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ギンザ プラスワン

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2017-03-19 大木あまり詩画集「風を聴く木」『あとがき』

 (大木まり詩画集「風を聴く木」)あとがき


 私に詩らしきものが書けるか遊んでみた。

遊ぶことは、自分をためすことでもある。日常の暗い罠に陥らぬためにもわたしには遊びが必要であった。レオノール・フィニーに「目のまわる遊戯」と言う絵がある。虚構世界で詩を書くことは私にとって、うっとりとする遊戯であった。

 一緒に遊んで下さった、ふらんす堂山岡喜美子さんに心からお礼を申し上げる。


           一九八八年 四月


                                  大木まり

2017-03-18 大木あまり詩画集「風を聴く木」『3-青いうねり』

 青いうねり


花冷えの空には

雲の吐息

桟橋を打つ波音は

異国の音。

砂まみれの流木

腰をおろせば

青い波の

うねり彼方から

やってくる

ヴォーヴォワール忌。

2017-03-12 大木あまり詩画集「風を聴く木」『3-昼顔』

 昼顔


愛も

言葉さえも拒み

太陽に抱かれる

昼顔

抱かれながら

荒野の夢を見る。

滅びるときを

待つ そのけだるい顔。


有刺鉄線に

巻きつきながら

風と交わる

昼顔


交わりながら

放浪の夢を見る。


肉欲も

快楽もなく

滅びるときを

待つ そのさびしい顔。


追憶もなく

幻想も抱かず

雨にうたれ

滅びるときを

待つ 漏斗状の

その美しい


魔の形象         (かたち)

2017-03-05 大木あまり詩画集「風を聴く木」『3-夜』

 夜


あなた

黒が似合う

美しい孤児

あなたわたし

よく似ている。

愛と嘘が似ているように。

あなた存在するかぎり

わたし人生の鏡はいらない。

あなたに抱かれると

傷は癒え

愛がふたたび

あふれでる。


あなたの心を

しっかりセロハン

包んでおきたいのに

瞬間がすぎると      (とき

透明な悲しみを

通り抜け

この呪わしい

遊星を

横切って行ってしまう。


わたし

愛の毒を吹き込み

罪の甘美さを教え


恋という熱病を

残して。

あなた

夜という

美しい孤児

2017-02-26 大木あまり詩画集「雨を聴く木」『3-窓』

 窓


マチスは窓を

象徴に愛を描いた。

ある詩人

窓こそ 自然を飾る

額縁といい

窓こそ 真実

名画を見せて

くれるといった。

死者さえも

小さな棺の

窓を持っている。

小鳥となって

はばたくために。


わたしの窓は

きれいなものばかり

見せてはくれない。

昨日は朴の木が伐られ

今日は桐の木が

姿を消した。

残されたのは白濁の空。

そこから生まれるのは

無気力憎悪だけ。

毎夜わたしの窓を叩く

成仏できない

亡霊の父。

ことわりもなく

から侵入してくる

茶色貧乏神

黄色の風邪神。

魔除けに

あなたポスターを貼った。

北窓を塞ぐように。

猫たちはしきりに

アンディ・ウォーホール

ポスターといったけど、

あなたの挑戦的な眼は

死神さえも

寄せつけはしないだろう。


ラム酒を飲みながら、 雨のニューヨーク

ハドソン川

暗い流れを思い

あなたの部屋の

黄昏を思う。

浴室の二本の

歯ブラシを思う。


酔いがまわってくると

わたし記憶の窓に

朴の花や

桐の花が咲き出す。

死んだ猫たちも

やってくる。

それからさびしい

宴がはじまる。