タレ日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

タレ日記

170916

tally2017-09-16

[] 三度目の殺人  三度目の殺人を含むブックマーク  三度目の殺人のブックマークコメント

犯人は捕まった。真実は逃げつづけた。

監督・脚本:是枝裕和

撮影監督:瀧本幹也

美術監督:種田陽平

音楽:ルドヴィコ・エイナウディ


先が読めない展開にドキドキするし、

否が応でも各登場人物の動きを予想してしまうことで、

自分の指向や卑近さを覗きこまされるような作品なのだけど……。

いかんせん食い足りなかったなー。


まず、徐々に明らかになっていく事実の断片が、全然予想を裏切ってくれない。

全体的にほぼ予定調和なかんじ。

役所広司演じる三隅に関して、是枝監督は

「自分の理解を超えた存在」と語っているけれど、

そういった観客への裏切りがないので、

三隅の不気味さは半減してしまっているように思える。

「真実」が観客の思考に委ねられる映画だとしても、

一応監督の中で「真実」を固定しないと、

観客が思考を巡らせる意味がなくなってしまう気がした。


あと、福山演じる死んだ目のエリートがピュアすぎる。

さんざん法廷戦術とか合理主義とか語っておきながら

簡単にエモに転落。

ある意味ここに一番ビックリしたし、「イヤイヤイヤ……」ってなった。


シン・ゴジラ』が「政治」を皮肉ったように、

「法律」を皮肉った作品でもあるけれど、そういう面でもちょっと浅い。

意外性のある抜け道とか目から鱗の実情なんかも特になし。

それでもボクはやってない』のほうが怖かったなぁと思ってしまいました。


f:id:tally:20170921200442j:image


トータルで一番怖いのは斉藤由貴でした!ホントに!

★★★

170825

tally2017-08-25

[] ベイビー・ドライバー  ベイビー・ドライバーを含むブックマーク  ベイビー・ドライバーのブックマークコメント

MUSIC ON, GET MONEY.

名前はベイビー 組織のドライバー 運転の天才

音楽を聴くことで、事故の後遺症の耳鳴りが消え、

その才能が覚醒する―

原題:BABY DRIVER

監督・脚本:エドガー・ライト


いや〜好きです!自分が映画監督だったらこういう映画撮りたいなと思う。

エドガー・ライトの映画って決して上手くない。

撮りたいものありきのため、ストーリーが弱かったり、筋道通らなかったり、

ラストに向けての狂騒が過ぎたりするけれど、

そこはありあまる愛と情熱でカバー。


とにかく好きな曲が多すぎてビックリしたし、

"Hocus Pocus"に乗せた銃撃戦とか最高に気持ちよかった!


D


D

大好き!よく夫が踊っています。


エドガー・ライトはきっと、iPod持参で駄話とともに好きな曲を開陳し合う

飲み会を定期的におこなっているな、とか

ジェームズ・ガンウォークマンでGotGやられてどう思ったのかな、とか

作品外の部分で多大なる親しみを感じてしまう時点でもう完敗。

完全に爆音上映向きであり、途中から爆音で観たくてソワソワしてしまった。


★★★★

170824

tally2017-08-24

[] スパイダーマン:ホームカミング  スパイダーマン:ホームカミングを含むブックマーク  スパイダーマン:ホームカミングのブックマークコメント

みせてやる―、俺の力を

原題:SPIDER-MAN:HOMECOMING

監督:ジョン・ワッツ

撮影:サルヴァトーレ・トチノ


めちゃくちゃ楽しかった〜。

ヒーローアクションとしても、青年の成長譚としても、青春映画としても、

ストレートでさわやかでまっとう!得した気分だわ〜。


トム・ホランドが最高の息子像で、

見守りたい欲ガン上げ!なところに、

トム・ホランドを見守る大人たちがこれまた最高な布陣。

おばちゃんにマリサ・トメイ、お目付け役にジョン・ファヴロー

パイセンにダウ兄、と見守られたい欲もガン上げしてくれる。

さらに敵役が「バードマン」で、マイケル・キートンって

サービスが過ぎるよ!


ママズクラブシアターで鑑賞したのですが、

初めて立ち上がることなくエンドロールまで鑑賞。

エンドロールのRamonesでなぜか赤子大爆笑で、

いいこと尽くしの映画体験でした☆


D

★★★★

170721

tally2017-07-21

[] ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣を含むブックマーク  ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のブックマークコメント

<ヌレエフの再来>と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心―

19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、

人気のピークで電撃退団。

バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。

原題:DANCER

監督:スティーヴン・カンター

「Take me to church」演出・撮影: デヴィッド・ラシャペル

撮影:マーク・ウルフ

音楽:イラン・エシュケリ


D


ドキュメンタリー映画としての出来はともかく、

素材が素材なんで、おもしろくないはずがない。

Black Sabbath "Iron Man"で幕開け!

Diddy-Dirty Moneyのタトゥー!!

バレエ界のバッド・ボーイ―ホントこのひとリアル『昴』なんだよなぁ。



"Take Me to Church"までの道筋はあまり簡明化されていて、

ちょっと作為的にも感じてしまうのだけど、

バレエ学校同期のJade Hale-Christofiが振付している時点でぐっときてしまう。

長年ずっと天才を見つめ続けてきたまなざしには、賞賛だけでなく羨望も含まれていただろうに。

だからこそセルゲイ・ポルーニンが一番美しくみえる角度や動きがわかるんだろうなぁ……。


"Take Me To Church"がひとつのクライマックスになっているけれど、

個人的には踊る喜びにあふれたバレエ学校時代や

ロイヤル・バレエ団初期の映像をずっと観ていたくなってしまう。

とくに本人も「生きていると感じられる」と言っているとおり、

ジャンプは観ているこちらもうれしくなってしまうほど。

どんな分野でも、能力と円熟と情熱が三位一体になるのは奇跡的だし、

刹那のことなのかもしれない。


しかしバレエ初心者としては、もうプリエ*1ひとつとっても、

ターンアウト*2が背骨が折れるほどうつくしくてしぬ。

こちとら笑われるくらいからだが硬いので、ポルーニンママが

「TVを観ている間はずっと開脚させていた」のにならってがんばろうと思いました。

★★★

*1:膝を曲げる動作

*2:股関節を外に開くこと

170720

tally2017-07-20

[] メアリと魔女の花  メアリと魔女の花を含むブックマーク  メアリと魔女の花のブックマークコメント

魔女、ふたたび。

この夏、メアリは出会う。

驚きと歓び。過ちと運命。

そして、小さな勇気に―。

監督・脚本:米林宏昌

脚本:坂口理子

プロデューサー:西村義明

音楽: 村松崇継

主題歌: SEKAI NO OWARI

原作: メアリー・スチュアート


スタジオポノック長編第一作@ママズクラブシアター。

米林監督の前作『思い出のマーニー』には感じ入るものがあったので期待していたのですが、

米林作品の中でも、最も心に残るものがなかった……。


「一夜限りの魔女」をやるなら、ワクワクさせておくれーーー!

ただでさえ、ハリポタやジブリにこすられまくったジャンル、

いわばイナゴに食い尽くされた畑での戦いなのだから、

フレッシュさをおくれーーー!

マダム・マンブルチュークの造形ひとつとっても、

湯婆婆+マクゴナガル先生の超希釈版というか……。


「魔法なんて要らない」という着地がオリジナリティなのかもしれないけど、

スピーディーに駆け抜ける一夜の中、

「考えるより先に体が動く」と自認する通り、メアリの行動は

あまりにもいきあたりばったりで思慮が浅いものが多いため、

出した結論も軽く見えてしまう。


ホウキくんに対する「都合のいい」扱いも、何度注意されても直らない。

奇しくも劇中で繰り返される「愛が足りない」という警句は、自省にも聞こえる。

背景美術等スタッフは超一流なだけに、魂が 愛が 足りないのが浮き上がってしまう。

ラストのセカオワに虚無感を感じながら、思わず赤子に対して

「きみはもっときちんと考えるひとになっておくれ」と願わずにはいられないのだった。


★★

170614

tally2017-06-14

[] 20センチュリー・ウーマン  20センチュリー・ウーマンを含むブックマーク  20センチュリー・ウーマンのブックマークコメント

母さんは、15歳のボクのことを“彼女たち”に相談した。

1979年、ボクたちの特別な夏がはじまる。

監督自身の母親をテーマに描いた、母と息子のラブストーリー

原題:20TH CENTURY WOMEN

監督・脚本:マイク・ミルズ

撮影監督:ショーン・ポーター

音楽:ロジャー・ニール

音楽監修:ハワード・パール


っしゃーーー!キタキタキター!

というこの感じはスパイク・ジョーンズの『her』(id:tally:20140728)とおんなじ。

マイク・ミルズの呪いにかけられているのに、

映画にはあんまりピンと来ず苦しんでいたところに、

ようやくおれの観たかったやつがきた・きた・きた!


映画を観ているあいだよりも、終劇後にじんわり「良かったなぁ……」と

あたたかい余韻が広がる映画でした。

親しい個人を撮ったホームビデオのようで、フェミニズムの包括になっていて、

「モラトリアム」「夏休みの終わり」を写していながら、クロニクルでもある。


監督自身の母親が投影されているドロシアの描写に、

あふれんばかりの愛が感じられてすばらしい。

演じるアネット・ベニングの笑顔のつよさよ。

わたしも 55才になっても 仕事して、流行りの音楽で踊って、

ビルケンはいて、子どもの髪ブリーチするぞ―

とふしぎとパワーがわいてきた。

そして、わたしも 後世の女子たちが歩きやすいように

ほんのすこしでいいから道をならしたいぞ―

とそんなことを思った自分にびっくりしました。

トドメに「あなたは外の世界のあの子を見ることができる。うらやましいわ」

というドロシアの言葉は、新米母のわたしにぐっと刺さりました。

★★★★★

170608

tally2017-06-08

[] 光をくれた人  光をくれた人を含むブックマーク  光をくれた人のブックマークコメント

孤島に暮らす夫婦が、大切な人を守るために下した決断とは―

愛を貫こうとした彼らの姿に、心が震える感動の物語。

原題:THE LIGHT BETWEEN OCEANS

監督・脚本:デレク・シアンフランス

撮影:アダム・アーカポー

音楽:アレクサンドル・デスプラ

原作:M・L・ステッドマン


ママズクラブシアターでかかっていたので、同じく子連れの友だちと鑑賞。

あらすじを読んだ感じだと『八日目の蝉』を彷彿とさせるし、

あの『ブルーバレンタイン』の監督だし、と号泣する気満々で行ったのですが、

相当モヤって帰ってきました。

劇場全体にもそんな空気が漂っていたような……。*1


この物語には3人の主要人物がいて、

戦争で心に傷を負ったトム、流産・死産と孤島生活で心を病んだイザベル、

そして夫と娘を失ったと思っているハナなんだけど、

問題は一番感情移入しやすいのはハナというところで……。

このひとは何も間違った決断はしていないし、

本来負わなくてよい苦しみを背負わされてしまった人。

それどころかうわべや因習に惑わされず、恵まれた環境を捨ててまで

真の幸せをつかんだと思ったら、全てを失ってしまった人なのである。

主役であるトムとイザベルの仮の幸せはこの人の苦しみの上に成り立っているわけで。


さらにそれぞれの葛藤や苦しみや愛のありようが描かれても

どうにも3人のバランスが悪い。イザベルにどうしてものれない。

実際の世の中だってアンフェアなわけだし、幸不幸はポイント制じゃない。

「罪を憎んでひとを憎まず」と自分に言い聞かせて、

本作のテーマである「赦す」ということに向き合おうとしたけれど、

やっぱり自分には赦せなかった。

てか正直「ハナさん!あんたが怒らないならわたしが代わりにぶっこみますよ!」

っつってイザベルに小一時間説教かましたいとすら思ってしまった。


モヤりすぎて後日原作も読みましたが、

こちらの方が各人の性質やバックボーン、また周りの人々を

丁寧に描きだしていて、沁みいる感動がある。

しかしやはりイザベルにはのれなかった。結局それに尽きるかも。

★★

*1:少なくとも一緒に鑑賞した友だちはそうだった