辻村史朗氏の陶芸を観る
辻村史朗氏、兼ねてから高名は広く知られているが、
ご本人と直接会って話す機会を得るのは始めてである。
今や本業の焼き物以外にも
書や油絵をこなすマルチアーティストといえる。
元首相の細川護煕氏も同じく多芸を誇る政治家であるが
両者に共通するのは桃山時代の茶陶への憧れであろう。
もし桃山時代に茶道が広まらず千利休が生まれていなかったら
日本の陶芸史は全く違ったものになっていたであろう。
私は思わず桃山時代の染織を想起する。
茶道とは関わりなく発展した工芸文化であるが美意識は同じである。
「豪胆と繊細」この一見矛盾する特徴が、
桃山の工芸においては見事に共存している。
「辻が花」は、インドを発祥とする絞り技法を見事に日本人の感性に仕立上げた。
「渡し縫い」は糸と針で四季の草花を描いて見せた。
桃山時代とはそんな時代であった。
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