児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

抱きつき強制わいせつ事件について、原判決後に示談できたことを考慮して、「懲役1年6月執行猶予4年保護観察」の原判決を破棄して、「懲役1年2月執行猶予3年保護観察」とした控訴審判決。

 保護観察を取ってくれと言う量刑不当の控訴理由でした。
 被告人が保護観察は面倒だというので、そういう控訴をときどきしますが、取れませんね。

刑法学会です。

http://www.clsj.jp/sir/87/index.htm
「記念大会」とかいって、難しい話ばっかりですね。

追記
見た目怖い高裁判事が昼食会場の入口付近に座ってるので、外で食べてきました。
 西原先生の講演は「日本刑法はワビ・サビの思想である。」
 ロクシン先生の講演は、ドイツ語で通訳なし。2時間。

上告棄却されていない事件

 被告人から、どうなってるのかと聞かれました。
 1年くらい掛かってるのは
  東京高裁H20.8
  札幌高裁H19.3
  大阪高裁H20.10
  大阪高裁H19.12
  大阪高裁H19.8
です。
 奥村弁護士の上告はこれくらいかかるということで。

種子島の児童買春事件

 狭い島内でも出会い系サイト経由です。親も警戒していないと思いますが、携帯持たせたら、リスクは都市部と同じです。大人は遠くから来ますから。
 離島の事件って、意外に処分が軽かったりします。

http://www.mbc.co.jp/newsfile/news-v/00147804_20090527.shtml
種子島警察署の発表によりますと4人は、去年12月から今年3月にかけて、携帯電話の出会い系サイトで知り合った県内の女子高校生に対し、18歳未満と知りながら現金を渡すなどしてみだらな行為をした疑いが持たれています。取り調べに対し、4人は逮捕容疑を認めているということです。被害者の女子高校生は合わせて3人で、同じ高校に通う生徒でした。

裁判員候補者に被害者名告げず 性犯罪の選任手続き

 裁判員には顔も名前も知られることになります。
 証人尋問されることになれば、傍聴人とは遮蔽するとしても、裁判員とは対面することになりますし、裁判員から素人的な質問があるかもしれません。
 特に重い被害を受けた上に、新たに素人の目にさらされるということは、従来より被害者の負担が増すことは間違いありません。
 被害者の調書が不同意にされた場合、被害者が尋問を拒めば、無罪になるという意味で、被害者は証言を強制されるので、証言して有罪にするか・証言避けて無罪を甘受するかの厳しい選択を迫ることになります。

http://news.fresheye.com/article/fenwnews2/1100000/20090530083557_ky_tk2009053001000115/a/index.html
裁判員候補者に被害者名告げず 性犯罪の選任手続き
 裁判員裁判を実施する各地裁は、強姦致傷など性犯罪の裁判員選任手続きで、候補者に被害者の氏名は明かさず、イニシャルや年代などにとどめ裁判長が個別の質問で被害者の関係者かどうか確認する見通しであることが、最高裁への30日までの取材で分かった。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
第56条(証人等に対する尋問)
裁判所が証人その他の者を尋問する場合には、裁判員は、裁判長に告げて、裁判員の関与する判断に必要な事項について尋問することができる。
第57条(裁判所外での証人尋問等)
裁判員の関与する判断に必要な事項について裁判所外で証人その他の者を尋問すべき場合において、構成裁判官にこれをさせるときは、裁判員及び補充裁判員はこれに立ち会うことができる。この尋問に立ち会った裁判員は、構成裁判官に告げて、証人その他の者を尋問することができる。
2 裁判員の関与する判断に必要な事項について公判廷外において検証をすべき場合において、構成裁判官にこれをさせるときも、前項前段と同様とする。
第58条(被害者等に対する質問)
刑事訴訟法第二百九十二条の二第一項の規定により被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。)又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述したときは、裁判員は、その陳述の後に、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。

ユニセフは個人的法益説で、立法と解釈運用は社会的法益であること

 こんなこと言ってたんですね。
 提供罪では被害者の存在を捨象したような解釈が主流です。
 直に撮影する行為である単純製造罪の保護法益は個人的法益ではないという裁判例もあります。
 このままで厳罰化の改正を求めても社会的法益説に偏るだけです。
 知らぬが仏でしょうか。

http://www.unicef.or.jp/about_unicef/advocacy/his030905.html
子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」第3条1.は、「各締約国は、最低限、次の行為および活動が、このような犯罪が国内でもしくは国境を越えてまたは個人的にもしくは組織的に行なわれるかを問わず、自国の刑法において全面的に対象とされることを確保する」と定め、そのような行為および活動として、同条1.(c)において、「第2条(c)で定義された子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持すること」と定めています。
したがって、当協会は、最低限、「子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持すること」については、日本国の刑法において全面的に対象とされるべきと考えます。 また、当協会は、「子どもポルノ」は社会法益を侵害するからではなく、子どもの尊厳という個人法益を侵害するが故に犯罪なのであると考えています。実在の子どもを描いたポルノが誰かに見られる毎に、その子どもの尊厳は侵害されるのですから、子どもポルノの単純所持・単純製造も子どもの尊厳・権利を侵害する行為であり、「子どもの権利」を侵害する犯罪であると考えます。

性暴力ゲーム規制強化へ、与党が流通歯止め検討チーム

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090529-00001068-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090523-00000024-maiall-pol

 なお、成文堂のブースで立ち読みした↓の本によれば、準児童ポルノの規制については、法律による規制になじまないとされていました。
ビギナーズ少年法 第2版補訂版

ビギナーズ少年法

ビギナーズ少年法

http://218.216.69.71/seibundoh/book_s/bookinfo.asp?No=2821
ビギナーズ少年法 第2版補訂版
第14 講. 少年の福祉を害する犯罪…244
1 旧少年法第37 条…244
1 旧少年法第37 条の意義(244)
2 「少年福祉阻害犯」の取り締まり状況(247)
2 少年法が規定した「少年福祉阻害犯」…247
3 風俗営業適正化法における「少年福祉阻害犯」…250
4 児童買春・ 児童ポルノ処罰法の成立と改正…251
1 「児童買春・ 児童ポルノ処罰法」の成立と内容(252)
2 「児童買春・ 児童ポルノ処罰法」の改正と課題(252)
5 出会い系サイト規制法…254
1 出会い系サイト規制法の意義(254)
2 出会い系サイト規制法の問題点(256)
3 出会い系サイト規制法の改正(257)
6 青少年健全育成条例…257
1 条例による淫行規制(257)
2 条例における他の青少年保護規定(258)
7 児童福祉法適用をめぐる問題…259
8 まとめ…262

P254
(3) 残された課題について
それでも、なお他者への提供を目的としない児童ポルノの単純所持はどうすべきか、そして成人に児童のふりをさせる「擬似児童ポルノ」についてはどうすべきか、という問題は残された。児童ポルノが規制されるのは、その製造過程において直接児童の福祉が害されるからであるという視点からすれば、その製造に関連するか、これに近い場面での行為を「福祉阻害行為jとして非難できるからであり、単純所持は、児童の福祉を直接に害するものではないから刑事規制の対象にはすべきではない、ということになる。この考え方からすれば、コンビュータグラフイック等を用いて、実在しない児童のポルノを描くことや擬似ポルノについては規制の対象とはなし得ない。児童ポルノの存在がドラッグや銃のように、その存在を社会的に許容すべきではないとする立場もあろうが、それは刑事規制の限界を超えるものと思われる。

追記
 最初の児童ポルノ法って竹垣みたいなもので、現行法が節穴だらけの板塀みたいなものですが、そういう緩い法律を作ってユルユルな運用をさせている「立法者」が「子どもを守るバリアが日本ではきわめてルーズだ」だなんて言ってもですね、正攻法で表現の自由の壁を論破して、規制立法にたどり着くとは思えないのです。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090529-OYT1T01068.htm
 自民党で29日に発足したのは「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」。先進国のなかでも性暴力関係のゲームや児童ポルノへの規制が緩いと指摘されていることを踏まえ、関係省庁からヒアリングを実施。今後も会合を重ね、規制強化の必要性を検討していくことになった。
 出席した野田消費者相は「子どもを守るバリアが日本ではきわめてルーズだ」と指摘。座長の山谷えり子参院議員も「日本のコンテンツ産業をさらに発展させていくにも、こうしたゲームで信頼を損ねてはいけない」と話した。