しのばずくん便り

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「ギャラリーKINGYO」 外部と内部がゆるやかにつながりあう空間

  

路地の一角、緑に映える赤い看板が眼に入ったかと思うと、突如涼やかなコンクリートの土間が広がります。それはまさに都会のポケットパーク。実際、散策途中に一休みされていく方もいらっしゃるとか。でもここがかつては倉庫であったことなど、おそらく誰も気がつかないでしょう。
土木・建築イラスト制作会社(株)SD602の併設ギャラリーとして、2000年にギャラリーKINGYOをオープンされたご主人は、自らのデザインで倉庫を改修。「外部空間と内部空間のゆるやかなつながりを表現したい」と考え、広々とした外土間と内土間をガラス窓で仕切る、風通しのよい開放的な空間を作り上げられました。その「外部を内部に引きこむ」ようなデザインに心惹かれ、つい足を止めてしまう方がいらっしゃるのもうなずけます。
さらにご主人のこだわりは、閉廊後の佇まいにまで。「死んだように閉じるのではなく、眠っているように見せたかった」とおっしゃるご主人は、シャッターの代わりに木製の建具を設え、柔らかな雰囲気を演出されています。
そんな空間でご主人が紹介される作品は、モダンアートが中心。「常に努力、前進を続けていらっしゃる方の作品を展示したい」とおっしゃるご主人は、同時に、より多くの人にアートに触れてほしいと考えていらっしゃるそうです。「アートというと敷居が高いように思われがちですが、そんなことはありません。どうぞ気楽にたくさんの作品に触れてみてください」とご主人は微笑みます。
いとまを告げて表へ出ると、赤い看板を彩る丈高いつたが見送ってくれます。実はこのつたのなかに電柱が隠れていることも、取材を終えた私たち以外誰も気がつかないだろうと考えると、なんだか楽しい気持ちになるのでした。 (青秋部I&N)

取材当日は、蓑輪弘さんの1994〜1996年の作品を紹介する「背からの風景」という展示が開催されていましたが、4月24日(火)から一箱古本市当日の29日(日)までは、「記録」と題した西原在知さんの個展を開催。また7月3日(火)〜22日(日)には、最近『ブリキ男』を出版された、秋山祐徳太子さんと美濃瓢吾さんの二人展「ブリキ男と招き男」を開催されるそうです。詳しくはギャラリーKINGYOのHPをご覧ください。

*ギャラリーKINGYOご主人の愛読書
『死ぬときはひとりぼっち』レイ・ブラッドべリ著 文藝春秋
「ファンタジックな世界に惹かれ、時折手にとっては、ぱっと開いた頁の景色を楽しんでいます。」

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*ギャラリーKINGYO
文京区千駄木2−49−10
http://www13.plala.or.jp/sd602kingyo/
開廊時間 12時〜19時(会期最終日は17時まで)
休廊日  月曜日