する」*2こととされている.その把握に関しては,同「市職員」が「分別されていないごみ袋が集積場所に出されていた場合,袋を開けるなどし,これを出した家庭を特定」することとされており,「分別ができる状況にあるのに,指導,勧告,命令をしても,改善されず」「命令から1年以内に分別しないでごみ出しをした場合に過料の対象」*3となる.
「条例の履行確保手法」*4となりながらも,「厳格なルールと緩やかな執行」*5とも整理されそうな過料.同記事の場合,その執行のための「編成(organization)」(148頁)としては,「高度の不確実性が多数の潜在的な」(117頁)関係者から構成されるため,確かに,上記の同市HP内にも明記されているように「プライバシーの問題もあり,トラブルになることも考えられ」るものの,「編成のより混合した形態を模索」(同頁)を考慮することも一案か.興味深い.

*1:横浜市HP(資源循環局環境事業)「分けて出すのがハマルール

*2:横浜市HP(資源循環局環境事業分けて出すのがハマルール)「横浜市廃棄物等の減量化,資源化及び適正処理等に関する条例

*3:横浜市HP(資源循環局環境事業分けて出すのがハマルール)「Q&A

*4:北村喜宜「行政罰・強制金」磯部力・小早川光郎・芝池義一『行政法の新構想Ⅱ』(有斐閣,2008年)139頁

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法

*5:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)79頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

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