実名が出て

承前*1

『読売』の記事では実名が出ている。


留学生ホステス10人以上?斡旋教授は常連客

 岩手大に通う女子留学生にホステスの仕事をあっせんしていたとして、同大の岡崎正道教授(59)が入管難民法違反(不法就労助長)容疑で書類送検された事件。

 海外の大学が岩手大との交換留学をいったん見合わせることを示唆しているほか、留学生の友人によると、「(留学生は)『母校の顔に泥を塗った』と反省しきりで、ずっと落ち込んでいる」といい、岩手県の国際交流に影を落としている。

 盛岡東署などの発表によると、岡崎教授は昨年10月26日と今年2月9日、盛岡市内の喫茶店や国際交流イベント会場で、同市内のスナック経営者らに対し、就労資格がない同大の中国人1人、ロシア人3人の計4人の女子留学生をホステスとして紹介し、不法就労をあっせんした疑い。

 県警は7月、経営者らを入管難民法違反(不法就労助長)などの疑いで逮捕。店に昨年3月〜今年7月に勤務していた女子留学生と、昨年10月〜今年7月に働いた女子留学生2人も同法違反の疑いで逮捕した。

 県警は、留学生たちが店で働くようになった経緯を捜査し、岡崎教授が経営者に紹介していたことを突き止めた。

 経営者は罰金80万円の略式命令を受けており、この留学生3人は7月25、26日に処分保留で釈放されている。

 岡崎教授は経営者と付き合いがあり、店の常連客だった。元従業員によると、辞めた留学生も含め、10人以上が働いていたという。また、別の従業員が岡崎教授に「留学生を働かせて問題ないか」と尋ねたところ、岡崎教授は「大丈夫」と答えたという。常連客だった男性(49)は、「留学生から教授に店を紹介してもらった、と聞いた。教授のお墨付きなら大丈夫だと思っていた」と話した。

 同大によると、岡崎教授は1991年9月に同大教授に就任。2004年4月からは、留学生の受け入れなどを行っている同大国際交流センター*2に勤務している。

 岡崎教授はこれまでの読売新聞の取材に対し、「一切説明できない」と話している。
(2013年8月27日11時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130827-OYT1T00364.htm

事件が事件だからといって、岡崎氏の学者としてのキャリア(専攻とか業績とか)が全く言及されないってどうよと思った。岩手大学のサイトでも岡崎氏に関する情報はない*3。何故か「三島市立図書館」のサイト(静岡県のですよね?)にCV情報が載っている*4。専攻は「日本語・日本事情教育,日本思想史」であると。さらに、1997年に岩手大学人文社会学部の紀要『人間・文化・社会』に発表された「近代日本と国体観念」という論文についての情報に辿り着いた*5。サマリーに曰く、

「国体」と言えば,戦後世代には「国民体育大会」の略称としか伝わらない。しかし戦前においてはこの言葉は,天皇を神聖不可侵の絶対的存在と位置づげ,これに対する無限の忠誠を日本人の崇高な責務として強要する,イデオロギーの表現にはかならなかった。大戦末期には,「国体護持」に固執するあまり戦争終結の方策を誤り,ついに原爆の惨禍を阻止することもかなわなかった。すなわち「国体」と引き換えに,幾十万の無筆の生命が奪われたのである。アジアの無数の民にはかり知れぬ痛苦を与えた侵略行為の根底 にも,この「国体」の妄想があったことは言を持たない。そしてこの観念に対し異を唱える者は「国賊」「非国民」の罵声を浴び,疑念なくこれを信奉すべく大多数の日本人が徹底的に精神を呪縛された。まさに一億総マインドコントロールの恐怖である。 だがかかる「国体」の観念は,実は戦時中の軍国主義の特産物ではない。その淵源は,幕末期のナショナリズムの高揚の中で唱導された,国家独立の希求のスローガンにある。本稿では,そうした前史をふまえつつ,近代日本における国体観念の諸相について論じてみたい。
ほかにも、岩手大学の紀要に発表された論文については、http://ir.iwate-u.ac.jp/dspace/simple-search?query=%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E6%AD%A3%E9%81%93を参照のこと。近代日本思想史の研究家としてかなり面白い研究をされていたようだが、21世紀に入ってからは発表が途絶えている。ただそれと反してというべきか、検索してみると、岩手県においてはかなりの著名人であったことがわかる。