僕なりのELEPHANT STONE(尿管結石)のこと。

[Introduction]どんなに忙しくても、健康だけが取り柄だと思ってがんばってきたのに…。そんな思いがあっけなく崩れ去る日がやって来たのは、今年の6月初旬。出勤途中から腹痛のウェーヴが始まり、何とか午前中の仕事をこなしながらも、昼過ぎにはガマンできないほどの激痛が脇腹を襲いました。ここがすべての始まりです。

その後の精密検査で「尿管結石」と診断されました。

それから約2ヶ月。いま、僕の手もとには「ELEPHANT STONE」と名付けられた尿管結石があります。(スライドギター用の)ボトルネックの底に脱脂綿を敷いたオリジナル保存容器の中で、静かに佇む一片のブラウン・シュガー。真夏の燃えさかる太陽にかざしてみると、反射する小さな光の中に過ぎ去った日々がキラリとよみがえります。2ヶ月という長くも短くもないハンパな日々が。

この手記が「お腹が痛いんだけど、尿管結石かも(涙)」とお悩みの方、ご自身やご家族や恋人が「尿管結石なり」と診断された方、または「ストーン・ローゼズが大好きなんだけど…なにこれ?」という方のちょっとした参考と励ましになれば幸いでございます。 犬飼一郎


6月9日(月/ロックの日◆ 初めてお腹に痛みを感じる。が、数時間で沈静化。
◆ 1回目の通院。問診のみ。
「お腹ピーピーかしら?」という微妙な具合で出勤。午前中は何とか仕事をやり切ったが、昼休みにかなりの痛み。そのまま会社近く(銀座)の総合病院へ。しかし、徒歩10分ほどの距離にある病院に着く頃には痛みが沈静化。とりあえず問診のみで、クラビット錠ビオスリー配合錠(胃腸薬)を2〜3日分もらう。午後には回復。


6月24日(火)
◆ 朝から腹部に激痛。
◆ 痛みの箇所が『腹部左下と背中』とはっきりわかる。
前回の痛みから約2週間後、朝からお腹に違和感。出勤途中に激痛へと変わり、会社の最寄り駅に到着するが一歩も動けずホームの柱にしがみつく。しばらくしてからカフェのトイレに飛び込む(下痢ではなかった)。この頃、仕事の忙しさがピーク(年明け以来、終電帰宅か徹夜、土日出社続き)だったから「疲れているのかな?」という認識。それにしても左下の腹部が痛むのがはっきりわかる。どうしても休めないので、1時間ほど遅れて出社。1日中、痛みをガマンして仕事。
仕事の目処がついた20時すぎに何とか退勤。しかし、あまりの痛みで最寄りの新橋駅(徒歩10分程度の距離)まで歩く気力がなくなる。それでも約1時間かけて駅へ。どうやって駅まで歩いたのか記憶がない。22時前後の電車に乗るものの、座れなかったので途中下車。あまりの痛みにうめき声が出る。生まれて初めて“ハンカチを噛んで”声を殺す。ホームのベンチに横たわって、「救急車を呼んでもらうべきか?」と何度も自問。でも、「そのうちおさまるだろう」という気持ちもあり、空いてる電車に飛び乗って何とか席を確保。
電車に乗ってから奥さんにLINEで状況報告。けれどもLINEだと“痛み”は伝わらないらしく、「お疲れっす!」「マジっすか」「ヤベー」等のスタンプが届き、絶望する。

状況をさらに詳しく説明すると、ようやくコトの重大さに気づいたようで「駅までクルマで迎えに行く」との返信に安堵。けれども痛みはさらに増し、吐き気をもよおすほど。


6月24日(火)夜
◆ 夜間救急病院へ。
◆ レントゲン検査。「たぶん尿管結石」と診断される。
ウロカルン錠(利尿剤)を処方される。
地元の駅に到着するが、ロータリー脇でついにダウン。路上にひっくり返る。ちょうどそれを奥さんが発見し、クルマに乗せられる。汗びっしょりで顔面蒼白でだったそう。奥さんが救急病院に電話。「意識があるなら、本人の説明が必要」とのことで、僕が左下腹部と背中の痛みを説明。「身分証明書と保険証が必要」「担当医がいない場合があるので、応急処置になる場合がある」ことを告げられる。とにかく夜間救急へ直行。
夜間救急に到着。まず尿検査。結果が出るまでしばらく待機。この時は背中の痛みがピーク。いわゆる「ズキンズキン」ではなくて、「絶え間なく金属バットで背中を殴られ続けている」ような感じ。本気で“死”を意識しました。結果、「血尿」とのこと。夜間はCT検査ができないので、レントゲン検査へ。その結果、十二指腸内にガス(おならになる前の気体?)が充満していることが判明。これは十二指腸潰瘍の恐れもあるとのこと。
肝心の腹部と背中の痛みは、レントゲンには映らなかったけれど「ほぼ間違いなく、尿管結石」との診断。「正確な診断のために、CTの再検査」を強く勧められる。25時(午前1時)頃に帰宅。


6月25日(水)
◆ 会社を午前休。


6月28日(土)
イクエモリさんのライヴ・イベントへ。
◆ 飲む→トイレを繰り返す。
◆ オールはキツいので、終電で帰宅。ごめんね!


7月1日(火)
◆ しばらく沈静化していた痛みが朝から再発!
◆ しかし、この日は何とか乗り切る。


7月4日(金)
◆ 総合病院で尿検査とCT。
◆ ウロカルン錠(利尿剤)、ロキソプロフェンナトリウム錠(解熱/痛み止め)、ムコスタ錠(胃の粘膜保護)、ボルタレンサポ(座薬)を処方される。
検査の結果、正式に「尿管結石」との診断が下る。CTで見るかぎりでは、約2〜3mmの大きさ。しかし、この日は『泌尿器科』の先生が休みで外科での診断だったので、後日必ず泌尿器科での診断を受けるようにと念を押される。毎日2リットル以上の水分補給とウロカルン錠の服用を怠らないこと。
お医者様曰く「結石はまだ腎臓にあり、最低でも3ステージ分の痛みが控えている」とのこと。1「結石が尿管に入るとき」、2「膀胱に落ちたとき」、3「チン先から出るとき」。痛みの大きさは人それぞれらしい(涙)。夜はクッキーシーン編集部でのミーティング&飲み会に参加。「とにかく水分をたくさん摂取して、オシッコで流し出すのがベスト」との医師の意見に従うことにする。


7月5日(土)
◆ 映画『her/世界でひとつの彼女』を観る。
◆ 120分をトイレ退出なしで乗り切る。
◆ 上映前にしっかりトイレを済ませておくこと。


7月6日(日)
FacebookおよびTwitterで『尿管結石』を公式発表(笑)。

「僕なりのElephant Stone」
ここ1ヶ月ほど、耐えられないくらいの激烈な腹痛に度々襲われていたんだけど、ようやく金曜日に病院に行くことができました。で、CTの結果、「尿管結石」と判明!
僕なりのElephant Stoneとして、前向きに受け止めたいと思います。 Burst Into Heavenね。
皆さんもこまめな水分補給を!そして、働き過ぎにはご注意を!

◆ 大好きなストーン・ローゼズにちなんで「Elephant Stone」と名付ける。


7月10日(木)
スピッツの武道館公演へ。
◆ 2時間強を乗り切れず。アンコールのMC中にトイレへ!


7月12日(土)
◆ 再び7月4日に行った総合病院へ。
泌尿器科での尿検査と再診断の結果、「尿管結石、確定」とのこと。
◆ ウロカルン錠(28日分!)を処方される。
石が出る期間は人によって異なるらしい。早いと2〜3日、長い場合は数ヶ月〜半年だとか。もっとかかる人もいるらしくて、気が遠くなり始める。この頃の僕のテーマ曲は「What The World Is Waiting For」(世界が待ち続けていること)。


7月12日(土)夜
◆ 映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を観る。
◆ 100分を何とかトイレ退出なしで乗り切る。
◆ 終盤〜エンドロールはヤバかった! 終演後、一目散にトイレへ。


7月13日(日)〜21日(日)
◆ ウロカルン錠服用と2リットル以上の水分補給を欠かさぬ毎日。
僕はこの頃、ウーロン茶を入れた1リットルの水筒と600mlサイズのペットボトル麦茶をどこに行くにも持参。1時間に数回の「Waterfall」を繰り返す日々にも慣れました。


7月21日(日)深夜
◆ またもや腹部左下に激痛。
◆ 25時頃に血尿。
日曜返上で出勤。日中は何もなかったのだが、帰宅後になぜか不機嫌。奥さんが「イラついてるのは、お腹が痛いからじゃないの?」と言う。「そうかな?」と思いながら24時頃に就寝。しかし、なかなか寝付けず、気がつくとお腹が痛む。尿意をもよおしてトイレに行くと…真っ赤なオシッコが! 病院の検査だと肉眼では判別できないほどだったけれど、これはヤバい! 血尿の原因は、ステージ2「結石が尿管に入るとき」のアレコレだと思います。


7月22日(月)
◆ 腹部左下の激痛が続く。血尿はおさまる。
◆ エレファント・ストーン、リリース間近? と湧くが不発に終わる。
痛みがひどいので会社を休む。初めて痛み止め「ロキソプロフェンナトリウム錠」を服用。寝込むが熱はない。痛みは夜におさまる。僕の「This Is The One」はまだお腹の中。


7月26日(土)
フジロックへ!
◆ 利尿剤による頻尿と会場のトイレの少なさ、遠さが不安。
◆ 行き帰りの車中での尿意も不安。
ここ最近の利尿剤の常用(&そもそもペーパー・ドライバー)ってことで、奥さんが運転して苗場へ! 午前5時に出発。途中何度もPAでトイレ休憩。お昼すぎに無事に到着して、まずは大友良英スペシャルバンドを観る。トイレの場所と混み具合は、移動しながらしっかりチェック。けれども猛暑とハイ・テンションのせいか、いつもほど頻尿ではありませんでした。全部、汗で出ちゃったのかも。トラヴィスクロマニヨンズデーモン・アルバーンアーケイド・ファイアなどなどお目当てのバンドを(万全のコンディションではなかったけれど)観ることができました。


8月3日(日)
◆ 映画『GODZILLA ゴジラ』を観る。
◆ 123分を乗り切る。
◆ 映画をトイレ退出なしで乗り切る自信がつく。


8月9日(土)
ティム・バートンダニー・エルフマン映画音楽コンサートを観る。
◆ 2時間強を乗り切る。
◆ ここまで来ると、ライヴや映画をトイレ退出なしで観ることに達成感を感じ始める。


8月13日(水)
◆ ついに! エレファント・ストーンがリリースされる。
◆ 無事にストーンをキャッチ。
会社の夏休み初日。午前5時頃にオシッコに起きる。この時、チン先にゴロゴロするような違和(岩)感。「もしかして…」と思い、麦茶をいっぱい飲んで再び寝る。午前8時頃に尿意アゲイン。事前にネットで調べていた情報から「エレファント・ストーン捕獲作戦(男子版)」を始動! ピンセットが必要です(なければ素手でも可!)。

1. トイレットペーパーを丸めて、便器の水没しない位置にセット。
2. 立ちションではなく、座りションのポジションでスタンバイ(便器に座る)。
3. 下腹部に力を入れる(水の勢いで排出の痛みが減る、とのこと)。
4. (尿意とのシンクロ率が高まったら)トイペめがけて、オシッコを噴射!
5. ストーンが出たら、あせらずに目視&素早くピンセットで捕獲。

大丈夫。汚くありません! あとでちゃんと手を洗って、ピンセットと石をアルコール消毒すれば良いだけのこと。ちゃんと石を捕獲して、「リリース確認」することが何よりも重要なんです(ちなみに、こちらは男子版です)。僕の場合は、リリース時の痛みはほとんどありませんでした。オシッコの出始めに「ん?」という寸止め感。ひるまずに排尿を続けると「つるるん!」「ぽんっ!」って感じですっきり出ました。I Am The Resurrection(僕の復活)!!! 

以下、当日のFacebookで公式発表された完結宣言です(笑)

【僕なりのElephant Stone 完結編】
今朝8時半頃、僕のエレファント・ストーンこと尿管結石が無事にリリースされました! まさにWhat the world is waiting forです。
僕のThis is the Oneは、直径約3mm。見た目はそんなにグロくなくて、黒砂糖の破片みたいなスウィーツ系。
朝イチのトイレで予感があって、2回めでつるんと登場。いわゆる『Second Coming』。
痛みは全然なかったです。サマソニに間に合って良かった!皆さん、心配をおかけしまして、本当にすみませんでした。もう大丈夫です。ありがとうございました!

↓こんなカンジです。

ずっとエレファント・ストーンとか言って(笑)ふざけてましたが、いつ完治するのかわからない不安と痛みに対する恐怖心はやっぱりシャレにならなかったです。それでも、こんな僕の「エレファント・ストーン」ネタに付き合ってくれた皆さん、ありがとうございました! そして、家族と友達にも感謝です。みんなの「大丈夫?」のひとことがとても大きな励みになりました。
最後に、バンド名と曲名のほとんどが「尿管結石」とリンクできるストーン・ローゼズはやっぱり最高だな!と。「Made Of Stone」みたいな「尿管結石できちゃった」ドキュメンタリーもこれにて終了です。「Bye Bye Badman」ってことで! ローゼズを知らない方もこれを機会にぜひ聴いてみてくださいね。では!

ザ・ストーン・ローゼズ ロックを変えた1枚のアルバム

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