〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

<ふるさとの山に向ひて> 「山は変わらない…」


[カエデ]


「あぶくま抄」<福島民報

  • 高村光太郎の詩集「智恵子抄」にある「あどけない話」は、二本松市猪苗代町などにまたがる安達太良山の名を全国区に広げた。妻智恵子が愛した、東京にはない「ほんとの空」に近づける山として。
  • 3日に亡くなった詩人長田弘さんも故郷の自然に愛着を抱き続けた。東日本大震災後、本県出身の詩人を代表し、日本記者クラブで2回ほど講演した。講演で石川啄木の短歌<ふるさとの山に向ひて言ふことなし…>を引いた。「山は変わらない。山は古里の象徴だ。そういう風景によって生かされている」。景観を壊す復興に異議を唱えた。

(2015-05-17 福島民報