京都市は21日、新しい交通政策計画「歩くまち・京都総合交通戦略」を策定した。12月の審議会答申通り、四条通東大路通の歩道拡幅や京都駅八条口の整備など88施策を盛り込んだ。また23日付けで「歩くまち・京都憲章」を制定し、来年度から歩行者、公共交通優先のまちづくりに本格的に取り組む。
 計画では重点施策として、一般車両の通行抑制を図る四条通の「トランジットモール化」や、東大路通の歩道拡幅などを明記。四条通は烏丸−川端(1・1キロ)、東大路通は三条−七条(2・4キロ)を市は想定しているが、地元合意が必要なため、時期や区間は明示しなかった。
 また京都の伝統行事の時期に合わせ、特定地域に自動車利用の自粛を呼びかける「京都スローライフ・ウイーク」や、パークアンドライドの通年化を早期に実施する。次世代型路面電車(LRT)導入や、通過車両に課金して交通量を抑制する「ロードプライシング」も検討課題とした。
 憲章には「市民一人ひとりは環境に優しい、歩いて楽しい暮らしを大切にする」とうたい、小学校の副教材として使用するなどして周知を図る。戦略を推進するため、市は本年度中に副市長をトップとする本部を設置する。来年度中には、進ちょく状況を精査する有識者らの推進会議を設ける。

本記事では,京都市における交通に関する戦略及び憲章を制定されたことを紹介.同憲章に関しては,同市HPを参照*1
「憲章」に関しては,その本文では「わたしたちの京都では、市民一人ひとりは,1 健康で、人と環境にやさしい、歩いて楽しい暮らしを大切にします.そして,市民と行政が一体となって、1 だれもが歩いて出かけたくなる道路空間と公共交通を整え,賑わいあるまちを創ります.1 京都を訪れるすべての人が,歩く魅力を満喫できるようにします」*2と定めており,「日本で初めて,歩くことを中心としたまちと暮らしに転換するための行動規範」*3であるという.「制定日」は,本日「平成22年1月23日」とされており,「「いち,にい,さん」と「歩くまち・京都」の第一歩を歩み出す日」との含意があるとのこと.なるほど,分かりやすい.
また,「戦略」に関しては,「自動車利用の制限を含めた様々な抑制策等を通じて,クルマを重視したまちと暮らしを,「歩く」ことを中心としたまちと暮らしに転換」することを「基本理念」として,「「既存公共交通」の取組」,「「まちづくり」の取組」,「「ライフスタイル」の取組」の「3つの柱」を「に密接に連携させながら推進」*4.しつつ,「交通手段別分担率の目標」として,「非自動車分担率」を「現在」の「約72%」から「80%超」を目標として,「自動車」を現在の「28%」から「20%以下」,「鉄(軌)道」を「16%」から「20%」,「バス」を「6%」から「10%」,「徒歩・二輪」を「50%」(「内訳」は,「徒歩24%,自転車19%,バイク7%」)から「50%超」*5とされている.
必ずしも厳密には区分することは難しいものの,「公共交通中心型都市モビリティ」と「個人交通中心型都市モビリティ」*6の2つの「シナリオ」を「想定」*7された場合,同市で後者のシナリオに比重におかれた取組となりそう.興味深い.同戦略の具体化に関しては,来年度の講義・演習の素材の一つでもあり,要経過観察.

*1:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口歩くまち京都推進室広報資料)「「歩くまち・京都」憲章の制定及び「歩くまち・京都」総合交通戦略の策定について(都市計画局,2010年1月22日)

*2:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口歩くまち京都推進室広報資料)『「歩くまち・京都」憲章(平成22年1月23日制定)

*3:前掲注1・京都市(「歩くまち・京都」憲章の制定及び「歩くまち・京都」総合交通戦略の策定について)1頁

*4:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口歩くまち京都推進室広報資料)『「歩くまち・京都」総合交通戦略』(京都市,2010(平成22)年1月))5頁,6頁

*5:前掲注4・京都市(歩くまち・京都」総合交通戦略)4頁

*6:加藤浩徳「都市と交通」城山英明, 角和昌浩, 鈴木達治郎編著『日本の未来社会』(東信堂,2009年)92頁,94頁

日本の未来社会―エネルギー・環境と技術・政策

日本の未来社会―エネルギー・環境と技術・政策

*7:前掲注6・加藤浩徳2009年:95頁