2015年を振り返る(3)雑記、時事問題編

2015年を振り返るシリーズも今日で最後(2015年自体も今日で最後ですが)。
最終回は今年一年のIT系以外のニュースから感じたことについてまとめます。


今年も去年同様「アベノミクス? 何それ美味しいの?」という一年でした。
相変わらず円安のせいで物価はどんどん上がっていくのに、収入は増えず庶民の暮らしは苦しくなるばかり。
先日のエントリでも「今年買ったIT関連ガジェットは中古/ジャンクばかり」と書きましたが、生活に必要なコストがどんどん上がっているのだから、少しでも安いものを、と考えるとそうなるのも当然。

だからこういう世論調査の結果になるのは当然ですね(高齢者の意見が過度に反映されるRDD方式による調査なので、あまり当てにはできませんが)。
庶民が出費を切り詰める傾向は変わらず、と言うか更に財布の紐を締めるようになった結果それに耐えられない店が次々潰れていくのをよく見かけました。
私の自宅の近所でも今年スーパー2軒、パン屋2軒、ドラッグストア1軒が潰れているのを見かけましたし。
ですから…




こういう街の声が聞かれるのも当然ですね。
そもそも私としては「好景気」「景気回復」という言葉の定義がアベノミクス以降変わってしまったのだから、庶民が景気回復を実感できないのも当然、と思っていますが。
その「好景気」「景気回復」という言葉の定義の変遷はというと…


(高度経済成長期〜バブル期)
程度の大小はあるものの、国内のほとんどの人々が景気がいいことを実感できる状態。
真の意味での「好景気」「景気回復」。
(バブル崩壊後〜アベノミクス以前)
多くの人々が景気がいいことを実感できなくとも一部の好調な業種、地域が経済指標の値を押し上げ、景気がよく見える状態。
(アベノミクス以後)
実際の経済はよくないが、金融政策によって経済指標の値を押し上げることで景気がいいように見せかけている状態。
国民が景気が良くなっていると感じているか否かは全く関係ない。


時代が進むに連れどんどんインチキ臭く、実体経済を反映しない基準に変わってきています。
しかしこのような「好景気」「景気回復」という言葉の定義についてメディアが問題にすることはない。
それを国民に知られると都合が悪いですからね。
そもそも本当に景気が良くなっているのならば円高にならないとおかしいはずなのですが、実際には去年同様US$1=120円程のレートで、円安傾向なのは変わらない。
当然のことながらそういう矛盾も日本のメディアは伝えず、相変わらずの円安マンセー報道ばかり。
彼らが「マスゴミ」と呼ばれる所以です。


そして私が以前から「単なる税金のムダ使いなのだから最初から招致するべきではなかった」と思っていることもありあれこれ批判している東京オリンピックについてのゴタゴタにもうんざりさせられました。
公式エンブレムの盗用問題、新国立競技場のデザイン問題に加え年末になって必要な予算が当初の見積りよりも大幅に膨らむ見込み、というニュースが飛び出して「予想通りの展開だな」と思ったのは言うまでもありません。
ゴタゴタした新国立競技場のデザイン問題もようやく決着しましたが、建設費用は「高すぎ」ということでボツになった当初案のそれの2500億から1500億までコストダウンされることになっていますが、それでもまだ海外で開催された過去の大会のメインスタジアムに比べ大幅に高いですし、結局何だかんだで当初案と同じぐらい、もしくはそれを越えてしまうのでは、と危惧しています。
日本は土建屋のエゴが何かにつけて優先される国ですから、彼らの金儲けのためにどんどん建設コストが積み上がっていく、という展開が容易に予想できますから。
って言うか日本人はいい加減オリンピックに対する幻想を捨てろ、と思いますね。

このように海外ではオリンピック招致を辞退する都市が先進国を中心に増加傾向(ハンブルグも辞退しましたね)。
こういう流れになっているのは国民、市民がオリンピックを開催することによる税負担を嫌っている、ということを反映してのものなのですが、日本人は税金に関する意識が薄く、自分が払った税金を政府がメチャクチャな使い方をしても文句を言わず「仕方ない」と諦める民族だからそういう流れになる可能性は低い、と思うと絶望感を感じます。
2026年の冬季オリンピックに札幌が招致に名乗りを上げていますが、今回のゴタゴタに懲りてさっさと辞退して欲しいものです。
我々は不要な公共事業で土建屋を潤すために税金を払っているわけではないのですから。


今年は個人的に「日本が没落への道へと向かうターニングポイントとなった出来事」だと思っているプラザ合意から30年の節目の年でしたが、それについての報道はあまりありませんでした。
それに気づかれると困るから意図的にそうしたのかな、と穿った見方をしてしまいます。
私は日本がこれ程まで没落してしまった最大の原因は1985年のプラザ合意によって強制的に円高にさせられ、それまでの国家成長モデル(国内で製造した工業製品を海外に輸出して稼ぐ)が通用しなくなったにもかかわらず産業構造を変えようとも、諸制度を時代に合ったものに変えようともせず、古いやり方を続けてきたツケ(結局のところそこには既得権益が絡んでいるのですが)だと思っているのですが、未だにそれを理解せず「日本は技術立国」だの「ものづくり大国」だの言っている人が多いのには呆れてものが言えません。

今頃こんなことを言われてもねぇ。
30年前にそれを認識し、適切な政策を取っていれば今のような経済低迷、国力の大幅な低下はなかったはずなのですが。


私が今年一年の出来事を見ていて強く思ったのが昨日のエントリにも書いた「日本人は自分で物事を考え、決断して行動できない、言い換えると他力本願思考が強い人種」ということ。
昨日書いた携帯料金値下げ要請に関する話がその典型的な例ですが、携帯料金が高い、と思うのであれば自分でどうすれば携帯料金を安くできるか調べて現在の料金プランを変更したり、MVNOMNPするなどして少しでも安くする努力をすればいいだけの話なのに、そういうことをせず「高い高い」ばかり言っているのですから呆れます。

昨日のエントリに貼るべきだった画像なのですが、こういう人間が「携帯料金が高い」といっても全く説得力がないですし、政府が民間企業に圧力をかけてまでこういう他力本願な人間を救済する必要は全くない。
恐らく彼女はキャリアショップスタッフの言うがままに高い料金を払わされていることでしょうが、それは自分の無知のせいであり、誰にも文句を言うべきものではない、と私は思いますが。
そして同じような現象が今年最もホットな政治テーマだった集団的自衛権問題の議論においても見られました。

安保法案についての情報は溢れる程あるのですから、自分からそういう情報を取りに行けばいいだけの話なのに、そういったことは全くせず「分からない、説明不足だ」というのは単なる怠慢でしかない。
そもそもこの問題に関しては昨今のなりふり構わない中国の海洋進出の状況を見ていれば答えは一つしかなく、それは「集団的自衛権の行使を認めて同盟国と共に中国の脅威から日本を守る体制を作る」。
しかしメディアは中国に阿ってか中国の脅威についての報道をほとんどしないし、それについて言及する政治家もいなかったのには呆れます。
近い将来日本が中国に乗っ取られ「第二のチベット」になり、何の罪もない数百万人の日本人が虐殺されるような事態になってもいいのか、といったことをメディアや政治家が言って国民に中国の脅威に対する警告をすればこれ程ゴタゴタ揉めることもなかったと思うのですがねぇ。
それにしても安保法案採決時の政治屋共の幼稚な言動を見ていると「なぜ我々はこんな無能なクソゴミ共のために税金を払わないといけないのか」と怒りを覚えました。
彼らはまさしく「日本の恥、税金ドロボー」で、さっさと消えろ、としか言いようがありません。
話を日本人の過度な他力本願志向に戻しますが、私は今年終盤に話題になった消費税の軽減税率(実際には「税率据え置き」であり「軽減」ではないのでこう呼ぶのは適切ではないのですが、ここでは一般的な呼び方に合わせます)について当初は様々な問題があるものの必要、と思っていたものの、それについての情報が入ってきて知識が蓄積されるにつれ逆に反対の立場に変わりました。
前述の「実際には『軽減』税率ではない」ということに加え軽減税率で得をするのは結局のところ消費額が多い富裕層であり、本来救済すべき低所得者層への恩恵が少ない、つまり「金持ち優遇」である、軽減税率が適用される品目の選定基準が曖昧で、恣意的な運用がされかねない、そして日本独自事情といえる発泡酒や「第三のビール」のような税制の隙を突いた商品カテゴリーができてしまう(恐らくおもちゃは全て食玩になるだろう:そもそもお菓子に軽減税率を適用している国はないと思われるのに)、といったことが私が軽減税率反対派に転じた理由です。
とは言え低所得者層への救済策は必要ですから、それは欧米先進国に比べ高い低所得者層の税負担を軽減、つまり彼らへの直接税減税をすべき、と私は思っています。
これならばその恩恵を受けるのは低所得者層のみであり、軽減税率よりもよっぽど公平ですからね。
このように自分で情報を得て、判断する努力をすれば今議論になっていることの問題が何なのか、と言ったことがきちんと理解できるのに、それをせずに「分からない」「知らない」「説明不足だ」とか言うのは本当止めて欲しいものです。


それにしても日本のメディアは民主主義国家のそれに求められている「権力の監視」という役割を果たしていないよな、というのも今年強く感じたことの一つでした。
彼らのやることは公式発表を右から左に垂れ流すことだけで、たとえそれに問題があったとしてもそれを指摘、批判することはせず、単なる「大本営発表」を行う機関に成り下がっている。
例えば年の瀬に急遽日韓の合意がなされた慰安婦問題についての手打ちですが、「そもそも政府の公式見解が『解決済』である以上改めて日韓で協議する必要はない、何アホなことやってるんだ」といった意見が出てくるのは当然のことなのに、そういったことを述べるメディアは皆無だったのが不思議でなりません。
産経新聞あたりがそういうことを言い出しそうだったのですがねぇ。
そして物事が決まってからあれこれ批判し始める。
軽減税率に関してもそうで、与党内での密談中にはその問題を全くと言っていい程指摘しなかったのに、いざ与党合意するとその問題点についてギャーギャー騒ぎ始める。
決まってから騒いでも遅いだろアホ、そういうものは決まる前に問題点を指摘して、それを是正するように動くのが「権力の監視役」としての民主主義国家のメディアの役割だろ、と思うのは言うまでもないのですが、日本のメディアは「マスゴミ」と呼ばれるだけあってそういうことは全くしないからなぁ。
そして「特定の一つの視点からしか報道しない」というのも問題。
今年ようやくTPPが交渉妥結しましたが、これについての報道はその典型、と言えるものでした。
言うまでもなく「農家の視点」からだけの報道です。
TPPによって関税が削減、もしくは撤廃されることによって様々な品物の価格が下がる効果が期待され、つまりそれは消費者の利益となるにもかかわらずそういった視点ではほとんど報道せず、やれ安い輸入品が入ってきて農家の経営が厳しくなるだの、それによって廃業する農家が増え日本の農業が壊滅的なダメージを受けるだのといった話ばかり。

そしてこういった意見があることはガン無視。
結局のところ自分たちの政治基盤、つまり「票田」を守りたい農林系議員に阿っているだけとしか思えない報道姿勢をとっている、というわけです。
当然これは言論の自由報道の自由が保証されている民主主義国家の報道機関の報道姿勢ではありません。
そもそも日本には報道の自由なんてないと思ってますけどね。

ここにあるように日本の消費者が国際水準よりもはるかに高い農産品を買わされていることなどお構いなし。
そう言えばバターは相変わらず供給が需要に追いついておらず、品薄状態が続いていますが、それを解決しようという動きは全くと言っていい程なし。
消費者の利益よりも畜産農家の利益の方が大事、と言わんばかりの無策ぶりには本当呆れます。


書きたいことはまだまだありますが、それを書き始めるとキリがないのでこのへんで最後にしますが、今年も庶民にとって何もいいことがなかった、としか言いようがない一年だったのは間違いないでしょう。
無能な政治家や役人のせいで国益はどんどん欠損し、国際的な地位も低下。
そして国民の生活はどんどん苦しくなるばかり。
今の日本は向かっている方向が「滅亡」であることが明確なのにブレーキをかけることもハンドルを切ることもせず、それどころか更にアクセルを踏み込む、という普通では有り得ない状態になっていますが、日本人は怒り出すことも、現状に見切りをつけて海外に移住する、といったこともせず、ただ黙って死を待っている、というこれまた普通に考えれば全く理解できないことを平気でしている。
特に若者が何もしないのには呆れます。
私のようなオサーンとは違い彼らには大きな可能性があるのですから、滅亡が避けられない国に閉じこもって何もしない、というのは有り得ない、彼らこそ海外に出てそこに活路を見出していかないといけない、と私は思っているのですが…
私が彼らの立場であれば速攻でこんな国捨てて海外に移住する道を選びますけどね。
「滅亡」が約束されている国にしがみつき続ける、なんて有り得ませんから、たとえ異国の地で苦労することが多くてもそこで努力し、生きていく道を選ぶのが賢明だと思っていますが。


この調子だと来年も何も変わらないのは間違いなく、それを考えるとまだ年が明ける前から嫌になってしまいますが、そういった状況であっても新たな道を切り開く努力は怠らないようにしないと、と思います。


それではよい新年を。