学校の寮は集団暴行の温床

岡山県津山市の私立作陽高校の生徒寮で1991年、当時生徒だった男性(現在31歳、兵庫県姫路市在住)が寮内で集団暴行を受け、ひじに後遺症が残ったりPTSDになるなどしたとして、学校を運営する学校法人に損害賠償を求めていた訴訟がありました。
 この訴訟について大阪高裁は7月5日、一審神戸地裁判決に引き続いて原告側の主張の大半を認め、学校側に損害賠償を命じる判決を出しました。

 生徒寮を設置している高校も全国的には一定数あるようですが、悪質な集団暴行・集団いじめの温床となるケースも残念ながら多くあります。
 今回の事件でも、被害者は後遺症の出るような暴行や、暴行を受けたことによる精神症状などを発症しています。事件発生から15年もの間、被害者が後遺症に悩まされ続けたことを考えると、非常につらい思いになります。

 裁判では賠償金の額で計らざるを得ない傾向がありますが、ことの本質は原告の方がいわれているように「今回の判決が、同様のいじめの再発防止につながれば」ということです。
 「同種のいじめを発生させないために、学校側は何をしていくべきか」を学校や教育関係者がしっかりと研究し実践していくこと、このことこそが真に求められているといえます。

二審も賠償命令 岡山・作陽高集団暴行(『神戸新聞』2007/07/05)

 岡山県津山市の作陽高校の寮で集団暴行され、心身に障害が残ったとして、姫路市の元生徒(31)が同校を運営する学校法人作陽学園倉敷市)を相手取り、約五千万円の損害賠償を求めた控訴審判決で、大阪高裁(若林諒裁判長)は五日、学園側の安全配慮義務違反を指摘した一審判決を支持し、同学園に約二千八百万円の支払いを命じた。
 判決によると、元生徒は一九九一年四月、「桃山寮」(現在は閉鎖)に入寮。同年五月下旬から七月上旬にかけて、夜中に寮内で、上級生から集団暴行などを受け、左ひじの曲げ伸ばしが困難になる後遺症のほか、精神的苦痛を受けた。
 昨年七月の神戸地裁姫路支部判決が「閉鎖的な寮では、学校以上の安全配慮が必要」と指摘した点について、若林裁判長は「さらに、学園側には注意義務違反もある」とし、寮内のいじめを防げなかった学園側の不法行為を認めた。
 心的外傷後ストレス障害(PTSD)については、一審同様「直接の因果関係はないが、後遺症による精神的苦痛を受けたのは明らか」とした。
 判決後、原告の元生徒は「今回の判決が、同様のいじめの再発防止につながれば」と話した。同学園は「判決の内容を見て、今後の対応を検討したい」としている。