あかねさす

永井路子が好きで、読み返してみる


あかねさす


これは、永井にしたら、めずらしく現代小説だ
歴史ものの内容がはいってはいる。つまり現代小説で
主人公は女子大に通う女性が、就職活動やらして、大人への
階段をのぼる、そのなかで考古学にひかれ、その道の
入り口にたつというものだからだ
特に、持統天皇の生き方、持統のライバルといっていい
額田王のいろいろに、関わっていって、壬申の乱の道を
歩くなどが、主なストーリィ。


この本が、とてもなつかしく、確か20代で2回とか
読み返してるなと思い、いま読み返しても、かなり鮮明に
ストーリィが頭にはいってるのに、なんか、うれしくなる


そうだと思い出す
明日香の甘樫の丘に行くくせがついてる
つまり、奈良に行ったら、明日香に行きたい
特に明日香の甘樫の丘に立ちたいと、思うのは
このあかねさすの記述があるからだと思いだす


甘樫の丘は、蘇我一族の館があったというのですね
そして、その甘樫の丘からみおろせるところに
伝飛鳥板蓋宮があります


これは、天皇の住む場所を、臣下であるはずの、蘇我一族が
見下ろすということになる。あれれ?
というようなことが、このあかねさすのなかで
書かれてる


ふん、そうしたことからも、その当時の蘇我という存在
天皇の存在の、ありかたといったことの一端がみえてくるという
のですね


それから、甘樫の丘からは、大和三山がみえるということが
あります
万葉集にうたわれた、大和三山畝傍山耳成山天香久山
実際、そのおおきさをみたり、かわいらしさを
感じたり、もう5回くらいは行ったでしょうか


明日香が特別な場所に思えるのは、あかねさすを
読んだことの、意味が大きいと思います
そして、自転車でまわったり、歩いたりすると
そのあまり広くない、明日香の地が、とてもいとおしく
思えてきます


壬申の乱を歩くのまねをして、明日香から吉野へ歩いたことも
ありました。確か15キロほどあります。4時間くらいでしょうか
足にまめができたのを、覚えています


永井路子の語り口は、やはり軽妙かつ、いろんな要素
女子大生の生きる、迷いだとか、子供と大人のはざまでの
葛藤だとか、恋愛、考古学にひかれていく、その事件といっていい
出来事の、展開の面白さ、そこに影響をあたえる人物の
面白さ


小説としての、バラエティあふれた内容ながら、いっぽん
軸のとおった、よみやすさ。
文章のたくみなことに、舌を巻きます


明日香、また行きたくなりました