児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年条例の「・・法その他の法令に正条があるときは、これらの法律による」という規定

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SUNC_jaJP356JP357&q=%E6%B3%95%E4%BB%A4%E3%81%AB%E6%AD%A3%E6%9D%A1%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%93%E3%82%8C%E3%82%89%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B+%E9%9D%92%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%80%80%E6%9D%A1%E4%BE%8B&aq=f&aqi=&aql=&oq=&gs_rfai=

 これは自治体によってあったり無かったりのようですが、北海道で13歳未満の青少年にわいせつ行為をした場合には刑法のみが適用されて、青少年条例は適用されませんから、この報道の事件が青少年条例違反で刑事処分を受けていればえん罪です。

わいせつ:女児に、いかがわしい行為 容疑で都庁職員を逮捕−−北海道
2007.09.14 毎日新聞社
北海道士別市内のホテルで今年3月、女子児童(当時12歳、小学6年)にいかがわしい行為をしたとして、北海道警士別署は13日、を道青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕した。
調べでは容疑者は3月21日、携帯電話の出会い系サイトで知り合った道内の女子児童(現在中学1年)にいかがわしい行為をした疑い。容疑者は女子児童と会うため私用で北海道を訪れたという。

 強制わいせつ罪の告訴が得られなかった場合に条例が復活するかというと、そういう訴訟条件が実体法上の犯罪の成否に絡んでくるのはおかしいので、要するに、守備範囲の問題として、13歳未満へのわいせつ行為については刑法のみが適用されて青少年条例は適用されないので、告訴が無い場合には青少年条例違反も問えなくなります。

北海道青少年健全育成条例の解説P53
【本条と他法令との関係】
l 刑法(強制わいせつ、強姦等)が法域外としている淫行、わいせつな行為についても、青少年の健全育成のため、特に青少年に対して行われるこれらの行為について禁止しているものである。
2 児童福祉法では、児童に淫行をさせる行為を禁止しているが、これは児童をして第三者に淫行をさせるという行為をさすもののみならず、行為者が児童をして、行為者自身と淫行をさせる行為をも含むものと解するのが相当である。
同法は、いわゆる淫行処罰規定とは異なり、同法違反の罪が成立するためには、児童に対し事実上の影響力を及ぼして淫行をするよう働きかけ、その結果児童をして淫行に至らしめることが必要と解される。

北海道青少年健全育成条例の解説P69
第67条第57条から前条までの規定に該当する場合においても、刑法(明治40年法律第45号)又は児童福祉法その他の法令に正条があるときは、これらの法律による。
【趣旨】
本条は、本条例の違反事項について他の法令に正条があるときは、これらの法律によることを定めた規定である。
【解説】
本条例の違反事項について他の法令に正条があるときは、例えば、次のような場合をいう。
(1) 第15条第l項の規定による有害興行の上映、上演等、第16条第2項の規定による有害図書類販売等又は第22条第1項の規定による有害広告物の表示等が刑法第175条(わいせつ物頒布等)に該当するときは、同法による。
(2) 第35条第3項による深夜同伴が刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)に該当するときは、同法による。
(3) 第38条の規定による淫行、わいせつな行為が刑法第176条(強制わいせつ)、第177条(強姦)、第178条(準強制わいせつ及ひ'準強姦)に該当するときは、同法による。
(4) 第40条の規定による場所の提供が売春防止法第11条(場所の提供)、児童福祉法第34条第1項(禁止行為)の該当するときは、同法による。
(5) 第53条の規定による立入調査について刑法第95条(公務執行妨害及び職務強要)に該当する場合は、同法による。

 これはえらいことなので条文も見ておきます。

http://www.reiki.pref.hokkaido.jp/cgi-bin/d1w_savvy/D1W_resdata.exe?PROCID=1442815516&CALLTYPE=1&RESNO=29&UKEY=1285052691005
第7章 罰則
追加〔平成8年条例39号〕、一部改正〔平成18年条例92号〕
第57条 第38条第1項又は第2項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
追加〔平成2年条例8号〕、一部改正〔平成4年条例11号・8年39号・13年69号・18年92号〕
・・・

第67条 第57条から前条までの規定に該当する場合においても、刑法(明治40年法律第45号)又は児童福祉法その他の法令に正条があるときは、これらの法律による。
一部改正〔昭和53年条例7号・平成2年8号・8年39号・13年69号・18年92号〕
第68条 この条例の違反行為をした者が青少年であるときは、この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。
一部改正〔平成8年条例39号・18年92号〕

鹿児島県青少年保護育成条例違反と性犯罪(強制わいせつ罪・強姦罪)

 この趣旨からすれば刑法優先のようです。

鹿児島県青少年保護育成条例の解説P65
第26条
1何人も,青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も,青少年に対して前項の行為を教え,又は見せてはならない。
【解説】
1 13歳以上の者に対する姦いん,わいせつ行為については暴行,脅迫をともなわない限り現行法上何らの規制もなく,青少年の保護育成上の盲点となっていた。そのため,精神的,肉体的に未成熟で感受性が強く,思慮分別の未熟な青少年に対し,いん行若しくはわいせつ行為をし,又はこれらの行為を教えたり,見せたりすることを契機として青少年が堕務し,売春等の一層深刻な事態に発展するケースが多い。
本条は,このような行為から青少年を保護し,希望ある青少年の人生を踏みにじる反社会的,反倫理的な行為を防止してその健全な育成を図るとともに,行為者の社会的責任を追及しようとするものである。
2 「いん行」とは「みだらな性行為」と同義であり,鍵全な常識ある一般社会人からみて不純とされる性行為をいう。すなわち,背少年の判断の未熟,情緒の不安定等に乗じ,誘惑,欺罔,立場利用等をもってその青少年との結婚を前提とせずに,単に自分の欲望を満たすための性行為又は性交類似行為をいう。
3 「わいせつ行為」とは,いたずらに性欲を刺激し,又は輿蜜させ,露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し,性的に差恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道徳観念に反する行為をいい. 刑法の「わいせつ」と同意義である。
4 「教える」とは,いん行又はわいせつ行為の棺手方とはならないが,当該行為の方法等を教示することであり,単なるわい談等の一般的,漠然としたものでなく具体的,直接的に教えることである。
5 「見せる」とは,自己又は他人のいん行又はわいせつ行為を直接青少年に見せることをいい,図書,映画、有線テレビ等の媒体を通して見せることは,本条第2項の規定には該当しない。
6 青少年の性行為に係る関連法令としては,刑法,児護福祉法及び売春防止法があるが,本条は,これらの法令で規定されていない青少年を相手とするいん行及びわいせつ行為を禁止しようとするものである。
すなわち
(1)刑法で,暴行,脅迫等をもってする性行為等については,処罰の対象としているが. 1 3歳以上の者に対して暴行,脅迫等を伴わないでいん行又はわいせつ行為を行うことは,処罰の対象となっていない。
(2)児童福祉法(第34条第1項第6号)では, 「児童(18歳未満)に(第3者と)いん行をさせる行為」は,処罰の対象となっているが. 18歳未満の青少年を棺手としていん行又はわいせつ行為をした者は処罰の対象となっていない。

被害者の年齢が上限より少し低い場合は有利に斟酌される

  176条後段、177条後段の場合に「12歳11ヶ月」
  児童買春罪の場合に「17歳11ヶ月」
であることは有利に評価されることがあるので、弁論要旨で指摘する。
 逆に、児童買春罪で13歳0ヶ月の場合は、強姦罪と接するので、それなりの量刑になるから、情状弁護を積む必要がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100922-00000190-mailo-l17
容疑者の逮捕容疑は7、8月の2回、同市のホテルなどで、18歳未満と知りながら同市の中学1年の女子生徒に現金数万円を支払い、わいせつ行為をした、とされる。同署によると、容疑者は出会い系サイトを利用。「20歳ぐらいだと思った」と容疑を否認しているという。