2次予選2日目(その1)

演奏曲目はこちらを参照。

  • 78 アンナ ツィブラエワ Anna TCYBULEVA ロシア

Lisztの軽やかさはしっとりした音で、レガートを美しく聴かせることを重視した演奏。完成度が高い。一方Mendelssohnの厳バリは丁寧だが変奏ごとの変化がもう少しほしい感じ。音色がすべて同じである。Chopinもそれほど悪くないが、もう少しポロネーズのリズムをはっきりさせた方がよいのでないか。Mendelssohnがちょっと退屈だったのも、リズムのメリハリが今ひとつだったからかもしれない。喜びの島もフォルテ和音があまりきれいに響いておらず、もう一つの印象。

  • 16 ハン ジウォン HAN Ji-Won 韓国

Bergのソナタは昨日のMartynovのような面白さは感じなかったが、これはまあ当然か。いつものように長く感じた。Chopinの25-10はメカニックはまあまあだが、私の感覚からすると中間部はちょっとテンポを落とし過ぎ。最後のFranckは、たまに耳障りな音を出すことはあるけど、曲の雰囲気は掴んでおり、これまでの演奏からするとちょっと見直した。次も聴きたいかといわれると微妙だが。

  • 27 片田 愛理 日本

エチュードはChopin, Lisztとも丁寧にうまくまとめている。(Lisztは小さなミスはあったが。)ただChopin幻想曲は(どこがどうとは言えないが)なぜか胸に響かない。もしかしたら彼女とは相性が悪いのかもしれない。最後のShostakovichは丁寧という印象。

  • 61 イリヤ ラシュコフスキー Ilya RASHKOVSKIY ロシア

1次は優しい曲を並べていたため、やっと実力がわかるプログラムとなった。Chopinバラ2は出だしから音で魅了。王道をいくような正統派の演奏といった感じ。続く2曲のエチュードもケチをつけるところはほとんど見当たらない。最後のRachmaninovも、終楽章の出だしのところはもう少しスピード感を出してほしい気はしたが、非常に良い。全体として音の美しさ、テクニック(メカニック)、音楽センス(歌心)と三拍子揃ったピアニストで、順当に行けばやはり彼が今回の優勝候補なのだろうという気がした。というかもし彼が18歳以下で、他にめぼしいコンクール歴がなく、審査委員長が中村紘子だったら優勝は固いというところだ(笑)。