『大和三山の古代』

上野誠
講談社現代新書
ISBN978-4-06-287952-1
大和三山に対する歴史的な意味付けについて書かれた本。
主として万葉集を紐解いて、大和三山に対して歴史的にどのような意味付けがなされていたのか、ということを描いたもので、大体のところ、万葉読み物、とでも考えておけば良い本か。
そうしたもので良ければ、読んでみても良い本。
歴史の細かいことをうだうだとやっている私の好きなタイプの本だが、余り特別な内容でもないような気はするし、斉明天皇が筑紫に行った時に、百済が風前の灯だったというのは、私としては記述に違和感があるものの、万葉読み物としては、こんなもの、という本だろう。
そう特別でもないが、悪くはない本。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
大和三山には、ツマ争いをしたという伝説があった。
・天の香具山というのは、香具山が天から降ってきたという神話をイメージしている。
・このように古の神話時代を連想させる香具山は、万葉集において、時間を発見する場所でもあった。
持統天皇の時に完成した藤原宮は、大和三山を蓬莱、方丈、瀛洲の三神山に擬したものであり、百済新羅の都にも三山があったので、その影響を受けたものだろう。ただし、三山は、神仙思想というよりは、仏教における須弥山と一体化したものであったろう。
奈良時代において、飛鳥は、先祖創業の地であった。