ジャン・ヴィトー『ガストロノミ』

クセジュ。図書館より。副題は「美食のための知識と知恵」。途中は食材や料理ごとの各論なのでパラパラめくるだけにして、前段と終盤のみ。
借りた最初にパラパラっと見たときには「なんじゃこれ、いけすかんわ」と思ったのだけれど、『味覚を磨く』を読んだ後だと「ああ、そっか」と若干腑に落ちる部分が増えた。要は「ただ栄養摂取の目的のみに食うんじゃなくて、五感をフルに使って愉しもうぜー」ってことなんだろうと思った。で、そのための各論、と。各論部分はまた「なんじゃこりゃ」なのかもしれないが、今回は読む時間がとれないので(そして読むのにすっごく時間がかかりそうなので)パス。気になったら再読する。

ガストロノミ―美食のための知識と知恵 (文庫クセジュ)

ガストロノミ―美食のための知識と知恵 (文庫クセジュ)

小泉武夫『発酵食品礼讃』

文春新書076。札幌市中央図書館より。仕事がらみで発酵について勉強中。ざっと読み。
発酵ってすごいですね。ほんとすごい。発酵食品が「微生物に不可能はない」ってすんげぇフレーズだなぁと思うけれど、本書を読んでいると成程そうかなとも思えてしまう。
興味深かったのは、江戸時代の「甘酒」がサプリ的に飲まれていたっぽい、ということ。「甘酒は夏の季語」→「なんで?冬ちゃうの?」→「調べてみると、江戸時代の死亡率って夏に高くなる」→「そうだよね、夏の暑さってしんどいよね」→「暑い夏を乗り切るための甘酒!」という次第らしい。おもろい。
甘酒に限らず、日本・世界各所で発酵食品は人々の健康を支えてきて現在に至る。微生物なんて知らず、経験則として摂取してきた食品の効能を現代の科学が解き明かす。発酵に限らず、そういった話が好き。

発酵食品礼讃 (文春新書 (076))

発酵食品礼讃 (文春新書 (076))

小崎道雄『乳酸菌』

札幌市中央図書館より。副題は「健康を守る発酵食品の秘密」。八坂書房。小泉先生本の後なので、若干読みづらかったけれど、ざーっと読んだ。
面白かった話は「Aエリアで美味しくできる発酵食品の材料や菌・酵母をBエリアに持っていっても、BエリアではAエリアのように造ることがなかなかできないらしい」ということ。日本酒の世界だと「蔵癖」と呼ばれるらしいけれど、日本酒に限らずパンでもおこる。
もやしもん』読もうかなー。1巻だけ持ってるんだけど、菌のビジュアライズが(いくらかわいくても)日常生活に支障をきたしそうなので保留中。

乳酸菌―健康をまもる発酵食品の秘密

乳酸菌―健康をまもる発酵食品の秘密

服部幸應・三國清三『味覚を磨く』

角川oneテーマ21。札幌市中央図書館より。
食育的な話。料理の世界に疎い私でも名前と顔が一致する著名な御二方だけれど、彼らが食育にすごく真剣に取り組んでいる(つか、服部先生が旗振り役に近い?)のを知らなかった。
私は別にジャンクフードで育ったわけではないけれど、どちらかといえば味音痴だと思う。「おいしい」の閾値が低い。だいたいのものがおいしい。食うのも速い。そんな自分の性向を嫌いではない。「サバイバル能力が高い」と解釈している。
いろんな「おいしさ」や、味の違いを知ることなどが「どうして大切なのか」が本書には書かれていない。そこんところの説明が不足しているように感じたのが残念だけれど、別にうるさい食通になれと言っているわけでもない。読みながら考えたのは、やっぱ「食」は生命に直結している営みであるし、「味覚」ってそのセンサーなわけだから、研ぎ澄ましておくというのはやはり大切なことだし、逆に鈍くなってしまうのって危険かもしれないなあ、と。で、それ自体が「楽しみ」に転じたら、それはそれでいいわけだし。味覚のピークは12歳。大人の味覚は意識しないと育たない。ふだんの食事で、ちょっと意識してみようかなと思った次第。この間ちょっと読んだ『神の雫』を思い出した。
親子一緒に食べる等のプロセスを通じて人間性を育む…的なくだりは、説明が安直過ぎて「ほんまかいな」と思ってしまうけれど、まあおそらくは大切なことであるのだろう。将来自分が親になったときは思い出して、真剣に考え直したいところ。

味覚を磨く (角川oneテーマ21)

味覚を磨く (角川oneテーマ21)