空を見上げて(その7)

帰納法の話はしましたっけ? それじゃあ、「宇宙飛行士小ネタ博覧会」の話は? あぁそう。したよね。
もう開き直りました。「おらが町・英雄列伝」でどこが悪いんでしょうか。(おそらく、気にくわないのは私だけなのです)
それでは、さっそく始めましょう。今日探しに出掛けるのは、宇宙へはばたく公務員改め、成層圏を越える会社員。JAXA所属の数少ない女性宇宙飛行士、山崎直子氏です(旧姓:角野)。
(思わず紅一点と書きそうになりましたが、そう言えば向井千秋氏は女性だと気づき慌てました。大変失礼なことを書いてますね)
google:山崎直子

・あこがれはディズニーランドのお姉さん
山崎宇宙飛行士は、1970年、千葉県松戸市で生まれました。 小学生のころ、プラネタリウムや惑星探査機(わくせいたんさき)ボイジャーが送ってきた画像をみて、宇宙に興味を持ちはじめます。また、「宇宙戦艦ヤマト」のアニメに影響(えいきょう)を受けたそうです。 しかし、そのころは宇宙へのあこがれはあるものの、大きくなったら 「先生」や「ディズニーランドのお姉さん」になりたいと思う少女でした。

私の中では、もうすっかり定番となりつつあるJAXAの「宇宙ステーションキッズ」からの抜粋です。
子供向けということは、「大人向け」の宣伝めいた余計なかっこつけが不要な上、短いセンテンスで人の興味を引くことを書かなければならないのでかえってシビアです。先日見た星出氏の時もそうでしたが、無駄の無い好感の持てるテキストですね。
しかし、山崎氏も「宇宙戦艦ヤマト」ですか。面接で、「ふーん、アニメとか嫌い? あ、そう。嫌いじゃないんだ。じゃあ、宇宙戦艦ヤマト好きってことでいいかな?」というようなやりとりでもあるのでしょうか。ここからは、うかがい知れませんが。

趣味(しゅみ)・琴(こと)、書道、スクーバダイビング、テニス、ジャズダンス

エート…… 多趣味です。脈絡という論点からどうこう言うのはやめましょう。それに、私の目は「スクーバ」に釘付けです。これは一般的な呼び方でしょうか。正確なスペリングを調べると「scuba」。うーむ微妙です(辞書の訳語では「スキューバ」と記載されてますね)。こういう些細なことに引っかかってるくらいなら、「ジャズダンスって一体どんなダンスなんだろう」ということを追求した方が良さそうですか。
もしかしたら、海外のメディアに配慮した選択なのかもしれませんし。
「ジャパンからやってきた女性宇宙飛行士は、「syodou」や「play koto」といった極めて日本的な趣味を持っている一方で、テニスやジャズダンスを楽しむという活発な一面も持っているヤマトナデシコだ」
なんて記事は、実際ありそうです。写真には、着物を着て琴を弾いている山崎氏。背後には、なぜか「宇宙上等」の掛け軸ってところでしょうか。


この山崎直子氏のgoogle検索結果には、「女優の山崎直子氏」がノイズとなって入っています。天下の宇宙飛行士を差し置いて、なにごとかと言いたいところですが、どうやら「女優の山崎直子氏」の方がgoogle的に有名であるという疑惑が濃厚で、大きい態度はやぶ蛇になりそう。仕方が無いので、すごすごと引き下がり、検索キーワードを付け足しましょう。(宇宙に行ければ一発で逆転出来ると思いますので、頑張って下さい)


google:山崎直子 宇宙
おや? 全然話題が無いぞ。まだ若いし、数少ない女性宇宙飛行士だとすれば話題にならない方がおかしいはずなのですが……
そういや、どの記事を見ても「(旧姓:角野)」と書いてあるわけです。姓が変わったとすれば、結婚としたというのが一般的な判断ですが。
旧姓の方で調べてみましょうか。


google:角野直子
あー、ありますね。いや、結婚がどうこうじゃなくてこういうやつ。

大手小町woman
すてき私流
技術者魂の結晶 胸に 宇宙飛行士 角野 直子 さん

(Yomiuri on line 大手小町)
あのね、「私流」はやめれ。そういう言い方って、個性とは最も遠い言い方だから。ね。
ここでが、「夫は宇宙ステーションを遠隔操作する管制官」との記載があります。職場結婚かね。


(Smart Woman この人と語ろう)
こちらでは、角野氏は投稿掲示板の回答人として呼ばれております。これはなんだか深入りすると良い話になってしまいそうなので、後でこっそり読むことにします。(こう書くと、いい話じゃだめなの? と聞かれるわけですが、もしそうだったら自分の目で読みたくない?)


こちらでは、簡単なプロフィールを拾いました。
(Yomiuri on line 教育新世紀)

千葉県出身。東大大学院修士課程修了。99年に結婚、今年8月に長女優希(ゆうき)ちゃんを出産し、10月に職場復帰した。31歳。 (2002年12月23日)

未来への希望と家庭的な一面を開陳。正直素敵なんですが、こんなに素直に感心してはいけないような気がするのはなぜでしょう。なぜかしら。


うーむ、困りました。ふくらみの無い記事ばかりです。
この人って、プロフィールをたどっていくと、
(幼いころから宇宙に行きたいと思う)→(東大大学院・卒)→(宇宙飛行士になる)→(結婚・出産)→(仕事と家庭を両立するママとしてNASAに訓練に出発)
と、なんだか逆の意味で親の顔を拝見したくなるような見事な人生です。
こういう人生の例って誰だ? イチロー? ちょっと違うな。イチローのプロフィールは、もっと生臭いしな。
写真を見掛けると、いつもブルーのパイロットスーツを着ているのは職業上仕方の無い話なのでしょうが、それにしてもなにからなにまで全く隙がありません。「小さいころは親に反発したこともあった」などと言われても、「わざと人間らしいところを見せよう」としているように見えてしまいます。
ふーむ、じゃあちょっと搦め手を使ってみましょうか。


(smipsメンバーの方々へ)
詳細は不明ですが、お友達登場です。
うーん、極めて微妙。
これが「はてなダイアリー」上なら、リファは送りません、送れませんな感じ。「友達」について、いろいろ考えさせられます。


(角野さん、おめでとう!! 角野さんを応援する会)
こっちは、角野氏が卒業した学校関係のページ。
見事なファンサイトぶりです。こちらでは、恩師登場。一枚だけ、角野氏の若かりし日のスナップが収められています(これはいい写真だと思います)。


ふぅ。とりあえず、最後まで見終えました。
しかし、「宇宙飛行士」と一言で言っても、随分とgoogleに蓄積されている情報の質が違うもんですね。
前回の星出氏と異なり、角野氏の記事は思い入れたっぷりなものが多いのが特徴です。「訓練」に「育児」に頑張る姿というのが、読んでいる人の頭の内側をよぎるからでしょうか。良い方にせよ、悪い方にせよ、フォーカスがきついような気がします。きっと、大変だったよな、いろいろ。
いわゆる「blog」で、角野氏本人に個人的なエールを送る人がいるのも、星出氏との違いでした(ここではとり上げていませんが)。角野氏という存在には、不特定多数の人に声をあげさせる力があるようです。それは、「女性」というところに起因しているのかもしれませんし、もしかしたら「最も身近」という点に原因があるのかも。(また「唯一の」と書きそうになりました。なんででしょう)
まぁ、そういうことの理由を考えるのは私の仕事じゃないんで、「google的には、今も角野直子という名前で出ている」ということだけ押さえておきましょう。


ページをめくっている間にすっかり忘れてましたが、角野直子氏は少なくともgoogleに引っかかる形では日記を書いていないようです。
まぁ、そうじゃないかと思っていました(もしかして、これをあと7回書くのか?)。