著作権の存続期間の延長の議論

長谷川宏訳、作品社、ISBN:4878932945

はてなブックマークで見た著作権の存続期間のの延長に関する朝日新聞の記事。
http://www.be.asahi.com/20050716/W13/0040.html
私自身は、存続期間の延長に関する議論の材料を集めていないので、延長すべきか否かは、判断しかねる。
そりゃあ、著作権の行使を受ける側である利用者の立場からは延長しないほうが良いのだけれど。
優等生的な意見だが、国際的調和と、権利者の利益と、利用者の不利益とを考量して判断する必要がある。


で、この朝日新聞の記事にある三田氏の話だが、存続期間の延長を望む側の意見としては説得力に欠けるというか、野蛮な国の話なんて、反対論者に突っ込みを入れられるために書いてあるのかとさえ思ってしまう。
著作権存続期間が延長されれば、青空文庫で公開される著作物が先送りになるので、青空文庫が反対するのは、至極まっとうな意見だと思う。
次に、この記事にある、作品が埋もれる問題についてはどうだろう。
作品が埋もれる問題は、作品の流通か作品の契約の問題が大きいと思っている。
出版業界は知らないので、出版されるときの著作者と出版社との契約がどのようなものかは知らない。この契約が、著作権の存続期間が切れるまでの専属契約であるのなら、著作権者が出版を望んでも出版社の都合で出版できない、そういう契約が問題であろう。
存続期間と作品が埋もれることとの関係については、もう少し考えてみたい。


記事とは話が外れるが、この前、ラフカディオ・ハーンの作品を読み返したくなって、実家には文庫本があるのだけど、かといって買うほどでもないということがあった。ということで青空文庫を見たけれど、現時点では載ってなかった。
著作権が切れたとしても、人気の有無などで青空文庫に載るのに遅速はあるだろうと思った。
外国の作品で、著作権が切れた後に新訳が出るのは、ボランティアの場合を除いて人気がある作品だろうなあ。そう思って、手元に転がっている精神現象学の著者であるヘーゲルの没年を調べたら、1831年であった。
この本は、哲学に興味があるから買ったのではなくて、新聞の読書欄で、新訳を絶賛しているのを読んだから買ったもの。まさに積読状態で、未だに前書きも読んでない。