panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

ペーター・ルーカス=グラーフで聴くバッハ

 このブログは短期間、タイを中心として、東南アジアを調査旅行してまわる間の存在証明として企画されたもので、文字通り生きていることを関係者に知らせるための手段である。だからいま日本でやっているのは付録みたいなもので、要は練習である。予防接種も最小限したし、急に痛み出した歯痛も無理言って今日の午後かかりつけのところに予約した。バーミ・ナームというタイのラーメンにはあたらなかったが、一緒に頼んだアイスコーヒーには3人ともあたってしまった。ゆめゆめタイに油断は禁物である。
 昨日、思いがけずHMVからCDが届いた。バンコク行く前は何度も到着延期になっていて気になっていたのにすっかり忘れていた。だから実は昨日の午後ずっと聴いていたのは、タイトルのバッハのフルートソナタBWV1030-1035だった。Clavesの地味なCDだが、やや高い。今年(?)何十年振りかに来日したが、こっちとら(?)タイにかまけて(これをタイカマと名づけよう)、行けなかった。とくに行ってみたいわけでもなく、聴ければいいわけだが。1986年製のCDだが、どうも1973年5月の録音じゃないかと思う。とすると学生時代聴いていたのはこれなんだろうか。普通ヴィオラ・ダ・ガンバで弾く低奏通音---ニコレとリヒターでもランパルとヴェイロン=ラクロワでも---がここではファゴットだ。だからか、昔から慣れているからか、実に心地よい。いわゆる骨太で、ニコレのような尺八的かすれのないのがルーカス=グラーフだった。耳も退化したのか、この頃はあまり聴きとおせないと思っていたバッハのフルートソナタだったが、何だ、爽快だ。サワデーではないか。、、、意味不明。20世紀中葉のクラシック音楽家たちの圧倒的な水準に改めて思いを致さざるを得ない。その頃のLPさえあれば、主要な楽曲の聴取に不満はないだろう。事実、≪レコード芸術≫のベストなんとかで上位はほとんどこの時代の演奏ではなかろうか。
 ということで、バンコク行って浦島太郎になった話をしようと思っていたんだが。あ、グルダのDECCA版のベト君ピアノ協奏曲全集も送ってきたんだっけ。指揮はホルスト・シュタイン。繊細な音色である。ピアノもスタインウェイとは思えない。違うはずだ。爽やかな気持ちなので、バンコクのソイ39にあるおしゃれなレストランのデッキ(?)も。