『アメリカン・スナイパー(American Sniper)』劇場鑑賞

私も観ました。賛否両論は知っていましたが、見ようと決めていたので。
公式:http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/

(1)
まず、「蛮人」という字幕ですが、私も鳥越俊太郎同様、
訳すと"barbarian"になる認識でした*1が、バーバリアンというセリフが聞き取れず、
聴きとれた単語は、"savages"でした。で、その意味知らなかったので検索したら、
下記のオリヴァーストーン映画がヒットしました。

野蛮なやつら/SAVAGES Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E8%9B%AE%E3%81%AA%E3%82%84%E3%81%A4%E3%82%89/SAVAGES

オリヴァーくんといえばかつてはワーナー御用達でしたが、
数字がとれなくなったせいか最近はお座敷がかからず、この映画も、
老齢だが監督業としてはオリヴァーくんより後輩のクリント姐さんが勤めました。

話を戻すと、"savages"はこの映画の英語版Wikipediaのあらすじにも出てくるので、
私のそらみみでないことは確かです。

英語版Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/American_Sniper_(film)#Plot

(2)
この映画もアザーンから始まりますが、アザーンからはじまる映画といえばエクソシストです。
エクソシストは三大啓示宗教発生以前の破壊神バズスがアイラクの発掘現場に重なりますが、
アメリカンスナイパーはディアハンターのシーンに飛んで、
でもロシアンアメリカンではないのでコサックダンスの結婚式をやるわけでもなく、
私の高校の同級生にも、防大に行かず直接自衛隊に入隊した奴いたなあ、
志は分かるけど、いじめとかだいじょうぶだったんだろか、
大陸浪人したためノンキャリで警官になった奴とか完璧警察学校で目ぇつけられたもんな、
等々回想しながら見ていて、腐女子への引き金を忘れた頃にまた腐女子に引き戻されます。
嫌な演出だな、そうやって戦争を直視させようってんだな、分かったよ、と思いました。

(3)
ナンバープレートですが、米軍車輛すべてプレートがありませんでした。
日本で走ってるのにはアメリカのプレートがついてるのに、なんでやろと思いました。
イラクのクルマについてるプレートには、あちらの数字が書かれていました。

http://ar.wikipedia.org/wiki/%D8%A3%D8%B1%D9%82%D8%A7%D9%85

(4)
テキサスのウヨッキー青年の人格形成の部分で、間男がボコられるのはいかにも米国で、
日本だとなぜか女性がやられますよね。アメリカ男性は女には手をあげない。
(実際のイタリア系とかよく知りませんが、とりあえずそういうことになっている)
寝取られた男が間男をぼこる。そういう伝統らしいと昔も聞きました。
で、ロデオのシーンですが、アメリカ郊外青少年(白人)の好む遊びは、
かつてのネイティヴアメリカンのそれに驚くほど酷似している、
という文化人類学の本の話を昔聞いたのを思い出しました。
人種も歴史も宗教も違うのに、気候風土に影響されて似たものになってしまう。地霊。
確か、グランドブダペストホテルの監督もテキサス人のはずで、
同じ風土が狙撃手と欧州かぶれのスタイリッシュディレクター両方を育んだと思うと、
それもおかしかったです。

(5)
以下ネタバレ
帰還兵たちのメンタルケアの集団ミーティングに出るのは当然分かりますが、
マン2マンで会うのは危険だろう、と思ったら、案の定そういうことでした。
相手をよく知った上でなら、個別に会うのもありだと思いますが、
よく知らない相手、こころのアレな相手と逢って巻き込まれるリスクを考えると、
皆のいるところに出てきてもらうのがよいのですが、そういう人は、
なかなか出て来ないし、一対一でも、自分のことを話さないで、
他人を上から目線であれこれとか、一般論とかそればかりで、時間の浪費とか思うと、
やっぱりみんなのいるところに出ておいでよ、と言うしかないと思います。
というか、それで巻き込まれて死んだ、という映画です。それだ。以上

【後報】
アメリカンスナイパー見たら、張芸謀の"The Flowers Of War"、
『金陵十三釵』も観たくなりました。やらないかな。やれないんだろうな。

金陵十三釵 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E9%99%B5%E5%8D%81%E4%B8%89%E9%87%B5

基本的に同じテーマだと思いますが、だいぶ違うというか、難しいかな。
要するに便衣狩り。
(2015/3/18)