児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

少女買春:自衛官を起訴猶予処分−−長崎地検 /長崎

 統計的には6%位の確率です。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20051201/1133447676
 こういう情状面を早期に把握して、捜査機関にアピールするのが捜査弁護。

少女買春:自衛官起訴猶予処分−−長崎地検 /長崎
2005.12.02 地方版/長崎 21頁 (全188字) 
同地検は起訴猶予の理由について「買春の事実は認められるが、情状面で他の3人とはやや異なる」としている。
毎日新聞社

児童ポルノ製造罪と他罪との関係↑→

 前提となる性犯罪との罪数関係については、具体的事案にもよりますが、一般的にはこうなるのではないか。


 強姦罪・児童買春罪の場合は、実行行為が、「姦淫」・「性交等」と限定されていて、製造罪の実行行為(撮影が中心)と重ならないから。1個の行為と評価できないから。
 その他の罪の場合は、実行行為は「わいせつな行為」「みだらな行為」「淫行」と比較的広いので、製造罪の実行行為(撮影が中心)と重なることが多いから。1個の行為と評価できるから。埋没、包含、包摂、内包の関係。 

最高裁S49.5.29大法廷・判決
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/FMainOpendoc?OpenAgent&%28%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%20%3D%20%22%8DC5%8BDF%22%20%29%20%20%4F%52%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%31%5D%20%3D%22%8C59%8E96%22%20%41%4E%44%20%28%4E%4F%54%20%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%3D%22%8DC5%8BDF%22%29%29%20%29%20%41%4E%44%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3E%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29%20%41%4E%44%20%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3C%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29&1&0730DF3286B1E21B49256A850030AB22
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/FMainOpendoc?OpenAgent&%28%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%20%3D%20%22%8DC5%8BDF%22%20%29%20%20%4F%52%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%31%5D%20%3D%22%8C59%8E96%22%20%41%4E%44%20%28%4E%4F%54%20%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%3D%22%8DC5%8BDF%22%29%29%20%29%20%41%4E%44%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3E%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29%20%41%4E%44%20%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3C%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29&1&F37AC1BF6238604A49256A850030AB23
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/FMainOpendoc?OpenAgent&%28%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%20%3D%20%22%8DC5%8BDF%22%20%29%20%20%4F%52%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%31%5D%20%3D%22%8C59%8E96%22%20%41%4E%44%20%28%4E%4F%54%20%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%3D%22%8DC5%8BDF%22%29%29%20%29%20%41%4E%44%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3E%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29%20%41%4E%44%20%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3C%3D%20%31%39%37%34%2F%30%35%2F%32%39%29&1&0E727151142EF4DD49256A850030AB24
しかしながら、刑法五四条一項前段の規定は、一個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう一個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上一個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。

長野地検は閲覧許可・他言は無用

 判決書(被告人・被害者のプライバシー事項は除く)を見せるけど、秘密にしてくれって。

 この程度のメモなんですけどね。 

長野地裁平成 年 月 日
懲役○年 
1 月 日 ×市 ホテル 被害者A 4万円の対償供与の約束し性交
2 月 日 被告人宅 被害者b ○市 2万円の対償供与の約束し性交
4 同日、同場所において 被害者b 3項製造罪 携帯電話
法令適用
 併合罪
 犯情が最も重い判示第 の罪に加重。

「七回にわたる、京都市内ほか数か所における不正アクセス行為は包括一罪」東京地裁h17.3.25

控訴事件が来たので、ちょっと虫干し。

  (罪となるべき事実)
 被告人は、法定の除外事由がないのに、平成一五年一一月六日午後一一時二三分五五秒ころから同月八日午後三時四七分五〇秒ころまでの間、合計七回にわたり、別紙
一覧表記載のとおり、京都市内ほか数か所において、パーソナルコンピュータから電気通信回線を通じて、アクセス管理権者である大阪市中央区安土町《番地略》甲野ビ
ル三階乙山株式会社が大阪市内に設置したアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバコンピュータに、当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れる
ことができる指令を入力して上記特定電子計算機を作動させ、上記アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせ、もって、不正アクセス行為をし
たものである。

 (法令の適用)
 罰条 包括して不正アクセス行為の禁止等に関する法律八条一号、三条一項、二項二号
 刑種の選択 懲役刑を選択
 刑の執行猶予 刑法二五条一項
 訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

 なお、東京高裁は反対。

東京高裁H15.6.25
第2 法令適用の誤りの論旨について
所論は, 原判決は,原判示第1 の罪と同第2 の罪を併合罪としているが,両者の行為は客観的に行為態様及び侵害した法益の点で共通性を有し, 時間的にも接着し,主観的にみても・・・という共通した目的が継続した状態で行われており,侵害法益の個数は実質的に1 個といえるから包括一罪と評価すべきであるという。
しかしながら,原判示第1 の行為は勤務先のコンピュータから不正アクセスをしたもので, 同第2 の行為は自宅のパソコンから同一サーバへのアクセスをしたもので,時間的接着性や犯意の継続性はあるとしても,犯行場所やアクセスの経路が異なり, 自宅での不正アクセスは, 自宅のパソコンにファイルをダウンロードする目的で行われており,不正アクセスによる法益侵害の程度,態様が同一とはいえず, これを併合罪と評価した原判決の判断に誤りはない。

上記東京高裁事件の原判決。

東京地裁判決h14.12.25
不正アクセスの禁止等に関する法律達反被告事件
(犯罪事実)
被告人は,他人の識別符号を使用して不正アクセス行為をすることを企て,法定の除外事由がないのに.
第1 平成14年3月18日午前3時50分ころ,東京都○○所在の株式会社Sにおいて,同社に設置されたパーソナルコンピューターから,電気通信回線を通じて,Mが同人方に設置し管理するアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバーに,Wを利用権者として付された識別符号であるユーザーID「ABCD」及びパスワード「ABCD」を入力して上記特定電子計算機を作動させ,アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせ,
第2 同日午前7時7分ころ,県××の被告人方において,同所に設置されたパーソナルコンピューターから,電気通信回線を通じて,前記Mが設置し管理するアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバーに,前記Wを利用権者として付された識別符号であるユーザーID「ABCD」及びパスワード「ABCD」を入力して上記特定電子計算機を作動させ,アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせた。

児童ポルノビデオを隠し持つような被告の性癖が離婚事由として主張された事例(東京地裁H17.5.30)

 警察の目は届かなくても、妻の目にも注意。

東京地方裁判所判決平成17年5月30日
第1 請求
原告と被告とを離婚する。
第2 事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,原告と被告の婚姻関係が破綻したのは,児童ポルノビデオを隠し持つような被告の性癖と,原告に対する被告の暴力を原因とするものであると主張して,離婚の請求をしたところ,被告が,破綻の原因は,原告とA(以下「A」という。)との不貞関係にあり,原告は有責配偶者であると主張して,これを争った事件である。

「児童買春罪の証拠を消してください」という相談には応じられない。

 児童買春罪の最大の証拠は被害児童(の証言・供述調書)である。
 それを消すというのは、児童買春罪よりも重い罪である。

 また、「黙らせる」というのも、当てにならない。
 昔の援助交際、次の援助交際で補導されれば、ぺらぺら喋る。
 痴漢えん罪事件などでは、児童・少年の虚偽供述の危険性(記憶能力、捜査官の誘導に乗りやすい等)が問題になっているが、真実供述は止められないだろう。

 また、証拠隠滅は、発覚した時に、責任が加重されるのは当然である。