のりもの二題

一ヶ月に渉る原稿作業が終了して、ご褒美ということでちょっと息抜きしてきました。
その第一弾はINAXギャラリーの「凝縮の美学 名車模型のモデラーたち」展。大昔から読書と並んで乗り物好きだったこともあって、中学生の頃から、出始めのプラスティック・キットで遊んでいた。そんな素にとっては、スクラッチビルドのモデルは永遠の憧れであった。
  ベントレイ
一点、一点ボディを金型から起こし、すべての部品を造り込んでいくスクラッチビルド制作には結局進めなかったが、やっぱり今でも現物を目の前にするとドキドキする。無骨なレーシング・トラックとあだ名されたベントレイや史上最も美しいと謳われたブガッティをはじめとして、展観された名車の数々に圧倒されるばかりであった。
  ブガッティ(画像は同展プレスリリースから)
K氏はINAXのブックショップ初体験だそうで、建築関係をはじめとするテーマ構成による品ぞろいに感動していました。
続いて、降ってわいた夏休みの一日を、K氏と両国へいってきました。

懐かしい、出来たばかりの三愛ドリームセンターの建物を背景に、脇のトヨペットクラウンのタクシーと一緒の銀座尾張町付近です。
東京の交通100年博〜都電・バス・地下鉄の"いま・むかし"〜」発売当日に、DVDも入手したくらいの〈カクレ鉄〉、路面電車ファンとしては見逃すわけには行かないイヴェントであります。
K氏は、夏休みでもあり混雑していないかと危惧していたが、ありがたいことに、ゆっくり見られる程度の人出でありました。入り口近くに展示された、初期の路面電車『ヨヘロ1形』の実物大モックアップこそ、子供の人気だったが、それ以外の展示が地味で、残念ながら子供たちには物足りない展示だったようだった。
折角、豊富な画像資産があるのになあ、という感想もあるのだが、ロートルの電車ファンにとっては、結構うれしい展示でありました。

コミックマーケット80 新刊告知『黒死館逍遙 別巻』

今回はちょっと遅れて新刊が納品されました。
素天堂による本文は四十ページ弱、資料編が七十ページ近いという言語道断な構成ですが、いわゆる鳥瞰的な幻想建築史が、六十年代初頭の彰国社版『幻想の建築』以来刊行されていない現状の中で、少しはお役に立つ冊子が出来たかと。


まぼろしたてもの考 1
B6 108p 700円

序説 「まぼろし」の時を遡る
一、歴史の中に「まぼろしたてもの」をみる
二、建築家は金字塔の夢を見る
付録 資料
1 Visionary Architecture 展 序文 アーサー・ドレクスラー
2 「狂える意匠―二笑亭谷口吉郎
3 建築空間についてのヘルマン・フィンステルリンの考え
4 Visionary Architecture 展 図録(抄)

内容的に若干問題含みの別巻でもあり、『黒死館』のあれこれを楽しみになさっていらっしゃる読者の方のご希望に添えそうもないということで、これまで以上の苦戦を強いられるかも知れませんが、取りあえず
八月十三日土曜日十時から、西ほ-35b黒死館附属幻稚園 でヒッソリとお待ち致しております。
通販も翌日以降受け付けますのでよろしくお願い致します。