It’s the Sustainability, stupid!

2010-10-04

「ついにNASAが認めた!地球温暖化詐欺!」記事のホントのところ

| 21:09 | 「ついにNASAが認めた!地球温暖化詐欺!」記事のホントのところを含むブックマーク

結論の要約

結論から言うと、懐疑論の記事は実に都合のよいトリミングの産物にすぎず、NASAは相変わらず人為的な気候変動は大問題だと考えております。嘘だと思うならばNASAウェブページをご覧になればよろしい。

ここがNASAの気候変動特集ページで、ここが気候変動の原因についての解説です(英語)。

本文

今回は実に孫引き孫引きの連続ですが、きっかけは以下の記事。

ついにNASAが認めた!地球温暖化詐欺!:ハムスター速報 - ライブドアブログ

および同はてブ

その記事が引いているこの記事で「最近のNASAの研究が人為的な温暖化を否定した」という風に読み取っていた元の記事を読んでみましょう(最近といっても2008年の記事ですで、本気で「認めた」ならなんで気候変動特集ページがそうなってないんだという疑問が)。

この記事はさらにNASAのこの記事を引き写していると書かれています。

確かにそれっぽい語句は並んでいますね。"Non-Human Influences on Climate Change"とか。

…これ、正しく訳せばたとえば「人以外の気候変動への影響」であって、「人と気候変動との関わりがない」という風に読めば勘違いになります。

また、懐疑論ブログでは「この研究において、太陽の輻射による気候変動の証拠が産業革命の時代までさかのぼって見出された」とあります。が、そんな記述はこのレポートには実在せず、代わりに「産業革命以前は太陽が主な気候変動の要因だった」という記述があるのみです。もちろんそのことはすでにIPCCも認めている通りですし、今も影響を与えていないわけではない。


では本当のところ、具体的にどの程度の影響があるとNASA科学者は考えているのでしょうか。元記事を読み進めると、「太陽の変動によって気温は0.1℃前後変化する」という部分が見つかります。

"The fluctuations in the solar cycle impacts Earth's global

temperature by about 0.1 degree Celsius, slightly hotter during solar

maximum and cooler during solar minimum," said Thomas Woods, solar

scientist at the University of Colorado in Boulder.

またその直後には、現在の太陽は極小に近く、2012年にはおそらく最大になるだろうという記述も。この記事に出てきたもともとの研究は、太陽活動の11年周期が気候に影響を与えてきた事が過去の気温にさかのぼって読み取れたというものなので、タイムスケールも温度の幅も小さいわけです。

一方、現在見出されている地球温暖化は、ここ100年で0.6℃。2004年の少し古い研究ですが、そのうち0.15℃が太陽の活動量の変化によるもので、それは25%に相当すると見積もっています。

Over the past century, Earth's average temperature has increased by

approximately 0.6 degrees Celsius (1.1 degrees Fahrenheit). Solar

heating accounts for about 0.15 C, or 25 percent, of this change,

according to computer modeling results published by NASA Goddard

Institute for Space Studies researcher David Rind in 2004.

25%というのはもちろん決して無視できない大きさですが、残りの75%は太陽以外が原因であり、その大部分が人間の活動によると今のところ考えられているわけです。

まったく、気候変動懐疑論の良いとこどりにはいつもあきれるばかりです。

yingzeyingze 2010/10/05 13:03 すいません温暖化問題に詳しそうなので質問なんですが。
ツバルが温暖化に伴う海水面の上昇で水没すると言うのはデマでしょうか?

たなかたなか 2010/10/05 15:50 普段、マスコミをバカにしてるが、2chのまとめ系はみんなサクッと信じるというか、テキスト情報を疑わないというか。。

mixi辺りを眺めると、「そうだったんだww」とかばかり。
いやー、日本人は洗脳/思想誘導が楽でいいよね。

セレステセレステ 2010/10/05 19:45 どっちもどっちという気がしますが。
もう一度、学問の場に戻し、一旦政治は手を引くべきではないでしょうか? 論拠の基になったデータが検証できない(開示されないから)以上そのデータを基にした理論も検証できないのです。 もう一度、今度は検証できる形で再度やり直すべきでしょう。

sus-edusus-edu 2010/10/05 22:38 > yingzeさん
ご活躍は常々お見かけしております。別に次に記事を書きますのでそちらをご覧ください。ただ、記事と関係ない質問するなんて必死なんでしょうかねぇ、とはちょっと思いました。

>たなかさん
日本人に限った事ではないと思います。ただ、ツールとして2chまとめっていうものが充実しているという事はあるかもしれませんね。

>セレステさん
何がどっちもどっちかは分かりませんが、例の疑惑のあった気温データセット以外にも、平均気温データセットは存在しますし(IPCCの報告書を読んだ事があれば見た事があるはずです)、10年あたり0.1度前後のばらつきはあっても、10年あたり0.7度程度の上昇傾向があるというところまでは確実ですよ。そのほかについては別に記事をあげます。

セレステセレステ 2010/10/05 23:13 10年で0.7℃も気温上昇していたら、それは問題でしょう。 まあ10年で0.07℃の間違いと思いますが。 問題は基データを開示できないことではないでしょうか? 何故開示できないのでしょうか? 3次報告では明らかに作為的な操作が行われて話題となりました。 
気象庁のデータも見ても気温上昇はわかりますが違いもあります。 都市化の影響も考慮すれば気象庁のデータでは1900年〜1950年までの気温上昇と1950年〜2000年までの気温上昇には大差がありません、1950年以降都市化の影響を多少でも考慮すればほぼ同様でしょう、それは北半球と南半球の差異からも想像できます、南半球ではほとんど1950年以前と以降で一定です。 そして人為的な二酸化炭素が急増しいたのは1950年以降ですから気象庁のデータからは人為的というより自然増と考えたくなります。 これが大きな違いです。また2000年以降気象庁のデータでは顕著な気温上昇は認められません。 これもIPCCの4次報告には記されていません。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html

sus-edusus-edu 2010/10/05 23:50 ああ、100年で0.7度でした、失礼しました。すみません、今まさに裏で、吹っ飛んだHDDのサルベージ作業をやっておりまして、ちと集中力が散漫になっています。

データ開示については専門家の書いた以下の記事をお読みください。コメントもそちらへどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/masudako/20100716/1279258003

気温の変化については、その気象庁の回帰直線の引き方だけが正しいわけではないという事です。始点と終点の取り方次第で見え方は変わって来るもので、たとえば1950年を基点とした実際の回帰直線は、その気象庁の直線よりも傾きが大きくなると、回帰直線を実際によく扱う人なら何となく分かるものです。具体的には、回帰直線の起点は1950年の実際の気温より低いところに来るはずです(データセットが手元にないのでお見せする事はできませんが)。
これについてはIPCC第一作業部会の技術要約のTS図6にも出てきますのでご覧ください。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_ts_Jpn.pdf

提示提示 2010/10/06 00:08 データの開示は学問的な議論をするには必要不可欠であり実験データの無い論文は認められません。 いくら理由があろうと検証できない以上それは科学ではなく単なる思想や信条となってしまいます。
 二酸化炭素は空気中では極めて微量な気体ですぐ拡散してしまいます。 つまり南半球北半球でほぼ同一濃度です。 それから考えれば南半球も北半球と同様の気温上昇を示すはずですが南半球は明らかに1900年以降の気温上昇には変化がありません。 北半球は都市化の影響が強く表れるので、これを無視できるとしたIPCCの報告書は全く納得できません。 気象庁のヒートアイランドの記述を見ても比較的都市化の影響の少ない都市を選んだとする日本の平均気温でも都市化の影響はあるとしています。

sus-edusus-edu 2010/10/06 00:20 いやぁ、温暖化詐欺詐欺の方々が頑張っておられますねぇ。
データ開示については上に述べたとおり。

「それから考えれば南半球も北半球と同様の気温上昇を示すはずですが」
たぶんそのあたりに素人考えがありそうです。海と陸では比熱やアルベドが違うので、強制放射力が同じでも気温の応答の仕方は違っていて当然ですし、海の多い南半球の方が気温が上がりにくいのは、都市化云々をさておいても納得できるところですね。

「これを無視できるとしたIPCCの報告書は全く納得できません。」
データ同化という手法についてご存じないならば仕方ないですが、一応これも統計学をしっかり使った方法で、都市化の影響を除去することができるので、ご興味がおありならば是非お調べください。

日本の都市化の影響の話は東北大の近藤先生の話ですかね。ご参考までに、近藤先生が都市化の影響を除去した全球平均に近いと思われる日本の平均気温上昇傾向の数字は、実はIPCCのAR4に出てくる数字(疑惑のCRUも含めて!)とかなり近いのです。

セレステセレステ 2010/10/06 00:34  アルベドが違っても二酸化炭素が増えれば温暖化の速度に変化があるはずですが南半球にはそれがない。 つまり人為的二酸化炭素の影響は表れていない。
 おっしゃられるとおりIPCCの4次報告に近いのですつまり都市化の影響で比較的都市化の影響が少ないとした日本の平均気温ですら1.1℃が0.7℃と約0.4℃も現れています。 これがそうした考慮もしていない世界の平均気温ではどうなるでしょうかIPCCは都市化の影響は無視できるとしていますので日本以外のデータは都市化は考慮されていないと気象庁のHPは書かれています。

セレステセレステ 2010/10/06 00:48  ちょっと書きすぎました明確な都市部は除去してはいますね。

sus-edusus-edu 2010/10/06 00:51 >セレステさん
そもそも海の蓄熱量は大気とは比べものにならない(技術要約にも出てきたかな?ARには確実には書かれています)ので、その「はず」はちょっと安易に振り回すべきではありませんね。モデルでも回して実証してからコメントしてください。
ところでお気づきでしょうか、南半球の気温も1950年あたりで切ってみると回帰直線が実はちょっと変わりそうなんですよ。1945年頃の高温が結構効いているので、それ以前の傾きがどうなるかはちょっと読み切れないのですが、1950年以降はやはりこの回帰直線よりは傾きが急になるはずですよ。

sus-edusus-edu 2010/10/06 01:36 *お知らせ*
記事と関係ない独演会コメントを一件消去しました。

セレステセレステ 2010/10/06 01:40  まだデータを基に統計や解析を行う余裕はありませんが、どう見ても一定のように思えます、読まれている方がおりましたらご自分でご確認ください。 面白いと思うのは二酸化炭素濃度と気温の関係は良くグラフに出てきますが人為的な二酸化炭素排出量と気温の関係は出ておりません。 本来比較すべきなのはこの二つの要素だと思います。 この二つの要素ではまともに相関がとれません。 
 それからこれも重要ですがおっしゃられるように水は空気の約4000倍の熱容量を持ち約24倍の熱伝導率を持ちます。 空気と水(海)が接触した場合、空気は海面水温にすぐ近づきますが海面水温はほとんど変化しないはずです。 つまり気温上昇が海面水温を上昇させるのではなく海面水温が大気温度を変化させることになります。 海面水温が100年で約0.5℃上昇し、その結果大気温度がそれに近い値上昇したと考える方が自然です。 つまり地球温暖化のかなりの部分は海面水温上昇によって起こったことになります。 これに都市化や様々な要素が加わり0.7℃という気温上昇になっているのではないかと考えています。 様々な要素の中には人為的な二酸化炭素も含まれると思いますがIPCCの報告書よりはるかに影響は少ないのではと思います。 この部分は武田教授の影響ではなく昔から疑問に思っていることです。
 もしこのコメントを読まれる方があればご自分で気象庁のデータ等を見てみることをお勧めします。 いろいろ疑問がわいてくるものです。

sus-edusus-edu 2010/10/06 02:26 >人為的な二酸化炭素排出量と気温の関係は出ておりません。本来比較すべきなのはこの二つの要素だと思います。
どういう理路でそのようにお考えかは分かりませんが、物理学的に単純に考える限りでは、二酸化炭素濃度が気温に影響を与えると考えるべきで、人為的な二酸化炭素排出量(二酸化炭素濃度の微分とおおざっぱには見なせる)と気温を比較しても次元(まさにディメンション)の違う話のはずです。相関が出なかったとしても不思議とは思いません。

>つまり気温上昇が海面水温を上昇させるのではなく海面水温が大気温度を変化させることになります。
そもそもその海水温を変化させる原因の説明がありませんね。元の記事に戻るならば、太陽放射の変動はさほど大きくないので(まさか地熱というのも、現場が深海底なのでまず考慮しなくて良いでしょう)、典型的には大気からの下向き放射が増えたと考えるべきところかと思います。…あれ、それって温室効果ガスのせい?
あとは気化熱なんかもあるのかもしれませんが、もう眠くてまともに考えられないのでこの辺はパス。おやすみなさい。

らいひらいひ 2013/09/25 11:34 気候が先に変動してCO²がそれに続くという観測結果は、CO²温暖化説に根拠を与えたと言われているキーリングのその後の観測結果でも出ていたことです(彼は1957年あたりから南極とハワイで観測していました)。
大気圏に火山の灰色の噴煙が入るだけで(太陽の光が遮られるだけで)その年の気温は著しく低下するくらいなのですから{1991年夏のピナツボ火山の影響で2年間気温が上がらず、大気中のCO²も横ばいだった観測結果が東京と岩手の観測所でも出ていました}。
温室効果ガスの主成分は水蒸気(飽和水蒸気)で30度で42000ppm、0度でも6000ppm。それを差し置いて、385ppmしかないCO²を一番の原因にして気温を上げるのは無理ですよ★

現在2013年ですが、日本はラニーニャが発生したので夏は猛暑でした。 北極圏の氷は去年の6割増え、7月半ば南米に寒波が襲い、常夏の国ブラジルでは⁻7.4度を観測。サンパウロ市では1961年の観測以来記録一番の寒さを観測。
イギリス気象庁は昨年、「地球の温暖傾向は97年に終結した。ここ10年、地球の平均気温は下がっている(最新データでは0.3℃下がっている)」と 3万個の実測データ を元に公式発表。アメリカ 国立太陽観測所も近年太陽が休止する兆候が見られると発表。日本でも今年になって国立天文台理化学研究所の研究者を中心とした国際チームが 要約すると極小期と同じ黒点の数であると(「地球が寒冷であったと言われるマウンダー極小期やダルトン極小期には、太陽がこのような状況にあったと考えられており、今後の推移が注目されます。」 )観測結果を発表。

らいひらいひ 2013/09/25 11:38 失礼。 北極圏の氷 ではなく、
北極の氷海は去年の6割増し です。

南極の氷海はここ30年で一番の面積になっています。

sus-edusus-edu 2013/09/25 21:45 はじめまして、らいひさん。
まず「気候が先に変動してCO2がそれに続く」というのは、確かにキーリングの論文にもありますが、その元々のコンテクストの理解が正しくありません。なぜなら、あのグラフはそもそも石油などの化石燃料によって排出されたCO2の増加分を取り除いて作られているものだからです。人為的な影響と周期的な季節変動を取り除いた限りにおいて、「気候が先に変動してCO2がそれに続く」というのは正しいということをキーリングは示したのです。このような機構が地球にあるので、人為的な排出量と気温をあまりに単純な比例関係のようなものとして捉えることは出来ないことを示したのです。
詳しくはNatureの彼の論文に当たってみていただければ。
Interannual extremes in the rate of rise of atmospheric carbon dioxide since 1980

sus-edusus-edu 2013/09/25 22:17 つづいて水蒸気については、もちろんIPCCの報告書に載っているようなモデルはいずれも考慮しています。考慮されていないとお考えであればそれは間違いです。
水蒸気には実際、濃度がどうあれ強い温室効果があります(むしろ濃度だけ見るならば酸素や窒素の方が濃度は高いので、単位あたりどれだけの温室効果があるかを論じなければ間違いですね★)。
ただし、地球の気温が水の氷点や凝縮点付近を行ったり来たりするような環境であるため、その温室効果は不安定です。極端に言えば、たとえば水蒸気だけで気温を保っている惑星は、一度何かの拍子で雨が降ると、それっきり元の気温には戻れないということです。
その点、CO2のような長寿命の温室効果ガスが増えることによって、水蒸気の大気中の期待される寿命が長くなり、正のフィードバックとして働くのです。
もし、水蒸気濃度だけで全ての最近の気候変動を説明できるようなモデルが開発されましたら、お教えいただけると幸いです。

sus-edusus-edu 2013/09/25 22:21 海氷面積については現在最新のエントリ(2013-09-10)を読んでいただければ説明出来ていますので省略します。そもそも海氷面積を取り上げて気温を取り上げていない懐疑論者の皆様の行いが大変不思議なのですけれども。寒くなったと言いたいならば気温の観測結果を見せればいいはずなのですが…