素天堂拾遺

2017-12-20

小栗虫太郎資料集ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信」「黒死館骨牌」通販開始

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お待たせしました。文フリ新刊小栗虫太郎資料集ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信」と再版した「黒死館骨牌」の通販受付開始します。通販フォームからどうぞ。

f:id:sutendo:20171110091024j:image:medium「魔方陣」デューラーメランコリア?」から

今回の一本目の柱は、28頁の本文と豊富な画像、多数の註釈を配したウォルフガング・ボルン「呪物、肌守および護符」で、人類学における念呪の本格的略史であり、もう一本が法医学の権威古畑種基による「人相と手相迷信」で、洋の東西の手相学、人相学の基礎と、西洋骨相学の歴史にまで目配せした名論文です。

f:id:sutendo:20171019185934j:image:medium「人相と手相迷信」挿図

新刊盛林堂書房さん、古書いろどりさんでも若干部取り扱い頂いております。

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「黒死館骨牌」は通販のみです。

2017-11-19

お久しぶりの新刊告知です。「ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信

新刊】11/23文フリ東京 オ74黒死館附属幻稚園

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小栗虫太郎関連資料集ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信」A5 116P 800円を頒布します。おなじみ戦前「チバ時報」「科学画報」より復刻、人類の根源的魔術世界をお楽しみください。

今回も、「チバ時報」「科学画報」を二本の柱に充実した内容です。

特に一本目の柱は、28頁の本文と、多数の註釈を配したウォルフガング・ボルン「呪物、肌守および護符」で、人類学における念呪の本格的略史であり、もう一本が法医学の権威古畑種基による「人相と手相迷信」で、洋の東西の手相学、人相学の基礎と、西洋骨相学の歴史にまで目配せした名論文です。こちらも多くの学者が取り上げられていました。

その多くは医学関係者であり何とか註釈作業もすすめましたが、一件カナ書きでは現綴が掴めない人名が残りました。これは不詳物件で残そうかと思ったのですが取りあえず、もう少し探索してみることにしました。

その姓は「コッチェブユー」、いったい何人なのかどうみても誤植にしか見えないし、ファーストネームもわからず、同時代の医学者にも該当する人名はなかったし。やむを得ず骨相学の創始者ガルの初期からの、詳細な歴史サイトを隅から語彙の照合をすすめました。その初期ツアーの中で、ベルリンでガルを宿泊させた友人に、そう読める姓の人物が表れたのです。Mr. Kotzebueがその綴りですが、記事によると親密な友人とあり、古畑記述とは相容れないと思われました。そこでヤット見つかった原綴を元に再検索にかかると、当時の進歩派で、若くして暗殺されたある人物にたどり着きました。August Friedrich Ferdinand von Kotzebueです。とはいってもこの人物とガルの接点はなさそうだし、やむを得ず同名のアラスカの町の語彙の嵐を避けるようにgallと合わせてさらに検索を進めました。と“The Organs of the Brain”という英語笑劇出会いました。これは調べて見るとが古畑の言う、初期の脳科学を笑った喜劇からの英訳で、原題は“Die Organe des Gehirns”でした。

f:id:sutendo:20171119154459j:imageこれがその口絵。

お粗末ですが、こうやって註釈にたどり着くというたどたどしい見本についてでした。

2017-07-24

老耄の域

先日久しぶりに古本市抽選に当たった。1962年発行の「SFマガジン 臨時増刊 特集 恐怖と怪奇」だった。

大喜びで会場を出ようとしたら、一階で古本屋ツアーさんに出会った。軽くご挨拶したのだが、よっぽどニヤケていたようで、一発で見抜かれてしまった。ところがである。その号には、記憶も生々しい「信号手」も「十三階の女」も載っていなかった。先週野暮用で、S教授とお会いした際に、そのことを愚痴ったら、何を今更という反応だったが、まあ、年寄りのノスタルジイですと申し上げた。その場は所用もすみ、お別れしたのだが、その日のうちに「つぶやき」でくわしい答えを返して頂いた。単なる素天堂の勘違いで、その前の年に、発行された同企画混同していたのであった。半世紀も前のことだから、記憶違いもやむを得ないが、ちょっとがっかりだった。今の作業が終わったら、改めて平井呈一怪異エッセイでもじっくり読み返してみよう。

ともう一つ、先週末三井記念美術館の帰り、丸善によって、三十年ぶりの復刊だった『星戀』の中公文庫版を買った。帰りのバスの中で、K山に、この中に抱影が松本泰に貰った革ジャンパーの話が出るよと自慢していたのだが、ざっと読んでみたところどうやらそれも空振りだった。泰夫人松本恵子のエピソードが登場するので、どうやらこれも他の著作混同していたらしい。「つぶやき」でもつい昔話に引っかかって、口を挟みそうになるのだが、気をつけなければなるまい。

『星戀』少し丹念に読んでいくと、「空の祝祭 十一月」132pに勘違いのもとをみつけた。泰譲りだったのは、革ではなく純毛のジャンパーであった。

2017-05-08

幻想哲学小説創造者」ミュノーナ 通販開始お知らせ

文フリ東京24、たくさんのご訪問ありがとうございました。

当日初売りの「創造者」通販開始致します。

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幻想哲学小説創造者」B6 132p 900円

カント哲学に溺れたマッド・サイエンティストに、自我世界を究極まで拡大されると、如何なる結果が現れるか。実験材料にされた男女の物語。表紙に描かれたクービンの挿絵が何をあらしているのか?

技術とオカルティズムの破天荒な融合がここに驚くべき結末を迎える。

通販申し込みは こちらから

2017-05-05

5/7文フリ東京 初売情報 黒死館附属幻稚園 TRC カ59

幻想哲学小説創造者」B6 132p 900円

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今回の紹介作は、独の哲学者にしてアヴァンギャルド文学先駆者ミュノーナ作品です。

夢の中で出会った引き籠もり中年男性と美少女が、現実世界で偶然出会う。まるで天の配剤かのように見えたが、実は最初から彼女叔父の企んだ実験の始まりであった。

なんだかワクワクするようなロマンチックな出だしなんですが、この奇妙な叔父さんとんだ食わせ物で、ひかれ合う二人を使って人間存在の最奥を極めるという、自分哲学の実現を目指すのです。

最初は反発していた姪っ子も叔父中年男の奇妙な神秘哲学談義に引き込まれ、ファウスト気取りの叔父さんが、建物ごと建造した最新技術を駆使した立体映像装置で、人間を至高の存在とする実験に協力することになるが……。

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ここから先の驚異の展開は、是非お買い求め頂いたうえ、叔父さんの独りよがり哲学談義をかいくぐって皆様の目でお確かめ頂きたいと思います。何故中年男が引き籠もりだったかの謎も最後告白されます。

この奇想溢れる作品全編をアルフレッド・クービンが飾っております。

どうか皆さんお楽しみに。

2017-01-01

あけましておめでとうございます

昨年は文学フリマ、コミック・マーケットなど、皆様のおかげで大変楽しく参加することができました。今年もよろしくお願いいたします。

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黒死館附属幻稚園

2016-12-24

冬コミは2日目30日東14aで出店します。黒死館附属幻稚園

初売りは秋文フリ発行の『黒死館』にも登場するフランツハルマン「生者の埋葬」の完訳本。

私は生きたまま埋められていた!

続々と死者が蘇る実例満載の奇書?諸々既刊もあります。よろしくどうぞ。

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2016-12-05

国書刊行会さんありがとう。『異形建築巡礼』発刊す!

四十年前、偶然出会った最初の驚きは栄螺堂だったろうか、それとも乞食城だったろうか。

以前にもこんな事を書いていた。

http://d.hatena.ne.jp/sutendo/20050805#p1

http://d.hatena.ne.jp/sutendo/20081227#p1

その外連味溢れる文体と、繰り出される建築という存在を大きく逸脱した存在の数々。黒死館という不可能建築の邸外に、やっと佇んだばかりの部外者にとって、眩暈さえ感じさせる連載だった。

はいえ遅れてきたものの悲しさ、結局その連載の全てに目を通すことは出来なかったし、その僅かなバックナンバーさえ今は手元に無い。

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それが今一冊の大きな書冊『異形建築巡礼』となって手の中にある。もしかすると記憶の中の美化かも知れないが、初出時はもう少し図版が多かったような気もするが、それもこうやって精細を極めた脚注によって、当時の情報を修正してくれていることで、その価値を高めてくれているのだから、ひとまずはよしとしよう。

2016-11-27

ハルマン『生者の埋葬』通販開始致しました。

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第二十三回文学フリマ東京で、ご好評頂きました『生者の埋葬』通販開始致します。黒死館古代時計室からお申し込み下さい。

黒死館殺人事件』に「生体埋葬」として登場する、フランツハルマンの早期埋葬をオカルト科学の見地からみた実例研究書。乱歩小酒井不木にも影響を与えた基本文献です、Buried Alive, 1895 絹山絹子訳。本邦初訳。108に及ぶ早すぎた埋葬の実例一種の滑稽な幽霊譚のようにも見えます。

併録した小酒井不木「死者の蘇生」は本邦における実例を補完した好エッセイです。

2016-11-23

文学フリマ23 ご訪問御礼

本日肌寒い中、多数のご訪問ありがとうございました。

心配していた新刊「生者の埋葬」も、お陰様で特殊な内容に拘わらず、思った以上の売り上げを記録することが出来ました。

この上はお礼と共に、お買い上げ下さった皆様の、熟読後の安らかなおやすみを、心よりお祈り申し上げることと致します。

2016-11-22

11/23文フリ初売情報 黒死館附属幻稚園 TRC Fホール カ-19

フランツハルマン『生者の埋葬』完訳本。A5 116p 900円。

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黒死館に「生体埋葬」として登場する早期埋葬を、オカルト科学の観点からみた実例集。付録につけました小酒井不木「死者の蘇生」は日本古典実例を含む、ハルマンの内容を補完する好エッセイです。

戦前科学画報傑作選別巻1」本シリーズ3冊に未収録だった、とんでも作品を収録。コピー誌です。青柳将「冷凍埋葬会社」、木津登良灰色にぼかされた結婚再版分28p200円造りました。

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昨年の冬コミのみの販売でしたので文フリでは初売りです。30部くらいなので会場のみの販売になると思われます。

また、既刊のうちダクダク2号錬金術ウェルズ「星の児」は残部僅少となりました。お早めにお求め下さい。

2016-11-04

取りあえず検索やってみました。vol.4

新青年版ではバルバロッサだったが、新潮社単行本では、スピノザに代わっている件。結局は新青年版には直接関係ないのだが、小酒井不木全集第七巻『医談女談』所収のエッセイ「死者の蘇生」中に、蘇生の例として、引用元は書かれていないが、フィリップ二世宰相であった大僧正エスピノラ、という記述が登場しているのを発見し、フェリペ二世関係するエスピノラを調べてみた。

バルバロッサについては既述だが、「黒死館」新潮社版本編には、十六世紀の中葉フィリップ二世朝、宗教裁判副長スピノザ KYL261 SML442 として、登場している者と推測できる。実際には語感が近いだけのように思われるが、フェリペ二世とエスピノラとの関連を調べているうちに小酒井記述誤記があることに気がついた。まず不木の表現通りのエスピノラAmbrosio Spinola, (1569-1630)は、フェリペ四世時に侯爵として登場するが、別名初代ロス・バルバセス侯爵であり、宗教的な功績より、軍人として名高く、十七世紀スペイン王室外交において、オリヴァレス伯爵対立していた人物であった。

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そこで、虫太郎の本文に近いフェリペ二世関係のあるエスピノザを調べて見た。

Diego de Espinosa y de Arévalo (1502–1572)はフェリペ二世時、スペインカトリック教会の重鎮であり、宰相として王の信任厚かく、最晩年(1566–1572)にはスペイン宗教裁判所の長官を務めていた。それ故、彼の死体ミイラ化して保存しようとしたところ、胸腔に入ったメスの衝撃で蘇生し、そのメスを振り払ったが、その傷が因となって死亡したというエピソードが残されている。

死者の蘇生エピソードといい、宗教裁判所の長官であることといい、虫太郎は不正確ではあるが、何らかの資料を参照していたものと思われる。

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で、こちらは不詳で済ませた人物ハルマン資料に登場していたと云うことの報告。

ボルドーの監督僧正(エピスコーポ)ドンネ KYL211 SML393

本文中ではドルムドルフの「死仮死及び早期の埋葬(ルビ:トツト・シヤイントツト・ウント・フリユーヘ・ベールデイグンダ)」に掲載されていると書かれていたが、実際には当該書籍の発行は1820年で、ドンネの仮死事件は文中のエピソード通りなのだが、事件は1826年のことであり、掲載については虫太郎の捏造であることが明らかになった。

Ferdinand-François-Auguste Donnet (1795-1882)

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少し長いが、小酒井不木による記述を以下に引用する。

 前世紀の末に、フランスの元老院で、埋葬の問題が議案となったことがある。そのとき、大僧正ドンネーは立ち上がって次の物語をした。

「一八二六年の夏の終わり頃のことです。ある教会には、会衆が潮のように集まって、ある若い僧侶説教をきいておりました。すると、どうした訳か、その僧侶言葉が突然不分明となったかと思うと、間もなく教壇の上にばたりとたおれました。 人々は驚いて駆けより、直ちに彼をその家に運びましたが、彼はすでに絶命しておりました。数時間の後、死を告げる鐘は悲しく響き渡り、葬儀の用意は万端ととのいました。

 ところが、死んだと思った僧侶は、その実生きていたのであります。彼の視覚は完全に失われていましたが、彼の聴覚だけは残存して、人々の話し声を聞きわけることが出来ました。けれども悲しいことに、彼は物を言うことも出来ず、手足を動かすことも出来ませんでした。

 彼の周囲に集まったものの話し声は、どれもみな彼を恐怖せしめました。医師は彼を診察して、彼の死を宣言し、明朝埋葬してもよいという許可を与えました。彼が平常尊敬している教会の監督は、床のそばに来て詩篇第百三十を誦しました。次いで彼の身体は棺の中に収められ、やがて夜となりました。

 すると弔問の客の中に、彼は彼の幼時から聞き馴れた人の声をききわけました。このことが彼に不思議な力を与えたのでありました。彼は必死努力を出して、うーんと唸ることが出来たのであります。

 それから後の混雑と歓声とは申すに及ぶまいと思います。彼ははや翌日教壇に立って、再び健康者として説教することが出来ました。

 今日、この元老院で、埋葬の問題が議せられるに当たって、私は諸君が、この四十余年前の一例を顧慮して、慎重な考案をめぐらされむことを切に切に希望します。と申すのは、そのときの若い僧侶こそ、かく申す私自身だったからであります」

2016-09-07

取りあえず検索やってみました。vol.3

結局再度負け戦のご報告。ヒュヘランドほどの画期的な項目には出会わず、間が空いてしまったが、算哲図書リストの中から何点か取り上げてみよう。

まず、デ・ルウジエの『葬祭呪文【ルビ:リチユエル・フユリアレイル】』に差し替えられた、ローデの「オルフィック密儀【ミステリオン】」。

ボーデン『道徳的痴患の心理【ルビ:デイ・ブンコロギイ・デル・モラリツシエ・イデイオチエ】』に差し替えられたのが、グロッスの「犯罪捜査法【ルビ:クリミナル・ウンテルジュフング】」。それぞれは候補が見つかっている。

そしてどうしても検索不能だったのが、レッサーの「死後機械的暴力の結果に就いて【ルビ:ユーベル・デイ・フオルゲ・デル・ポストモルクラー・メカニシエル・ゲヴルタインヴイルケンゲン】」に差し替えられた、バルドヰン博士の【死刑立会人の回想【エ・ウィットツ(ネ*)スズ・メモリー】」なのだ。

推測可能な原綴は著者BaldwinまたはBaldouinだと思う。問題の書名は“a witness's memory”。普通に読めば、witnessは目撃者だが、立会人との意味もある。然も虫太郎は、わざわざ死刑の語彙を付け加えている。禍々しさを強調するものかも知れないが、原綴はあまりにもシンプルな語彙であり検索さえ不可能だった。

2016-08-22

取りあえず検索やってみました。vol.2

あったあったとばかりはいえないこの作業。続いては探せなかった人名、二件。本文は調査済みの、

リムの「古代独逸詩歌傑作に就いて」かファーストの「独逸語史料集」でも、【第二扁】についての手稿での人名

“ヂュストンか(ブ)ローブレンツでも、言語学の蔵書があれば”

さてドイツ言語学にこのような人名は登場するのであろうか。諸賢のご協力を乞う。

2016-08-21

取りあえず検索やってみました。vol.1

作業で残った不明語彙の一つに、フランスの心理学者シャルコーのエピソードとして取り上げられたケルンの聖ゲオルグ事件だが、手稿によると記述者はヒュヘランドとされ、地名もドウイスオルグになっていた。ゲラ校の際虫太郎によって現行のシャルコーに変えられたものだ。

“手稿版の語彙にまで手を出すのは”とも思ったのだが、このあんまりな語彙に興味を惹かれて調べてみた。ところがそのままの語彙で、早稲田大学の古典籍総合データベースの蔵書にあることがわかった。残念ながら一枚もののチラシであったが、きっかけができたので、もう少し調べてみることにした。幸い原綴が発見できたので、十八-十九世紀ドイツの医学者フーフェランドC.W.Hufelandにたどり着き、幕末期の洋学者、緒方洪庵などによって邦訳もされていたことが判明した。

f:id:sutendo:20160821142909j:imageこれがその人

それにしても、虫太郎の情報収集力を再認識した。

さてもう少し手稿語彙に取り組んでみよう。