2013年2月23日 対談!ハクション中西・山が動く寺岡

2013年2月23日 19:00〜
対談!ハクション中西・山が動く寺岡 @OCAT市民学習センター



9月21日にこのライブの第二回が行われるということで、twitterに書いていた前回の内容をまとめてみました。



・中西さんが会場を講堂ではなく会議室にしたことに、寺岡さんが憤慨していた。
 二人のファンに加えてこの組み合わせの面白さに興味を持って来てくれる人もいるだろうということで、真面目に50人は入ると思っていたのだそう。
 (実際は10人くらい)


・中西と寺岡どっちが変か。
 「お前の方が変や」と言い合ってお客さんにどっちが変と思うか聞いて、「ライブを見終わった時にその印象がどう変化してるか楽しんで下さい」っていうところまで中西さんは考えてたのに、寺岡さんが「僕は変じゃないし中西さんも変じゃない」と言い出して、ライブの進行無視してそんなこと言ってしまうところが変だと言われていた。
 お客さんは全員が寺岡さんが変だと思うに拍手していた。
 中西さんは、「その印象はライブ後もかわらないでしょう」と言っていた。


・座標軸で中西さんが(1、1)だとしたら僕は(-1、1)という寺岡さん。y軸に対して対称な関係。
 何の軸か問われて、y軸は面白さ、x軸は何となくと真面目に答えるとこがおかしい。
 あえていうならB型かO型か。途端に乙女。寺岡さんには血液型占いなんて信じてないと言ってほしいと中西さん。


フェルマーの最終定理(n≧3の時x^n+y^n=z^nを満たす整数xyzは存在しない)の話。
 フェルマーの最終定理は世紀の難問とされ、誰もが証明しようとして打ち破れていったのだそう。
 それに対する寺岡さんの意見が「存在しないことを証明する意味はない、それよりも、n=1、2では存在するのに3以降は存在しない、その2と3の間に何があるのか知りたい」というもの。
 中西さんはそれを聞いて、寺岡くんはこういうものの見方、考え方をしているのかと感心したと言っていた。


フェルマーの最終定理の話からもわかるように、寺岡さんは2という数字を特別に思っていて、数字の並びとしては「1  2  34567」くらいの感覚なのだそう。


・中西さんによるフェルマーの最終定理の説明が、そこらへんの塾講師なんかよりよっぽど分かりやすいんじゃないかってくらい上手かった。


ヴィトゲンシュタインという哲学者の考え方に共感し、それを分かっていない世の中を煩わしく思っている中西さん。
 その考え方とは、世で問題とされている多くのことは言葉の解釈の齟齬であって、事象そのものの問題ではないみたいな内容だったかな。
 前提条件に矛盾があることに気付くこと、あるいは考える順番の間違いに気付くことの重要性。


・「考える順番の間違いに気付くこと」の例えとして中西さんが言っていた「本当に答えさせたいのは(3)の問題なんだけどいきなりそれでは難しいだろうという大人の配慮で(1)(2)と小問を作って筋道を示してもらった問題しか解いてないので、全ての問題が(1)で始まると思い込んでしまう人ばかりだ」というのがとても分かりやすかった。


・お笑いを数式に置き換える寺岡さん。
 常識という軸において、ボケることはおかしなことを言うから-20、ツッコミはそれを修正するから+20、そこにお客さんの笑い20が生まれるとする。
 その-20を-60に、+20を+60にすることでより面白くしていこうとする芸人が殆どである。
 でも寺岡さんや中西さんのネタの作り方はそうではなくて、舞台や客席にも数字があると考えて、ボケを0にして舞台を-20にする、あるいはツッコミを0にして客席を+20にするような発想。


・地元さんとコンビを組む時に寺岡さんが誓約書を書かされた話。
 誓約書の内容は、ネタ中に絶対にツッコミを入れないこと。
 ツッコミをいれてしまうと、その前がボケであることがばれてしまうから。
 ボケたことに気付かれたくない地元さん。


・言葉とはぼんやりしたものの一部を切り取ることである。
 それを寺岡さんは「悲しい」「辛い」と言うことで悲しいと辛いの間の感情を削ぎ落としてしまうと表現し、中西さんはイヌは本当は暫定イヌだしネコは本当は暫定ネコだと表現していた。
 そうすると「精神≧言葉」であると考えるのが自然なように思えるけれど、地元さんの考えは「精神=言葉≦外部」だと寺岡さんが説明していた。
 中西さんはそれをメタと解釈していた。
 (私はこの話は全然意味分からなかった)


・ネタにメッセージを込めるのはきしょいということで二人は共感していた。
 中西さんはメッセージのこめられてない音楽はただの音の羅列だと言い、寺岡さんは音の羅列にこそメッセージがあると言っていた。
 寺岡さんの好きなハイフェッツというバイオリニストは「作曲者が曲に感情を表現しているのだから演奏者が感情をこめる必要はなく、ただ譜面に忠実に演奏するだけで良い」という主義だそうで、その最たるものが初音ミクだと言っていた。


・中西さんはネタ前に「コント○○」と言うのが嫌な時期があった。
 それは、ネタが始まった時にさっきまで「コント○○」っていってた奴が急に演技してるという矛盾になるから。
 ただ、ある時から考え方がかわったと。
 変わった理由の一つは、憑依芸のようなリアリティの求められるものでは確かにタイトルコールでリアリティがなくなってしまうが、自分がやろうとしているネタはそうでないこと(発想で勝負したいし、リアルな演技をやろうとしても下手だからできない)。
 もう一つは、説明のためのセリフが大嫌いなので、タイトルコールによってそれを言わなくて良くなるから。
 タイトルコールするかどうか、するならどういう言葉でどういう言い方をするか、そこからもうネタは始まっている。
 賞レースで結果を出している芸人でもそこが分かってない人はいるし、世間もそんなことまで気にしていない。


・中西さんが前回の泣き虫ライブの感想を求めた時に、当たり障りない感想を言う寺岡さん。
 褒められればそれは当然嬉しいけど、基本的には肯定的な感想も否定的な感想も何とも思わないと中西さんは言っていた。
 それは、なぜそう思うかというところに興味があるから。
 むしろ寺岡さんみたいに仲の良い人から気を使って良かったですと言われると心を閉ざされたように感じると。


・寺岡さんから万物椅子理論はおかしいという意見が。(参考 http://ameblo.jp/ajgdmtj235/entry-11453498237.html
 理論の中身ではなく、理論の名前に「椅子」という言葉が含まれているのがおかしいのだそう。
 万物が椅子なのであれば、それはもはや椅子ではないのではないか?と。


・R-1で身近な二人が優勝、準優勝したこと。
 ヒューマンは出るライブ出るライブで同じネタばかりをかけ続けて勝負ネタを磨き上げたが、中西さんは常連さんに同じネタばかり見せるのが申し訳ないという気持ちでそこまで割り切れなかったそう。
 決勝にいくことでそれ以上に喜んでもらえて恩返し出来るのに。
 R-1予選で負けて、去年は泣いて今年は怒ったから来年は無感情だと良いと言っていた。


・もしR-1で優勝してお客さんが喜んでくれても、テレビの演出が入っているし画面越しに見ているのだから自分の意図とは違う喜びだと言う寺岡さん。
 それに対して中西さんは、そこまで崇高でなくとも良いのではないか、もう少しファジーで良いと思うと言っていた。
 自分のネタに対する自分の理解度は必ずしも100ではない。
 ライブを撮影したものを見て自分はこんな表情をしていたのか等と後から気付くことは沢山ある。
 なんだったら、お客さんの方が理解度が高い可能性すらある。


・「D」を伝えようとする時、寺岡さんは「ABC EFG」と表現するタイプだが、実際は「A C E G」 くらいになってしまっているのでなかなか伝わらないという中西さんの説明が面白かった。
 山が動くファンは心の中で深く頷いたことでしょう。
 このライブは中西さんが抜けたBやFを埋めてくれるどころか「寺岡くんはD以外のアルファベットを書くことによってDを表現しようとしてますよ!お客さん、伝わってますか?」くらいの親切さで翻訳してくれていたので本当に分かり易かった。


相対性理論の話をどうしてもしたいという寺岡さん。
 相対性理論に対する寺岡さんの考えをまだよく理解しきれていないので翻訳できる自信がないし長くなりそうだからそれは次回にしようという中西さん。
 それでもどうしても話したいと言って食い下がる寺岡さんはただの駄々っ子でした。


・中西さんが客席に背を向けてお茶を飲んでるところをほけ〜っと見つめる寺岡さんがおかしくて客席からクスクス笑いが起きた時に、お二人だけが何故笑いが起きてるのか分かってなくて、演者より客の理解度が上回っている状態を早速体験できたのがおかしかった。


・寺岡さんのバイト話。
 うどん屋で働いていた時に、近所に住む○○さんから黒い傘をお店に忘れたので届けてほしいと言われ、傘立てを見たら○○と名前の書かれた青い傘と、昔から置きっ放しのボロボロの黒い傘があって、当然色を勘違いしてたのだろうと分かっていたがあえて黒い方を届けて店長に怒られた。
 本屋で働いていた時に好きな本を並べて良かったので、野球好きな人は去年のと読み比べたいかもしれないと思い今年の分の横に1年前の選手名鑑を並べたら、間違えて買う人がいるからと店長に怒られた。
 寺岡さんはお釣りを渡したのに、客がお釣りを貰ってないと言うのでさらに500円払ったら店長に怒られた。
 これら三つの話を聞いて中西さんは、そういう発想はするけど実際にやると面倒臭くなるのがわかっているから自分ならやらないと言っていた。
 分かっててやらないのがないのが中西さんで、分かってるのにあえてやるのが寺岡さん。それが最初にアンケートをとった変かどうかの印象の違いかなと思った。






【感想】
面白かったしとっても心地良い空間でした。好きなひととセックスするのくらい気持ちよくて幸せでした。このライブを見られて本当に良かった!
この組み合わせは寺岡さんの魅力が引き出されること請け合いだと思って見にいきましたが(中西さんはもともとめっちゃ魅力的)、予想以上に寺岡さんがキュートで良かったです。
あんなにいきいきとした寺岡さんを見たのは久しぶりでした。
この気持ちは、地元さんがいた頃に山が動くに対して感じていたどきどきとかときめきにとても近い感じがします。


お二人は感覚や思考回路が似ているものの、それに対するアプローチや表現が真逆なのがこのライブを面白くしていたと思います。
天才二人の頭の中と天才二人の見ている世界を少しだけおすそ分けしてもらったような、お二人の魅力がたっぷり詰まった素敵なライブだったと思います。






【中西さんのブログ】
http://ameblo.jp/ajgdmtj235/entry-11473665733.html
http://ameblo.jp/ajgdmtj235/entry-11480765073.html