No.455 / A Hard Day's Night.....5


ではレコードで言う所の B 面の独断と偏見の曲目解説です。



8...ANYTIME AT ALL


アルバム「A Hard Day's Night」の魅力の1つに怒濤の様に展開する LP で言う所の B 面!これぞ!ジョン・レノン


でいきなり最高の1曲!
スネア・ドラム1発っ!
" Anytime At All "!で目が覚め!
心は奪われ!
彼の世界へ引きずり込まれる。
次のポールの高音シャウト"Anytime At All "でハンマーで頭をぶん殴られる!
つかみは完璧である。


でいきなり哀愁あるジョンの声炸裂!
特に 1:05 の彼の "On" の発音の色っぽさといったらもう......
無敵!
完璧!
犯罪!
この "On" が聴きたくて何度この曲を聴いた事やら......


また歌詞が泣けます.....この声でこんな事言われたら男の私だって自信がないです〜っ♪
何にだっ!(怒)


またしてもジョンの弾く Gibson J-160E は良い音出してます。
ジョージのクラッシック・ギターもドローン・コードで良い隠し味だし、リッケンバッカー 360-12 も目立たないが効果的なアクセントを出しています。


サウンド面でピアノが重要な鍵を握ってますね。
コードが DーF#mーBmーGmーA と続きますが
ピアノは AーC#ーF#ーB♭ーC# と音を選びサウンドに厚みを付けています。


ジョンのヴォーカルを良く聴くと基本はダブルトラッキングですが 0:25 からの
"If You're Feeling" や 1:02 の "If You Need a " はシングルトラックになっていますからそこだけ後からヴォーカルを足した事が解りますね。
昔どうして彼の声が最後と次のフレーズがほんの一瞬重なるのか?疑問でしたが、ここにも4トラックの効果が現れていますね。
こういうちょっとした事にもさりげなく面倒くさがらずにこだわる彼らに感服します。


最後はリッケン12弦?のコード一発で遥か彼方まで吹っ飛ばされ至福の 2:11 は終焉を迎えます。


9...I'LL CRY INSTEAD


一聴するとカントリー・ウエスタン調の曲だがやはりジョンの畳み掛けるヴォーカルと声質で単なるカントリーに終わってないのが凄い。


ジョンは Gibson J-160E 。
ジョージはグレッチ・カントリー・ジェントルマンを駆使してチェット・アトキンス奏法を披露してくれます。音色も美しく最高です。



1:05 と 1:34 から一瞬ポールのランニング・ベース・ソロが聴けますがやはりビートルズ!同じフレーズを繰り返す事はないですね。
曲中随所にポールお得意の引っ掛け奏法も健在!
これでリズムが跳ねるんですよね。


タンバリンが大活躍のこの曲ですがやはりリズムの取り方もきっちり使い分けていますね。


しかし間奏も全くなくジョンの休む事ないヴォーカルでぐいぐい引っ張られ一瞬にして 1:44 秒が終わる。


10...THINGS WE SAID TODAY


ほぼジョン・レノン一色に塗りつぶされたこのアルバムだが一休みのポール作の3曲目。
一休みとは書いたがなかなかヘヴィーな一曲である。


ジャカジャンッ!いかにも Gibson J-160E の音である。
でもこの歯切れよさを出すのが意外に難しいです。


AmーEm7の繰り返しでマイナーな展開だが " Someday~" からCーC9ーFーB♭とメジャーに展開するアクセントになっているのがジョンの弾くピアノとリンゴのタンバリンです。


ポールのお気に入りの曲のようで1964年のツアーや90年、94年の日本公演でも演奏されましたね。



ポールのヴォーカルはダブルトラッキングで所々効果的なハモリが隠し味になっています。


隠し味ではもう一つ!
バックで聞こえる甘い音色のエレキ・ギター.......
多分ジョンのリッケンバッカー325でしょうが、本当に甘い音色でこんな音も出るんだと感心してつい聴き入ってしまいます。


11...WHEN I GET HOME


いきなり "Wowo~Ah~~♪" ですよ〜っ!(泣)
9...I'LL CRY INSTEAD に続きこの曲も間奏なしで延々ヴォーカルで疾走する。


これぞジョン・レノン
彼の過激なヴォーカル!ギター!哀愁の声!全てが詰まった隠れた名曲。



「Please Please Me」以来の最高な "Come On" まで聴けます!
「Bad Boy」に繋がる G7 の掻き鳴らしも最高です。


最後の "When I Get Home" の "Ho〜me"の哀愁漂う声で終焉を迎えます。



12...YOU CAN'T DO THAT


で!遂に来ましたっ!
このアルバム中ジョンの最高で大好きな1曲っ!


こんな名曲がシングル「Can't Buy Me Love」のB 面でこのアルバムでも最後から2曲目!1964年の2/25 にたった4テイク目でこのテイクが完成!
これぞザ・ビートルズ


この年2月のアメリカン・ツアーで入手したジョージのリッケンバッカー360−12を真っ先に録音したオープニングといい、そこに G7 コードをスライドして入って来るジョンのカッコ良さ!有名になった事による光と陰に対するフラストレーションをぶちまけた過激な歌詞!ヤクザなジョンのヴォーカルにポールとジョージのコーラス!
さらに完成一発のジョンのリッケンバッカー325によるリード・ギターまで聴けます。「Long Tall Sally」でもそうですがジョンのリード・ギター・ソロは基本的に和音を掻き鳴らしながら単音を散りばめるスタイルで、ドライヴ感という意味ではこの時期のジョージはまだ完敗ですね。(笑)



ポールのベースも同じ繰り返しがないくらい自由奔放だし、リンゴもドラム以外にボンゴにカウベルと超忙しい。


1964年のツアーではオープニングの "Twist & Shout" に続き毎回演奏され、その海賊盤を聴きまくり大好きになったこの1曲!
当時自分が少し大人になれた様に錯覚した黒っぽい最高の名曲です!


13...I'LL BE BACK


遂に最後の曲になってしまいました。
アコースティック・サウンドでほぼ構成された名盤「A Hard Day's Night」.....
締めくくりも最高に哀愁漂うアコースティックな名曲です。


ああっ!またしても何て素晴らしい曲!秋一色に染め上げられます.....


ジョンの 最初の 一声 " You Know~♪”.......これが全てです。 


全然関係ないですが、竹内まりやが「September」を歌ってまだテレビに出ていた頃あの歌を聴くたびに何故かこの「I'll Be Back」が頭の中で鳴り出しました。ビートルズ大好きな彼女ですから勝手に想像していただけですが、それほど私にとっては哀愁のカサブランカ.....秋色一色のひたすら浸ってしまう大好きな逸品なんです。



ジョンのGibson J-160E とジョージのホセ・ラミレスのコンビとジョンの声質がこの曲を染め上げます。


1:03 からの " I~~~~through that you would realise~♪"の展開はもう言葉になりませんね......


ポールは得意の和音弾きを披露し、絶妙のコーラスでジョンに絡んできます。


新しい時代の幕開けに相応しいリッケンバッカー12弦ギターの音で始まったアルバム「A Hard Day's Night」ですがこうして「I'll Be Back」という言葉を最後に色彩は次なるアルバム「BEATLES FOR SALE」に繋がって行くのでした......



参照:
No.451 / A Hard Day's Night - Outsider Records!
No.452 / A Hard Day's Night.....2 - Outsider Records!
No.453 / A Hard Day's Night.....3 - Outsider Records!
No.454 / A Hard Day's Night.....4 - Outsider Records!