児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

各学校でセクハラやわいせつ行為の恐れがある苦情やうわさをまとめ、報告するよう求める。(群馬県)

 先生に強姦される県。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/gnm/20070316/lcl_____gnm_____002.shtml
県内ではほかにも、かつての教え子数人とみだらな行為をした元音楽教諭が二月に強姦(ごうかん)容疑で再逮捕。三月にも公立小臨時教諭が強制わいせつ容疑で逮捕されている。昨年十一月には、旅館の露天風呂を双眼鏡でのぞいた小学教諭も減給三カ月の懲戒処分を受けている。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000138-mai-soci
対象は県内すべての公立小中高605校。この日、前橋市で開かれた全公立学校長会議での指示によると、校長は教師全員にアンケートか面談。他の教師に「特定の教え子と親密過ぎる」「必要以上に身体に触れる」「校外で私的に会う」などのうわさや、保護者らからの苦情がないかを調べ、件数と内容を28日までに県教委に報告する。全38市町村教委にも苦情件数や各校の対応などの報告を求めた。
 調査結果は、内容に応じて緊急に対応し、4月以降に結果をまとめる。
 同県の教師が昨年末から、4人も教え子へのわいせつ容疑で逮捕されたための緊急対策となる。内山征洋・県教育長は「不祥事を防ぐには、うわさや苦情を徹底的に調査すべきだ。広く情報提供をお願いしたい」と話した。

東京地裁に送られてきた手紙を紹介した事例(東京高裁h19.3.16)

 みなさん裁判所に手紙書きましょう。

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007031601460.html
 小坂裁判長は判決理由読み上げ後、堀江前社長に向かい、東京地裁に送られてきた、ハンディキャップのある子どもを持つ母親からの手紙を紹介し始めた。
 「大きな夢を持ち、会社を起こし、上場企業までにした被告に対し、あこがれに似た感情を抱いて働く力をもらった。ためたお金でライブドア株を購入して今でも持ち続けている」。手紙にはそう書かれていたという。
 小坂裁判長は「被告のこれまですべての生き方を否定されたわけではない。この子のように勇気づけられた多くの人がいる。罪を償い、その能力を生かし、再出発を期待している」と諭した。堀江前社長はそれを聞きながら、何度も深くうなずいていた。

規則
第221条(判決宣告後の訓戒)
裁判長は、判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることができる。

 法廷にそんなの持ち出されると堪りませんが。
 「適当な訓戒」に当たらないという控訴理由がでるかもしれません。

富田邦敬「サイバー犯罪における買受け捜査の活用について」捜査研究 第669号

 児童ポルノ罪に被害者とか権利侵害を重視すれば、買い受け捜査はどうなんでしょうね?
 痴漢が多いからって、被害者自身ををおとりとして泳がすとか、できますか?

前述の犯意誘発当型性か機会提供型かは,相手方が既に犯意を有しているか否かという主観的要素によって決定されるわけであるが,実務的には客観的に見て働きかけの態様が犯意を誘発するものかいなかが大きな意味を持つ
福岡高裁那覇支部H17.3.1公刊物未掲載
しかしながら,例えば,警察官がインターネット上において,身分を秘してわいせつ図画等の違法物品の販売者を募り,それを知った者が警察官に販売した場合や,違法ではないDVD販売のみを広告している対象に対し,警察官がわいせつ物等の購入を強く要望し,たまたま購入できた場合等は,相当性を欠き違法な捜査とされる可能性がある。

大橋充直「検証 ハイテク犯罪の捜査 第63回 ハイテク犯罪情状立証(結果と実害ほか)」捜査研究 第669号

 奥村が弁護人として関与した事件が数件紹介されています。
 保護法益の侵害だけでなく、実害で量刑されるんだって。
 そんなことは百も承知。
 児童の自転車に児童ポルノを貼り付けたという児童ポルノ公然陳列事案においては、貼り付けられて気分を害した児童に被害弁償したという例もあります。

ボーダーライン

 3号ポルノの「衣服の全部又は一部を着けない」というのは、そんなに微妙じゃないですよ。
 社会通念。
 Tバックなんて海岸・プールでもいないのならだめ。
 パンツが食い込んでるのもだめ(金沢支部

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/43452/
「ポルノか否かのボーダーラインなので処罰はしにくい」と法律家がコメントしていたが、何を言っているんだと思った。法のその曖昧(あいまい)さにつけこんで、今も沢山の子供たちがぎりぎりのやり方で搾取され、将来をねじ曲げられているのに、「裸はまずいが、Tバックの水着は境界線上です」などといって、放置しておくことこそ罪だ。表現の自由より、子供を守ることが優先されるべきは当然、そこに曖昧はない。
 それにしてもだ。これだけ性の情報が氾濫(はんらん)していながら、子供が搾取されているのかどうか判断さえできない大人ばかりの日本人は、あまりにも幼稚である。(漫画家・さかもと未明

第2条(定義)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童淫行罪と児童ポルノ製造罪が違法性阻却される場合。

 「先生と結婚する生徒もいるんだから一概に児童淫行罪というのは、酷だろう」という控訴理由でした。
 児童淫行罪って支配関係で事実上の影響力の下で性交・性交類似行為やってるんですけど、違法性阻却するといっても、極めて限定的ですよね。

 ちなみに「るる」って「ルル」じゃなくて「縷々」って書くんですよ。漢字で書いてくれても読めますよ。見慣れていますから。

札幌高裁H19.3.8
2違法性が阻却されるとの控訴趣意について(控訴理由第10及び第11)
論旨は,要するに,児童の真撃な承諾があり,かつ,被告人と児童が本件当時結婚を前提に相思相愛の関係で交際していたのであって,児童淫行罪及び児童ポルノ製造罪は,いずれも違法性を阻却するのに,両罪を認定した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
そこで,検討するに,なるほど,児童との真筆な交際が社会的に相当とされる場合に,その交際をしている者が児童の承諾のもとで性交しあるいはその裸体の写真を撮影するなど,児童の承諾があり,かつ,この承諾が社会的にみて相当であると認められる場合には,違法性が阻却され,犯罪が成立しない場合もありうると解される。
しかし,本件においては,・・・こと等に照らすと,被告人の児童との交際は真撃なものとはいえず,いかに相思相愛の関係であっても,また,児童の承諾があってもそれが社会的にみて相当とは到底いえない。したがって,本件においては違法性は阻却されない。
所論は,児童の真撃な承諾があり,かつ,結婚を前提に交際している等の状況があっても児童ポルノ製造罪が成立するのであれば,児童ポルノ法7条3項は,過度に広汎な規制であるから,憲法21条に違反し無効であるというが,児童ポルノ法7条3項の規定が過度に広汎な規制であるということはできず,所論は採用できない。
その他所論がるる述べる点を考慮検討しても,論旨は理由がない。

岡邦俊「続・著作権の事件簿(100) ファイル共有・交換ソフトの公開と著作権法違反の幇助罪の成否 『Winny』刑事事件」JCAジャーナル 第54巻2号

 刑法的には、正犯者を覚知してなくても幇助ですよね。
 刑事裁判官は著作権法なんて知らないので、そこを学習させないと、民刑は一致しません。

「幇助」の拡張解釈の限度
「幇助」の概念をどこまで拡張できるかについての論点として,「正犯を間接に幇助した場合」があり、その場合でも幇助が成立するというのが判例の流れのようです。すなわち、幇助者は正犯が最終的に誰によって実行されるかを確知する必要はなく、例えば、被告人が、「甲またはその知人が不特定多数者のために上映するであろうことを知りながら」わいせつフイルムを甲に提供し、実際には甲の知人の乙がこれを上映した場合でも、正犯乙の「わいせつ物陳列」罪を間接的に幇助したものとされています(最高裁判例解説・刑事編・昭和44年度・p277)。
公益と私権の混同
しかし、本件では、金子氏は,正犯A、BがWlnnyをダウンロードするであろうことや、Winnyを起動してゲーム-ムソフトを送信可能化するであろうことを具体的に知る由もないのです。金子氏が予知し得る「正犯」は、不特定多数の「公衆」そのものであり、金子氏が予知し得る送信対象の著作物は、市販の音楽ソフトまたはゲームソフトの総体そのものです。
すなわち、複数の潜在的な正犯該当者のうちの少なくとも1人を知っていることを前提とする「間接封助」論などの拡張解釈を本件に適用する余地はないのです。
言い換えれば、著作権は、基本的には私権であり、著作権侵害の罪が権利者の告訴を条件とする「親告罪」であるのも、著作権の私権性に由来するものです。かりに、金子氏の「不特定多数の者に対する『価値中立的』な技術の提供」が著作権秩序という公益を侵害するというのであれば、非親告罪の刑罰法規をすみやかに立法化すべきです。本判決は,公益の侵害を私権の侵害として処罰している点で、基本的な誤りを犯すものと評すべきでしょう

大友信秀「著作権侵害行為の幇助的行為と刑罰規定−いわゆるWinny事件を契機として−」知財管理

大友信秀「著作権侵害行為の幇助的行為と刑罰規定(その1)−いわゆるWinny事件を契機として−」知財管理 第56巻7号
大友信秀「著作権侵害行為の幇助的行為と刑罰規定(その2)(完)−いわゆるWinny事件を契機として−」知財管理 第56巻8号

怒りあらわに堀江被告弁護人

 被告人のショックが倍増するので、奥村は、微妙な事件の時は判決予測はしません。
 「求刑懲役4年」の時とかは「五分五分ですね」と答える。弱気だから
 自信があるときは、受任の時に量刑予測告げる。
 被告人もそういう空気を読んで欲しいなあ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000005-yom-soci
この点について、高井弁護士は「検察の捜査や起訴が厳正さや公正さを欠いていることを認めているのに、おかしい。実刑判決は常軌を逸している」とし、「堀江被告には事前に、『実刑は考えられない』と伝えてあった。私にとっても堀江被告本人にとっても意外な判決だ」と述べた。

出会い系に小学6年生

 こんなことがあるので、、出会い系が18禁だからといって、相手が18歳以上だという言い訳にはなりません。

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070316-170469.html
携帯電話の出会い系サイトで知り合った釧路市の女児と同市内などをドライブ。その間に小学生と知りながら胸や下半身を触るなどいかがわしい行為をした疑い。容疑者は容疑を認めている。
 事件当日、少女から話を聞いた母親が釧路署に通報して発覚した。

「いかがわしい」というのは北海道の方の言い回しで、「わいせつ」「みだらな」と同義ですね。