児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

住居侵入,強姦致傷事件について,検察官の懲役10年の求刑に対して,懲役12年に処した原判決の量刑判断に関して,裁判員裁判においては,一般市民の量刑感覚を個々の裁判に反映させるという裁判員制度導入の趣旨を踏まえ,従来の量刑傾向を参考にしながらも,これに無用にとらわれることなく,裁判員と裁判官との多様な意見交換,評議によって,刑を量定すべきであり,裁判員の参加によって量刑傾向ないし量刑相場が従来よりも幅の広いものとなり得ることもいわば当然であるとして,量刑不当を理由どする被告人の控訴を棄却した事例。(東京高裁

自首が成立するには,自発的に自己の犯罪事実を捜査機関に申告することが必要であって,自分あるいは第三者を通じての言葉により申告しないのであれば,犯罪事実の申告をしていることが外形上分かるような態度を示すなどの方法による黙示の申告をすることが必要であるとして自首の成立を否定した事例(福岡高裁H24.9.19 判決速報1495号)

被告人が,覚せい剤をやめようと考え,党せい剤等の証拠物を所持して警察署に自ら出頭した上で,警察宮に対して覚せい剤や尿を任意に提出したとしても、自首は成立しない。

自分の裸画像ネット投稿容疑 高校生ら3人書類送検

 児童ポルノにも該当するんだが、「被害児童」を「・・・に係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」で処罰するのもなんなので、児童ポルノ公然陳列罪は見送ったということでしょう。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/11/20121121t73021.htm
自分の裸画像ネット投稿容疑 高校生ら3人書類送検
 インターネットの画像掲示板に自分の裸の写真を載せたとして、仙台南署などがわいせつ図画陳列の疑いで、三重県松阪市の女子高校生(18)ら3人を書類送検していたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。掲示板は誰でも利用可能で、約130点のわいせつ画像が掲載された。少なくとも全国の二十数人が投稿し、大半が高校生だったという。
 ほかに書類送検されたのは、伊達市の男性会社員(19)と神奈川県小田原市の男子高校生(16)。
 3人の送検容疑は昨年8月16日〜12月25日、携帯電話で撮影した自分の下半身の写真などをネット画像掲示板にそれぞれ掲載し、不特定多数の人が閲覧できるようにした疑い。3人とも容疑を認めており、興味本位で投稿したとみられる。
 捜査関係者によると、掲示板は昨年5月ごろに開設された。利用者同士が掲載された画像に「もっと見せて」という趣旨のコメントを寄せ、別の画像の投稿を求める記載もあったという。
 掲示板は県警のサイバーパトロールで発覚。南署などは9月、わいせつ図画陳列容疑で、管理者の岡山市の男子専門学校生(18)を逮捕し、掲示板は閉鎖された。
 捜査関係者によると、未成年者が互いにわいせつ画像を投稿し、不特定多数の人に閲覧可能とした掲示板は珍しいという。

 児童が画像を販売していた事例で、購入者のみを3項製造罪で有罪にした判例があります。古川判事

阪高裁平成21年12月3日
 しかしながら,①については,関係証拠によれば,原判示の犯罪事実を優に認めることができるから,本件について法7条3項の児童ポルノ製造罪が成立することは明らかである。
②については,同条各項の規定は,平成16年法律第106号による改正前の法に規定がなかったものであるが,旧法施行後の状況等にかんがみ,児童の権利の擁護を一層促進するため新たに犯罪化され,処罰の範囲が拡大されたものであるところ,対象となる行為は,いずれも法2条3項各号に掲げる児童の姿態を描写した児童ポルノを前提とするもので,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取・性的虐待行為にほかならず,しかも,不特定多数の者に対する提供(法7条4項)及びその目的での製造等(同条5項)の罪ではもとよりその流通が予定され,特定少数の者に対する提供(同条1項)及びその目的での製造等(同条2項)の罪では流通の危険性が大きく,他人に提供する目的を伴わない製造罪(同条3項)にあっては描写された児童の人権を直接侵害する行為であり,流通性は小さいものの,その危険性を創出するものであるから,このような行為が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長するごとになるため,児童を性的搾取・性的虐待の被害から擁護することを意図して上記各行為を処罰するものとしたのであって,当該児童は,原則的に,その被害者と位置付けられているというべきである。
そうすると,被告人が,携帯電話の下着売買募集のサイトで知り合った被害児童に対し,携帯電話のメールで,被害児童のポルノ画像を買い取る旨執ように働き掛けた上,指示して姿態をとらせた被害児童のポルノ画像を撮影・送信させて,自己の記録媒体に保存させたという本件について,(ア)の点は,被害児童が児童ポルノの提供(同条1項)及びその目的での製造(同条2項)の罪の正犯で,被告人はその教唆犯にすぎないとする点で,(イ)の点は,被害児童と被告人が他人に提供する目的を伴わない児童ポルノ製造罪(同条3項)の共同正犯であるとする点で、(ウ)の点は,被告人が教唆犯にすぎないという点で,いずれも誤っており,所論はいずれも採用することができない独自の見解というほかない。

ボクシングジム元会長の強姦未遂:控訴審 執行猶予の判決−−高裁 /東京

 強姦既遂だと1罪でも実刑で、未遂1罪でも実刑が見受けられますので、1審から慎重に対応してもらいたいものです。
 控訴審での被害弁償は考慮されます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121121-00000041-mailo-l13
被告(55)の控訴審で、東京高裁(小西秀宣裁判長)は20日、懲役2年4月の実刑とした1審・東京地裁判決(8月)を破棄、懲役2年4月、執行猶予5年を言い渡した。
 被告は1審で「女性の同意があったと誤信していた」などと無罪を主張したが、2審では一転、起訴内容を認めた。小西裁判長は「真摯(しんし)に反省しているか疑問」としつつ、そうした経緯や1審判決後に金銭的賠償をしたなどの事情を考慮した。
 判決によると、被告は10年10月、足立区のジム内で女性会員と2人になった際に馬乗りになって胸を触るなどの暴行を加えた。
 被告は格闘技イベントを企画する興行主として知られていた。