映画2008年上半期 僕の勝手に映画賞
今日は過ごしやすい1日になりそうだから、覚書のように上半期上映が開始された中から思い入れが強かった映画を振り返ってから出かけることにしよう。
今年上半期に観た作品の中から、短文感想含めて良かった映画を厳選して10本。50音順。もし見かけた際は素人の自己満足的な覚書だと理解の上で見てやってください。
イースタン・プロミス
監督デヴィッド・クローネンバーグ 主演ヴィゴ・モーテンセン
心の準備が許されないかのような強烈なオープニングから一転、ストレートで王道の美しい映画だった。ラストは静かな感動が待っていた。ギャングの世界のみならず、「産まれてくること」とはといったことを振り返ることを促された。サウナのシーンは大迫力で圧巻。今年随一の名シーンだった。人間一人の表現力って限りないのだな。
実録連合赤軍 あさま山荘への道程
監督若松孝二 主演ARATA
「実録」なため答えや打開策は出さないが、観ている人それぞれの「意識」を促す作品。観た後の「議論」を促す作品。僕を含め、この時代以降の日本人達へ向けられた作品。そういう意味では山田洋次監督作「母べえ」もそうかな。映画監督・作家の森達也氏も同じようなコメントを書いていることに気付いたけど、正しいとか、悪いとか、そんな一言で片付けられちゃうような感覚の作品ではない。
時代は繰り返す。その時僕はどうしようか。そうさせる映画。日本人として観て良かった。遠山美枝子と重信房子の「別れ」から山岳ベース事件に至りラストに至るまでがとにかく凄い。長時間作品というのを感じさせない。観賞後の絶望感が「ミスト」級だったけど、誰かに「今年のお勧め日本映画」と問われたらこれしかあるまい。
シューテム・アップ
監督マイケル・デイヴィス 主演クライヴ・オーウェン
映画の存在すら知らず、たまたま見かけて「何だこれは」と思って観たら大当たり。今年上半期一番笑った映画。ここまでやるかと思うような溢れるアイディアが観ていて楽しくスピード感も抜群。カレーライスの福神漬レベルのメッセージ性もいい。客層がほとんど男性で、同じ列の別々の2人の男性が何故かそれぞれ漫画読んで待っていた。観賞後喫茶店でキャロットジュースを頼んで一人で笑った。変な奴だと思われたに違いない。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
監督ポール・トーマス・アンダーソン 主演ダニエル・デイ・ルイス
観た時も長さを感じさせないで見応えあって満足だと感じたが、石油を巡ったやや細かい人間関係を別にして主人公だけに眼を向けるを思うところが多く、今でも強く余韻を残す。大スクリーンで観る当たり前の感動を再び感じた。ラストの一言は忘れられない。
潜水服は蝶の夢を見る
監督ジュリアン・シュナーベル 主演マチュー・アマルリック
良く言う御涙頂戴的な過剰な表現が排されているので一層、観賞後さまざまな思いを抱く事ができた。映画全体を通してトータルで素晴らしい作品だった。幻想的な映像も、違和感無く絶妙の表現。観た事が価値となり宝となりそうな映画だった。
ミスト
監督フランク・ダラボン 主演トーマス・ジェーン
「驚愕のラスト15分」も口がポカンと開いてしまったくらい強烈だったけど、個人的にはサイレンが鳴ってラスト15分に入るところまでが特に凄かった。これでもかというほど不幸・不運の連続。しばらく再見する気にはなれない。1つのことに狂信的で周囲を混乱させるマーシャ・ゲイ・ハーデンの演技は、スクリーンから唾が飛んでくるかと思った。
ミラクル7号
監督チャウ・シンチー 主演シュー・チャオ
上半期最も幸福感を味わえた作品。まだ観てない人がこのブログを見るかもしれないので気をつけて書くが、UFOウォッチャー登場シーンと父親がゴミ捨て場でテレビを拾うどうでもいいようなシーンが重要で、それに加えてナナちゃんの意味を解釈すると、ラストはチャウ・シンチーの優しさが伺えて本当に素晴らしい。ギャグも減ったものの相変わらず最高で、音楽の使い方も楽しい。心が躍る。
最優秀作品賞
選ぶのが難しいため国内・海外に分ける。
潜水服は蝶の夢を見る
ぐるりのこと。
最優秀主演男優賞
ヴィゴ・モーテンセン【イースタン・プロミス】かダニエル・デイ・ルイス【ゼア・ウィル・ビー・ブラッド】でまだ決着付けられず。
小林薫【休暇】
最優秀主演女優賞
タン・ウェイ【ラスト、コーション】
木村多江【ぐるりのこと。】か小池栄子【接吻】でまだ決着付けられず。
最優秀助演男優賞
ハビエル・バルデム【ノーカントリー】
豊川悦司【接吻】
最優秀助演女優賞
マーシャ・ゲイ・ハーデン【ミスト】
樹木希林【歩いても 歩いても】
思いのほか長くなってしまって時間もかかったけど、書いてて楽しかった。気が向いたら年末も書こう。