Hatena::ブログ(Diary)

土上雑記

2017-01-03

謹賀新年 / 電子書籍へ移行

あけましておめでとうございます


三ヶ日はのんびり部屋片付け……しながら、積本崩し。去年から片付きません…

今年の目標は(物理的な)書籍 1000〜2000冊 処分、少なくとも床積本を無くしたい。どうせ読み返すことはないって本が大半なんだし。kindleで買い直した本も結構あるけれど、それは買い直すくらい気に入っている本だったりするので紙の処分はやっぱり躊躇。思いきらねばなんだけど。


本の購入については、去年1年間の間に大分心情が変わってしまい今後は極力電子書籍(kindle)で集めようと思うようになった。

当初は単品や新シリーズだけ、と思っていたのだけれど、今は、すでに紙で持っている本の続刊も含めなるべく電子書籍(kindle)でと思っている。


電子書籍の利便に慣れてしまって紙の本が億劫になってきたのね。

だいたい文字の本はiPhone6(plus)で、漫画はiPad(air)で読んでいる。どちらも紙の本持ち歩くより楽だし。

そして自炊はすごく面倒。中身だけをドキュメントスキャナに任せるならまだ楽だけれど表紙/カバーを別途スキャン&トリミングしてると時間が食われる。結局やるとしても気に入った本だけになる。(で、お気に入りはなかなか裁断躊躇するし)

自炊の手間思うと特価のkindle版買い直しのほうが割安に思えたり……気がつくとkindle本が2800冊超えてて、もう後に引けない状態だったりする。

(冊数増えたのは0円本や数円数十円本を大量に購入しているせいもあるけれど)


現状の kindle(電子出版) への 不安/不満 は結構あり

  • 提供会社(amazon)が万が一潰れたり、(kindle)サービスを止めるなんてことになったら購入したものが無に帰す可能性がある
  • 本という売買可能な"モノ"とあまりかわりない値段で、売買不可能読書権利(無期限レンタル)を買うことになる(数%安くても割高感)
  • 機器/アプリが縛られる。kindleアプリは書籍viewerとして android/iOS版共に使い勝手がいいとは言い難い。PC版は論外。特に本の数が増えると管理がたいへん。
  • kindleアプリから書籍が購入できない(PC版ブラウザでamazon購入)
  • 現状、漫画は解像度が低かったり、jpegクオリティの低い(ブロックノイズが気になる)ものがある
    • 縦2000pxくらいほしいのだけれど、そういうのはあればラッキー、1600pxあれば御の字、安いのは1200pxとかだったり
  • 古本がない。※作品(出版社)が限られるが割引セールや超廉価売りで結構安くなることはある
  • 紙で出てkindleで出ない本がたくさんある。同一出版社による紙出てていた新装版(完全版)なんかは出ないことが多い。
    • web連載なのになんで電子書籍が出ないんよ(リラクトコミックス Hugピクシブシリーズ)とか
  • 現状 電子書籍は 出版予定が出されないことが多い。予約できるのは少数、紙と同時発売ならラッキー、数週間、数ヶ月遅れもある。なかなか出ないのも。全くの場合も。
  • iPad 120GBでも漫画 1000冊以上いれると領域かなり圧迫されるので、全部ダウンロードするわけにいかない(これは端末側の事情だけど)
  • iPadで漫画の見開き絵みるには横にして面積半分で見るしか無い (これも端末側の事情)
  • [追記] カバー下の表紙・裏表紙が(そこにおまけ絵・漫画があったとしても)含まれていないことがある
  • [追記] 貸し借りが出来ない

それでも kindle(電子書籍)に切り替えようと思うのは

  • 物理的な場所をとらない
  • kindle用の文字書籍の場合、文字フォントサイズを変更できるので、読みやすいサイズが選べれる。(これに慣れると、紙の本の文字が小さくてつらいことが多い)
  • タイトル(や場合によっては本文)の文字列検索できる
  • kindleアプリは書影サムネールである程度まとめて眺められ(背表紙はないけれど)、スクロールに関しては軽い操作が維持されてる (視認検索でも物理的な本を探すよりかは楽かも、と)
  • たぶん自分よりもamazon社の寿命は長いだろうしkindle書籍が無に返すことはないだろう。kindleなら万が一の場合ゴニョゴニョなツールでコニョコニョできる可能性がある。(極力PC版で全部ダウンロード)
  • kindle本は(出版社によるが)たまに高率(30〜50%)の割引や還元が行われたり、数円〜数十円の超低価格本があったりする。販促の1(〜3)巻0円な本も結構ある。
  • iPad1つで漫画数百冊持ち運べる。カバンに入れっぱなしで本が傷むようなこともない。
  • [追記] kindle版の定価は紙の定価よりも(若干でも)安いことが多い

本を購入する上で、物理的に場所を取らない、ってのは、極めて重要/魅力だと思う。

物理的制限に依る抑止がなくなるので、人生の転機等諸々で書籍購入を止める率が減るだろう。

電子書籍は捨てなくていいので(捨てにくいので)、既刊処分による続刊購入忘れ(中止)の率も減るだろう。

本の購入を止めるのを気にしなくていい、ってのは、人生的に大きいんじゃないかな、と。(たぶん出版社にとっても)


個人的に、電子書籍に対する紙の本の良さを謳う人は、CD普及した後でもアナログ・レコード派だった人と同様に感じ始めている。現状の電子書籍漫画に関しては画質が不十分なことがあるので紙を選ぶ意味はあると思うけれど。

※ 今、電子書籍漫画を買のは、将来 BD が出る可能性知ってて VideoCD や DVD を買ってるのと同じような気分があるにはある。


正直いうと読むより先に買ってくる感じで積読が溜まる一方なんで偉そうなこと言える立場じゃないのだけれど(ド嬢って結構本読んでるよな)

最近は、"本は集めるもの、読めればなお吉" と思うようになった、というか、思うことにした。

積読に言い訳するのはしんどいし……コレクターだって認めちゃえ、と。“いつか読む”で構わないじゃない。

ガチャで集めるカードのように書影並べて喜んでたっていいじゃない、と。


※所有(収集)欲が強いんで、月額制(Kindle Unlimited)については端っから考えてない。どうせそんなに読めんし欲しい本が対象になってないこともあるし...

2016-10-19

『百合の世界入門』

百合の世界入門 (玄光社MOOK)

『百合の世界入門』購入。インタビュー読んで後はぱら見程度だけど、けっこうよい感じの百合漫画ガイドブック

ここ5,6年(古くても10年くらい)のを中心に百合漫画が140点以上(表紙表記)、概ね あらすじと表紙絵&作中ページ画(1Pとかコマとか)をつけて紹介されている。表紙だけでなく中の絵があるってのは漫画ガイドとして非常によいものだと思う。近年の作品が中心で紹介された本の入手性もわりとよさそうだし。


「はじめに」で語られる百合の定義関係では広め/緩めの話をされているけれど、紹介されている作品はわりと狭め/コアなモノが中心になっている。世に出ているジャンル作品量を思うと絞り込む必要があるのだし、個人的に紹介されているラインナップはまずまずの納得感。(知らない作品もあるし。細かく見りゃアノ先生/作品入ってないなあ、とか、この先生ならアッチを紹介してくれたら、とか、諸々あるけれど、好みの問題、としとく)

インタビューは5人だけど一人一人の分量があるので読みがいあり。インタビューだけじゃなくて描き下ろしイラストのメイキング(作業自解)があるのもおもしろく。

分類が「ほのぼの&やさしい作品」「切ない&シリアス作品」「ギャグ&百合ラブコメディ作品」「ファンタジーSF作品」「ハード&アダルト作品」と作品内容で大別されていて、並べられている作品をみると傾向が出ていて意外といい分類にも思える(自分で分類するのに使えるかというと難しいけれど)。

百合タグもなにげによく。やはり“男”関係はタグ付けしときたくなるものなんだよなあ、で。(よくよくみるとあまり精度はよくなさそうだった)

百合用語解説は量少ないと思ってしまった。とはいえ知らないスラングもあったけれど。ただ蔑称については敢て紹介しないほうがよかったのでは、と思う。


概ね満足な本だけれど、『百合の世界入門』というタイトルからすると、漫画だけじゃなくて小説/ラノベアニメ映画等の他ジャンルへの言及とかジャンル史的なこととか、もう少し百合ジャンルを俯瞰するような記事もあってほしかった、というのはある。“百合漫画の世界入門”だったらまだ……(と思うも1つ前の雑記のタイトルで"漫画"という単語を敢て抜いた身としては納得できるっちゃできるか)

一迅社『百合作品ファイル』(2008)と比べると、『百合作品ファイル』は漫画以外の作品への言及や年表的なものもあってジャンル網羅的なところあるけれど各ジャンル別に見れば手薄感がなくもなく、作品ガイドとしては『百合の世界入門』のほうが紹介コンパクトで作中絵あって良さげで近年の漫画に集中しているぶん充実感があるかもしれない。 まあ2008年2016年では出版数とかいろいろ事情違うのでアプローチ違って当然だろうけど。(紹介されている作品が大半かぶらないので補完(増補)関係のような面もあるかも)。




(※玄鉄絢先生がインタビューで百合という単語を知ったきっかけが『あおいちゃんパニック!』(竹本泉)で「百合ごっこ」という言葉が出てきた時と答えられていて、あわててkindleで購入(大昔持ってた)。が、ざざっと読んだ限りでは見つけられず...見逃したのか、元々の形態のコミックスあとがきに書かれてるのか(電子書籍はMF文庫版がベース)...)

2016-10-08

百合出版興亡史

(2016-10-15 百合缶、百合天国 について修正 / 2016-10-17 Loveゆり組、について修正)


題はちと大げさ...

概ね百合/GL漫画雑誌&アンソロジーのメモ書きです。こっち作ってて年代順に書き出してみたくなった、と。

現在刊行が継続しているのは一迅社コミック百合姫』とオークス『Lガールズ』の系列くらい(たぶん)。

だけど、他にもいろいろ有ったわけで...以下。


1988,1989 白夜書房秘密の花園 LESBIAN COLLECTION』『同 2』

男性成人向けエロ・アンソロジー。

エロアンソロジーの1テーマとしてレズビアンが選ばれた類かもだけど、2を出す程度には売れてたということなのかな?


1991 すたんだっぷ出版部『Girl Beans SPRING 1』

未読につきどういう百合具合かはわからないけど、この時代に非エロのアンソロジーが出てたというのが興味深い。

1号で終了。

同時期に『Boy Beans』という対になるBL誌も出ていてこちらは続いた模様。

こちら で関係者の方が

“girlの方はBoyの1/3も売れず次に続きませんでした”

と当時の苦戦を書かれている。

(今とかわらず... というか、まだこの時期はBL爆普及前だろうで3倍程度の差で済んでたのかも)


1991〜1992, 2002 一水社『Loveゆり組』

1991年12月創刊のエロ漫画雑誌。こちらによると1991〜1992年に3冊出ていたらしい。

さらに2002年に成人向けアンソロジーとして1冊でている(計4冊らしい)。

タイトルに“ゆり”という言葉がついているけれど“レズ”の別名としてのようで、百合ジャンル的なニュアンスで“ゆり”という言葉を使ったわけではなさそう。(が、2002年に出しているのはブームを感じてのことにも思える)


1994 ムービック『EG―女の子の秘密恋愛物語の本!!』

単発の百合アンソロジー。


1995 三和出版フリーネ[Phryné]』

百合じゃなくてレズビアン専門誌だけれど、漫画&小説が多くて百合アンソロジー的な面あり。

2号まで。(2号未見)

出版社変えて(テラ出版)、『ANISE』として継続(漫画&小説の率はぐっと下がる)。


1996〜1999 宙出版『Lady's comic美粋(ミスト)』

月刊誌で丁度 3年間続いた模様(未見)

レディコミ誌の性質として読み捨ての傾向がある故かもしれないが、連載作のコミックスは2冊しか出ていない。


2001,2005 司書房『レズスペシャル』『レズデラックス』

成人向け。テーマ別のエロ・アンソロジーのシリーズをいくつも出しているようで、これはテーマとしてレズを扱ったもの。(2冊以外にもあるのかは未調)


2003-2004 マガジン・マガジン百合姉妹

百合姉妹 Vol.5 (SUN MAGAZINE MOOK)

おそらく"百合"を標榜した初めての百合専門誌。

6号の予告を出しつつも、5号で終了。

出版社を変え、一迅社『コミック百合姫』で再出発。

百合姫2015.3号で編集長の“りっちぃ”氏は

“(略)私は過去に「百合姉妹」を創刊し、5号で休刊させた。会社が求めるハードルをクリアできなかったためだ。そのハードルの是非はともかく、読者からの見え方として「売れなかったのかな」「百合はビジネスにならない」と思われてしまったとしても仕方ない。その責任は重い。二度とそのような状況は作らない。(略)”

述懐されている。


2003,2004 大都社『百合天国』『同2』

百合天国 2―ガールズ系学園アンソロジー (DAITO BOOKS)

百合アンソロジー。

2号まで。

1号編集後記に

(略)後年“百合元年”と呼ばれるのではないかと思えるくらいに、今年は“百合”がブームとなり、私どももその流れに乗り遅れないようにとちょっとがんばってみましたが、(略)

とある。


2004,2005 スタジオDNA『esエターナルシスターズ〜』 一迅社『同 2』

es~エターナル・シスターズ 乙女と乙女の恋するコミックアンソロジー(2)

2号まで。

一迅社的には2号の直後に『コミック百合姫』を創刊している。

編集的につながってるのかどうかはわからないけれど、執筆陣は『百合姉妹』『百合姫』と被ってる方が何人かおられる。

 

 


2005〜(2016) 一迅社『コミック百合姫』

コミック百合姫2016年11月号

『百合姉妹』後継の百合専門誌。

現在も続く、よくもわるくも老舗。11年くらい。

当初は季刊だが2011.1号より隔月刊化、また、2017.1号から月刊化予定。

当初の読者アンケートからは 男女比 3:7 くらいだったらしい。が、その後『コミック百合姫S』との統合等で男率上がってる模様。

隔月刊の少し前くらいからコミックスの量も増え(2010.7には百合姫コミックス12冊同時発売したり)存在感を増した。

長く続き掲載作のストックが十分になってきた証拠ともいえそうだけど、コミックスの初出をみると携帯連載もちらほらある模様。

携帯関係については、いつ頃からいつ頃までどれくらい配信していたのかはよくわからず。

webに関しては2013.2より『ニコニコ百合姫』が公開され隔月更新で続いている。

あと百合姫は新人漫画家採用積極的世代交代がある。(ただ逆に新人が増えているが故に漫画としてはイマイチになりやすい面も……『つぼみ』や『ひらり、』あるいは『百合姫』自身の初期のように他誌で鍛えられてきたベテラン活躍していた紙面と比べると目減り感があるかもしれない)


2007〜2010 一迅社『コミック百合姫S』

コミック百合姫S (エス) 2010年 11月号 [雑誌]

14冊。

女性読者寄りだった本誌に対し、男性読者を考慮して創刊された模様。執筆陣も男性作家少年誌系で活躍されてた女性作家の方とか。

本誌隔月刊のおり、本誌に統合された。

※「百合姫」と「百合姫S」の両方を買っていた方にとっては年間8冊から6冊に後退した状態だった模様。

※最近のを思うと本誌にSが吸収されたというよりSが本誌を乗っ取った、という気もしないでもない。


2007〜2014 一迅社『百合姫Wildrose』 2011『Girls Love』 2015『キマシ!』

百合姫Wildrose Vol.8 (IDコミックス 百合姫コミックス)

Wildrose 8冊、Girls Love 2冊、キマシ! 1冊。

百合姫編集部によるH有りのアンソロジー。

前2つは少女誌(Teens Love)系。Wildrose 6号のあと、『Girls Love』が2冊出て改名したように見えたが、その後 7,8と出た。

内容的には同じなので、端からみると、改名したが知名度的な浸透に失敗して元に戻したようにみえる。

(なんだかんだいっても"百合姫"ブランドのほうが通りがよいのかな、と)

『キマシ!』はWildroseより男性読者想定のようなデザインやラインナップ。Wildloseと別系統に見える。


2007,2010 一迅社『百合姫Selection』 『百合姫Collection』

百合姫Collection v.1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

Selection 3冊、Collection 1冊。

Selectionは百合姉妹・百合姫からの再録と一部新作。

Collectionは百合姫掲載作家の同人誌等からの再録のよう。

Selection(1)は2007年だけど 後の三冊は2010年で隔月刊気合の一環のような趣きがある。続編の気配は無さそう。

 


2009〜2012 芳文社『つぼみ』

つぼみ VOL.21 (まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)

芳文社は「まんがタイムきらら」系列の女の子たちの日常系4コマが繁盛してるけれど、『つぼみ』のような百合専門誌も出してくれていた。

21号まで。4年弱。

3年以上続いてたのだからそんなに赤字だったわけでもないのではと思うけれど撤退決める程度には売れてなかったということなのか。

以前から百合を描かれてた執筆者だけでなく、ちょっとでも百合要素のある作品を描かれいた人に片っ端から声をかけられてたのでは、と思えるラインナップだった(きづきあきら+サトウナンキ、とか、カサハラテツロー、とか、鈴木有布子、とかetc etc)。

(ああ百合姉妹・百合姫の初期ラインナップとかもそういう面あるかもだけど)

漫画家として脂の乗った中堅的な方が多そうで、読み応えのある漫画が多かった印象。


2009〜2010 ライスリバー『comicリリィ』『comicリリィplus』

ComicリリィPLUS v.2 (RICE RIVER COMICS)

comicリリィとして3冊、comicリリィplusとして2冊。

期間としては1年持たず。

ページ数とかラインナップとか「百合姫」や「つぼみ」にやや劣る感があったような気がする(個々の作品はそう悪くないのだけれど)

 

 


2009〜2010 コスミック出版『百合少女』

百合少女 3―百合コミック・アンソロジー (キュンコミックス)

3号まで。

期間は1年ほど。

こちらも個々の作品は悪くないのだけれど……

 

 

 


2009〜2014(?) ブックウォーカー|エンターブレイン『百合缶』

百合缶Petale

2009年より「百合缶」と言う冠で百合(短編)作品を携帯配信していた模様。

書籍としてはエンターブレインより配信作をまとめた(一部描き下ろし)アンソロジー3冊(2011年)と、コミックス2冊が出ている。書籍化以降も配信(or電子出版)は続いていたのか?、 kindleストアで検索すると電子書籍のみのアンソロジーや書籍未収録作が見つかる。

 



2010〜2014 新書館『ピュア百合アンソロジー ひらり、』『ほうかご! ひらり、別冊部活女子アンソロジー』

ピュア百合アンソロジー ひらり、 vol.14

ひらり、14冊。ほうかご! 2冊。

期間は 4年くらい。

ウィングス」等女性に強い出版社だからなのか、『ひらり、』の作家陣はほとんど女性のようで少女漫画系百合になっていた。

『ほうかご!』のほうは男性作家陣も増えて男性読者考慮って感じ。

つぼみ同様、漫画家として脂の乗った中堅的な方が多そうで、読み応えのある漫画が多かった印象。

短くはない期間出ていたので酷すぎたわけじゃないんだろうけれど撤退する程度には売れてなかったということなんだろうか。


2011 光文社『女の子のナイショの話 乙女妄想族・編』

女の子のナイショの話 (kobunsha BLコミックシリーズ)

1冊。

編著のBLコミックシリーズの一環として女の子モノが出された感じだけれど、内容的には全て百合系で、他の百合誌執筆者多数の状態。

 

 

 


2011〜(2016) オークス『(色)百合』『彩百合』『L Ladies&Girls Love』『Lガールズ』

タイトルが途中で変わるのでわかりにくいけれど現在も継続する成人向けエロ百合アンソロジー。「OKS COMIX 百合シリーズ」の一環。

5年くらいの間に、『紅百合』『白百合』『桃百合』『青百合』『黄百合』『彩百合』(11冊)、『L Ladies&Girls Love』(11冊)、『Lガールズ』(2冊)が出て、現在 29冊ほど。

『(色)百合』は読み切りスタイルだけれど、『彩百合』からは連載ものも増え、書籍名変わっても継続して連載している状態。

同じオークスから出ていた非エロ百合アンソロジー『百合★恋』が打ち止めになったことを思うと、エロは強し、ってことなのね。

 


2012,2013 エンターブレイン『dolce』『dolce due』

百合アンソロジー dolce due (マジキューコミックス)

2冊。

エンターブレインだけど執筆陣的には「百合缶」とは別系統。

(他の百合誌で執筆されてた方も多い感じ)

 

 


2012 光文社『Sis―秘密の恋心―』

Sisー秘密の恋心ー―Kobunshaアンソロジー

1冊。

コラムとか わりと他の百合誌で描かれている人が参加してる。

(光文社「女の子のナイショの話」と繋りがある代物なのかは不明)

 

 


2012〜2013 オークス『百合★恋』

百合☆恋 vol.5 Girls Love Story (OKS)

5号まで。

期間は1年くらい。

オークス「OKS COMIX 百合シリーズ」の一環。

非エロの百合アンソロジー、だけど、最初から全部連載作で、5号時点では継続のつもりだったようで途中打切状態。

 

 


2014 芳文社『SAKURA (1)』

SAKURA (1) (まんがタイムKRコミックス)

1冊。

タイトルや表紙絵のように「桜Trick」のアニメ化に合わせて出た百合アンソロジー。

(1)がついているけれど続刊無。

作家陣的に芳文社「つぼみ」とは別系統のよう(半数くらいはまんがタイムきらら系?)

 


2014〜2015 少年画報社『メバエ』

メバエ vol.5 (コミック(ヤングキングコミックス)(百合漫画アンソロ))

5冊。

“もよおす、百合マンガ”とあおられて、エロ作、非エロ作半々くらい混在の百合アンソロジー。

5号出てからの期間を思うとたぶん終わったのだと思われる。

 


2014 宙出版 "百合コミックス"

モモイロデイズ (百合コミックス)

書籍ではなく、コミックスのレーベル

なんだけれど、結局、同時発売だった2冊が出たのみ。

どちらも レディス誌『恋愛白書パステル』 掲載の作品(H有)で、レーベルとして用意したのだから、他にも発刊の計画があったのではと思うのだけれど何もなく。

モノは2つともよかったのだけど、やっぱ売れなかったのだろうか。


2014 幻冬舎ユリボン』

百合アンソロジー ユリボン (バーズコミックス デラックス)

1冊。

コミックバーズで何度かあった百合特集からのセレクション

(未収録の百合作品がある……次の可能性はないのかな)

 

 


2016.3.8 キルタイムコミュニケーションのブログ

“(略)皆さんに好んでいただいている百合作品、レビューしていただける方などもいらっしゃって本当にありがたい限り、なのですが…… 数字的には正直言うとちょっと苦戦…な具合です(他の文庫と比べた場合)。これまで色んなところで盛衰してきたこのジャンル、声の大きな方がいらっしゃって、一見流行っているように見えますがそこまで裾野が広がっているわけでもないことがわかってきております。(略)”

これは小説出版について書かれてるけれど…… うすうす感じていたことだけれど送り手側からこうはっきり言われると、やるせない。


2016.3 コミック百合姫2016.5号「いかにして『俺嫁』は打ち切られたのか!?」

俺の嫁なんていねぇ! (1) (IDコミックス/百合姫コミックス)

基本的ぶっちゃけてる百合男子だけど、打ち切り理由

“1巻が売れませんでした”

と。世知辛え。これからでも1巻売れたら続けられるようなこと書かれているけれど...

※でも、これ、『百合男子6巻』として発売されていたら普通に続刊としての数は出てたのではないだろうか。改名前の『俺と百合 -百合男子第2章-』ままとか、せめて“百合男子”の文字を表紙に入れていたら結構違ったのでは、と。『コミック百合姫』本誌を読まないし作者買いもしないがシリーズ買いで百合男子を(惰性ででも)買っていた層を甘く見てたってことなのかも。てか、そういう層を誤差とできない程度に客層薄いってことなんだろうけれど。 あと判型小さくなって単価安くなった分、数量のハードル上がってるのかも。


2016.7 キルタイムコミュニケーション『百合妊娠』

書籍1冊。(先行して電子書籍で Vol.1, Vol.2 で出ていたのをまとめたモノ)

各作家、設定を工夫して百合で妊娠させるという試みのエロ・アンソロジー。

続刊の予定があるらしい。

(エロは強い、というか、まだ何とかなる、ということなのかな)


2016.9.9 ヒバナブログ『アフターアワーズ』を盛り上げます!!!!!

アフターアワーズ 1 (ビッグコミックス)

“実は、続刊刊行の前に第1集をもっと広めなくてはならない、具体的にいうと、あと+5000部乗せなくてはならないという問題にぶつかったのです。”

こっちも世知辛い話。(この作に限らず世の中には続刊が出ない作品って山ほどあるけれど)

『アフターアワーズ』はガールズラブしてるおもしろい漫画なので、ぜひ続きが出て欲しい……(紙で持ってるけれど kindle版買い足すくらいは惜しくない作)

(※百合オタからするとガールズラブ(恋愛)を表立って押して無いのが歯がゆいところ。たしかにそれのみを据えた作品じゃないけれど、好みそうな客層とのマッチングがなされてないような気がする)


2016.11予定 KADOKAWA(「電撃大王」編集部)『エクレア』

新規アンソロジーが出るとのこと。

(待ち遠しい)



雑感

昔、『Comicリュウ』創刊の頃編集長さんが、3年は(アカでも)耐えて出し続ける、みたいなことを書かれていたように思う(うろ覚え)。雑誌って最初アカでも認知度上げてトータルで採算ラインに乗るように頑張ってるってことなんだろうけれど。

上記で1,2冊とか1年前後で終わってるアンソロジーが多いのは、なかなか採算に合わないってことなんだろう。

『つぼみ』『ひらり、』はわりと期間長かったけれど、客層育つのを待って耐えてた(耐えきれなくなった)ってことなのかもしれない。両出版社の主要客層に比べたらやっぱり百合読者層は薄そうだし。

※書いといてなんだけれど、死屍累々……は酷すぎるとしても、続かなったアンソロジーとか続刊出せないコミックスとかの話ばかり並べてると少しブルー入るわな


こうやって見返すと2009〜2013,4年くらいがプレーヤー多くて賑わいのピークだったのかな? で、今はメッキが剥がれた、みたいな。

って、言うのは後ろ向きすぎるか。

百合専門誌以外の白泉社楽園』とか徳間書店『COMICリュウ』とか(休刊したけど)双葉社コミックハイ!』とかの百合系コミック出してる雑誌や、なにより今の“百合ジャンル”的には大勢を誇っていると思われる芳文社『まんがタイムきらら』系列とかの萌え4コマ関係は、事情よくわかってないので割愛してしまっているし。Web雑誌のほうも全然把握していないし(期間過ぎたら消える、ってものはなかなか記録として面倒)。そもそも漫画以外(アニメも小説も)無視してるわけだし。

そういうのも列挙できていればまた違った印象になったかも。(でも狭い意味でGL限定だとやっぱりこうなるかも)


ともあれ継続してる『百合姫』や『OKS COMIX 百合シリーズ』は ありがたいものです。新規参入もあるようだし。

『百合姫』は次から月刊化なのだし。頻度上がれば変わりやすいだろう、で。

2016-10-07

幻のレズビアン専門レディコミ誌

大昔、レディコミ誌(エロい方)にハマったことがある。

きっかけは、『ヤングアムール』創刊号の表紙。この絵でエロが読めるの!?と釘付けになった^^;。

描いたのは、小野塚カホリ、で掲載漫画も綺麗でエロく。(小野塚カホリはこれがデビュー)

他にもこんな感じのは無いか、と、当初いろいろエロ系レディコミ誌を漁った。『ヤングアムール』自体は3号で終了したのだけど、結局2年前後某かのレディコミ誌を買ってたと思う。

ただ小野塚カホリ以外で絵で気に入ったのは東城麻美くらいで、大半の方が一昔二昔前の少女漫画系か劇画系の方で当時のこちらの好む現役少女漫画家系のエロはほぼなく… (もちろん後年になれば Teens Love系とかいろいろ増えるのだけど)

と、本筋外の思い出はこれくらいにして。


当初漁った中でレズビアン専門を表紙にうたったレディコミ誌があったと記憶してる。立ち読みで買わなかったけれど(いや買ったんだっけ? どちらにせよ、内容的なことは全く憶えてない)。

最近まで これは『美粋(ミスト)』を見たんだと思ってたのだけれど、小野塚カホリのヤングアムール掲載作を納めた 『Auto Aiming』 を見返してみると『ヤングアムール』が出ていたのは1994-1995年で、『美粋』は1996-1999年なので、時期が合わない。

己の読んだ時期の記憶違いか、でなければ、『美粋』以前にも別のレズビアンレディコミ誌があったのかも?

ただでさえ雑誌の類って情報残らないけれど、レディコミ誌は特に残ってない感じなので真実は闇の中。


と、マンガ図書館Z(R18)のほうで公開されている 江川広美『バージンショック』(『美粋』掲載作を集めた短編集)のあとがきを見ると

 “コレ…マジで全部「美粋」?「美粋」になる前「スクレ」だった頃の作品とか混ざってない?”

という記述があった。

「スクレ」ってのが「美粋」以前にあったのね!? いや雑誌の前身というだけでレズビアン専門かはわからないけれど。

しかし専門かはどうかはともかくレズビアンものを載っける雑誌があったということなので……

レズビアン専門レディコミ誌が『美粋』以前にあってもおかしくはないよなあ、と思えてくる次第。(見かけたんだし……)

まあすっきりした結論なんて出ないのですが(やっぱり闇の中)。

2016-10-05

百合サイトを作ってる

ここんとこ、ちまちまと新たに個人百合サイトを作ってる。

http://lily.matrix.jp/yuri/


今のところ百合漫画一覧しか無いけれど... というかそれ以上するか不明。まあ資料サイトです。


わかる限りの百合専門(漫画)誌(百合姫つぼみ、ひらり、OKS百合、めばえetc etc)の雑誌アンソロジー一覧と、そのレーベルコミックス一覧を列挙してみた。

雑誌・アンソロジーのほうはがんばって掲載作一覧(本の目次)も併記。

コミック百合姫、とくに隔月刊になってからの順不当な目次にはげっそりした気分になる(結局順適当で入力)。とくに文字列を円に配置した号は殺意を覚えた:)

自分が百合集めだした当初にあったらいいのに、と思ったモノを作ってみた、と。ええ自己満足


もともと手持ちの百合系作品MediaMaker管理していて、これは結構よくできたシステムだと思ってる。無料のwebサービスだし。

だけれど、使ってるとよくが出て来るもので 検索表示条件で not が使えたら、とか 痒いところに手が届かない感じあり。

また基本的書籍データamazon 情報なので、amazon側の表記のゆらぎの影響を受けてしまう。巻数ごとのタイトル表記文字とか順とか、複数人著者の場合とか、ね。作者の読みでのソートとかも当然できないし。

ざっくりほどほどには表示できるけれど……部分部分乱れる…… と、ま、不満が溜まって つい手作業で一覧作ってしまったわけで。

(当初は すでに終了している『つぼみ』や『ひらり、』だけのつもりだったのだけれど、終了モノどんどん追加してたら結局『百合姫』まで手をつけてしまい)

手頃なデータベース的なCMSとかどこかにないものか、と思いつつ、とりあえず fswiki で 一覧テキスト作って貼り付けてるだけなので... 今後の更新とかが面倒くさそう、で、すでにメゲかけてます。

2016-07-16

竹宮恵子自伝『少年の名はジルベール』


数週間前の、「カツヤマサヒコSHOW」のゲスト竹宮恵子先生で、その時扱われてた書籍がこれ。(※この回GYAO!にて8/9より公開中(無料期間一週間))

竹宮恵子『少年の名はジルベール』。

少年の名はジルベール

自伝。今年1月に出てたらしい。

デビュー時期から『風と木の詩』連載開始くらいまでを中心にした話で、大泉サロン時代への言及があると聞いては読まざるをえない。(書店でみかけた時よく見ずマンガだと思ってスルーしてた、反省)


缶詰させられていた漫画家竹宮恵子の元に、たまたま上京していた萩尾望都アシスタントに入り二人は親しくなる。竹宮はその後本格的に上京し、萩尾に紹介された増山法恵と意気投合、頻繁に合うようになる。増山の近所の長屋(アパート)に空きができた折、増山は竹宮と萩尾にルームシェアを薦め実現、そこには若い少女漫画家たちが出入りするようになり大泉サロンと呼ばれるようになる。当初は竹宮にとっても居心地のよい空間であったが、徐々に萩尾の才能を見せつけられ嫉妬や羨望で苦しむようになる。竹宮・萩尾・増山・山岸凉子の4人でヨーロッパ旅行をしたりもしたが、やはりつらい竹宮は長屋の契約更新のタイミングでルームシェアの解消を申し出、大泉サロンは終わりを迎える……


見ようによっちゃ百合なあらすじになるかな、と。大泉サロンは終わっても、竹宮先生の元には増山氏が転がり込んで一緒に生活したりするし。

ルームシェアを決めた当初の竹宮&萩尾の会話が素晴らしく。

  • 竹宮「(前略)最初にあの作品を読んだときの感激が忘れられなくってね。それで、こういう才能とだったら、結婚してもいいなって、勝手に思ってた。良かった、萩尾さんとこういう場所が持てて」
  • 萩尾(ちょっと笑いながら)「結婚!……それは……よかった。そうね、私も結婚するならあなたのような気の長い人でないと無理かも」

ええ、あざとい引用です、百合と勘違いするのは自己責任でw (そいや御二人とも結婚されていなかったっけ?)

(大泉での竹宮・萩尾の8畳間の配置見てると妄想しそうに……)


強引な百合ネタはこのへんにして、その他雑感。

正直、若い頃の竹宮先生って一緒に働いてたらシンドそうな相手だと思う(昔の同僚思い出してしまった)。捨て台詞で星座の相性の悪さを持ちだすとか、なんかもう、キツイ。ほんと編集の方(Yさん)大変そうだ。海外旅行を見送った時の「おまえらもう帰ってくんなーっ、バカ―ッ!」ってのは冗談だけど魂混じっるように思えて仕方がない。

あ、と、ディスりたいんじゃなくて、こういう若気の至りを含めて素直に書いてくれてたり、漫画家としてのエピソードとかもいろいろあって――題にあるようにジルベール/風と木の詩を描くまでの歩みが主軸の一つだし――かなり楽しめる自伝でした。(漫画でも実写ドラマでも何でもいいから物語化してほしい気分)


あと以前気になっていた山岸先生が大泉サロンへ初めて訪れた時期についても、だいたい判明。

竹宮恵子「雪と星と天使と…」(別冊少女コミック1970年12月号 のちに改題「サンルームにて」)と、山岸凉子「白い部屋のふたり」(りぼん1971年2月号)が発表された後。山岸先生は竹宮先生が少年同士の告白を扱った「雪と星と天使と…」をどうやって編集を通したのか気になって訪ねた模様。

こちらにあるように「白い部屋のふたり」は元々男同士で描きたかったものを苦肉の策少女同士にしたらしいので、偶然、同じ時期に同じようなテーマに挑んだ、ということのよう。と、いうことで「白い部屋のふたり」の創作には大泉サロンは無関係なのでした。(すっきりした)


それと、大泉サロンでは『薔薇族』が読まれていた模様:)

(『薔薇族』1号は1971年7月発売。なので竹宮恵子・山岸凉子ともに発想に薔薇族の影響なし)



追記:『ユリイカ 2012.12 BLオン・ザ・ラン!』の福田里香「竹宮恵子の私信まんがコラムとBLヰタセクスアリス」で、竹宮恵子が別コミまんが家新聞というコーナーに1973,1974年の段階で描いたジルベールのカット(てか描くぞ宣言)が引用されてた(連載は1976)。ほんと執念の人なんだなあ、です。

稚児懺悔酒呑童子

実は去年秋くらいから勝谷誠彦のメルマガを購読していたりするのだけれど、『彼の名はジベール』の発売当初に何か言及してないかと漁ってみたら案の定2月上旬頃に言及されていた(勝谷誠彦竹宮恵子の大ファン)。それに絡めて氏自身デビューの経緯にも触れられていて、それは 『Allan』での BL短編小説掲載だったらしい。

…… 『Allan』 への言及がこんなところにあったとわ(笑) (メルマガを読み飛ばしていたとも)

タイトルは「稚児懺悔酒呑童子」……なんとなく、見覚えがあるような。

漁ってみれば『Allan 3号』(1981.4)、確かに載っている。

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2016-07-14

百合ジャンルについて雑感 (友情モノがジャンル対象かと悩む以前に女の子を楽しむ)

前回の、人に対する百合=レズビアン定義と、作品に対する百合ジャンル的な定義が並立している、というのが自分認識なのだけれど、じゃあ百合ジャンル的な定義がどうかってのを少し考えてみる。

百合の定義は各人各様のようで、行為 OK/NG?、恋愛のみ?、友情のみ?、プラトニックのみ?、恋愛NG?、LGBTリアリティOK/NG? 等など…… "百合"という言葉だけで自分の欲するものをフィルタリングしたいという気持ちはわからないでもないけれど、すでに百合扱いされている多くの作品群をORしていくと結局、女性同士の関係が描かれた作品” くらいにしか言えない状況なので、もうこれくらいがジャンル定義でよいじゃないか、と個人的には思っている。

少なくとも商業誌は概ねそんな感じに広い定義で扱っているように思える。百合姫でのライターさんや編集さんがする百合作品紹介なんかをみているとね。百合に限らずSFミステリとかも商業誌はわりと広めの定義を採用してそうな感じだし。呉越同舟的に広く太っている方が生き残りやすいんじゃないかな。


自分を思い出すと ハマった当初は "百合=レズビアン" に引きづられていた。恋愛モノ・性愛モノはすんなり百合作品だと思ったのだけど、友情以上恋愛未満的な作品についてはどの程度の濃さなら百合として扱うのか、と悩んだりした。少なくとも、女の子ばかりだけれど“二人の関係を濃く”描くわけでもない日常系作品などはジャンルに含まれるとは思わなかったし、姉妹モノとかライバルモノとかもどうかと思っていた。

今は、ただの友情モノも含めて百合ジャンル作品なんだろうな、と思っている。

自分に限らず、百合=レズビアン前提で百合作品をみはじめると、“友情モノ”を含めることに、濃い関係でもその先が恋愛に到達しないような関係のものまで百合扱いすることに、最初は抵抗あるんじゃないかな、と思う。もちろん最初どころか只の“友情モノ”は含めないという百合ファンも結構多そうに思うし、ほんというと今でも友情モノは悩んでしまうことが多いのだけど。


恋愛モノと友情モノ

大雑把に、今の百合ジャンルには 恋愛モノと友情モノがあるのだと思う。(友情百合という言葉はわりと定着している感あり)

実際にはその間をグラデーションに存在する、友情以上恋愛未満や共依存的なモノ・腐れ縁的濃い深い関係等を扱う作品も多いけれど、一応どちらかに振り分けられるとして。姉妹やライバルなんかもムリすればどちらかの関係に振り分けられるとしとく。(ほんとは友情以上恋愛未満系を主に楽しむ層が多そうな気もするけれど、後回しにして一旦忘れる)

両方を楽しむ層は多いと思うけれど、どちらか片方しか楽しまない/認めない層も結構居られるようにもみえる。

百合の原義的には恋愛を含めないのはナンセンスに思うけれど、友情モノ(のみ)を求める気持ちもわからないでもない。(男女の)恋愛モノに対しては“恋愛めんどくせぇ”とか“恋愛全くダメというわけでないけれどストライクゾーンが狭い”等はあるので友情モノのほうが気楽に楽しみやすい面もある。


友情モノを百合ジャンルに入れるかどうかは別として、女性同士の友情モノを楽しみたいという需要は結構あると思うのだ。(下手をするとそちらのほうが多い可能性もあるかもしれない)

今の少女誌・女性誌は“恋愛専門誌”的な側面が大きいし、少年誌青年誌は男性同士の“友情主体”の作品は多いけれど、男女誌双方とも相対的女性同士の“友情主体”の作品は少ない、と思う。( まんがタイムきらら等の萌4コマ・萌漫画系は一大勢力で多量にあるけれど)

なので、呉越同舟的に百合ジャンルに友情モノが捕捉されるというのは、そう悪いことじゃないと思う。


ただ友情モノの楽しみとしては

  • 友情話自体を楽しむ
  • 友情な関係を元に二次創作妄想を(経由して恋愛的に)楽しむ

があるようだ。

正直後者についてはググッてみかけた件から書いてみたのだけど……友情百合の存在理由が二次創作的妄想の有無だとすると前提が崩れた気分。二次創作BL(やおい)の元ネタになるような少年誌作品をBL作品とは言わない(言いたくない)のと同様に“元ネタ”になるというだけでは百合作品とは言いたくない、という感覚があるので……なので百合ジャンルで友情モノが含まれているのは別の理由(需要)のほうが落ち着きます。


友情以上恋愛未満

前記ではあえて避けたけれど、友情以上恋愛未満〜淡い恋愛くらいを主流として添えてるファンは多いかもしれない。

ジャンル始祖的な『花物語』にしても中興の祖的な『マリア様がみてる』にしても、深い絆・濃い友情・友愛・先輩後輩の親愛等、直接の恋愛も無いわけではないけれどソレ以外の(恋愛に近いが別の)関係のほうが多い。

読者としてもその流れのモノを求める層は多かったのではと思う。


百合姉妹 Vol.1』(2003)での定義だと “思春期の少女に特有の、少女同士の行き過ぎた愛情” となっている。(今となっては年代を感じるような)

きずきあきら+サトウナンキ『エビスさんとホテイさん』のあとがきでの「つぼみ」の編集者さんは 「寸止め」「ほんのり」「恋と友情の間」 と表現。(あと作者側で「ほほーエロは抜きと」とある)

ジャンル誌的にも、このへんを狙って作っている(いた)様子が伺える。


ただ2000年代前中期に比べると、2010年代は作品数が激増していて、ジャンルの質・幅も広がって、単純に言い切れない状態になっているようにも思う。


何を楽しんでる?

百合の定義というわけではないけれど、百合および百合周辺作品で何を楽しんでいるかを考えてみると

  1. 女の子を楽しむ
  2. 女の子同士の関係を楽しむ
  3. 男の扱いが重要でない(男女の'関係'の比重が低い)

という感じだろうか。(あくまで野郎な自分基準ですが)

そもそも女の子同士の関係を楽しむ以前に“女の子”自体も楽しみたいわけだ。

“女の子”を楽しみたいから、その関係が、“恋愛”だけでなく“友情”でも“ライバル”でも“姉妹”でもよいわけ。百合に含まないだろうけれど楽しみとしては“独り”の話でもよいのだ。(最近の「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」なんかはレズビアンの話だからジャンル対象というのはあるけれど、お話的には他者(キャスト)との関係性はほぼ皆無なのでメンヘラ女性の自分語りが楽しみの主だろう)

女の子たちに某かの魅力があるのが前提ともいえるけれど、女の子だからと閾値は低くてもokな面もあるかもしれない。


どういった女の子/女性を楽しむかは、受け手の好み次第ではある。

性格や容姿、環境(シチュエーション)。

少女漫画少年漫画・萌漫画・レディコミ・青年誌・成年誌…等各々での枠組みの中での女の子/女性キャラ

まんが・アニメ実写作品のキャラの場合もあれば、アイドルや(アイドル)声優、などの生身も。

百合として楽しむ対象の女の子はいろいろありそう。


女性キャラの“感性”のようなものに感じ入る場合は、その作者の性別も気になる大事なコトだろう。

瑞々しい女の子の感性に思えたものが実は野郎のモノだったりすると消沈する気分はあるだろう、で。(女の子だと思ったら男の娘だった、というのはそれはそれで吉としても別種の楽しさ)

読者・視聴者が、アイドルと、ベテラン歌手や女優とで求めるものが違うように、新人作家とベテラン作家とでも求めるモノは違うわけで、男性作家でも旨い百合作品であれば全く問題なく……つまり男性百合作家には最初からベテラン(技巧)を求めてるのかもしれない:)

(といっても、中には、見目はかわいい女の子キャラだけれど中身は男(おっさん)キャラに思える作もたまにあったりするけれど、結局許容してることも多いので、そんに気張って作家性別を気にしてるわけでもない)


男キャラ

百合において基本的に男は邪魔だろう。

男や、男女の関係を描かれると、その分、女性や、女性同士の関係の描かれる絶対量が減るわけだから。

そもそも(男女モノ含め)恋愛モノがそんなに好きでない人も多いかもしれない。全くダメと言う人はいないと思うけれどストライクゾーンの狭い人は多そうだ。特に女性よりも男性の場合は。

もちろん現実世界のリアリティを作品に反映しようとすると男不在の状況はともするとファンタジーになるので、ほどほどに存在してくれるのがよいのだけれど、男量が多いとやはり目減り感はあるかもしれない。


(追記:以下、ざっくりと典型的な"男性"/"女性"を思い浮かべて……個々を持ち出すと当然いろいろありなんで)

百合に限らずだけど、少女漫画・女性漫画での男性キャラの描かれ方は読み手(自分)の興味に影響する。

女性の求める男キャラと、男性が求める男キャラは違うと思う。特に、“カッコイイ男性”像は乖離が激しいと思うのだ。(ゲイ男性と腐女子とで求めるものが似てそうで全然違うのはそういうのもあるのではと思う)

個人的には女性のいうカッコイイ男性キャラをカッコイイと感じれることは少ない(旨い作家さんもいるのでゼロではない)。

少女漫画は好きだけれど、だからと言って王子様キャラに惚れることはない。女性読者ならそれ目的で読めたとしても男性読者としてはそれは動機にならない。王子様キャラに駆動されて動く女の子たちに魅せられるから読むわけだ。テンプレ的にカッコイイと定義されたキャラとして楽しむコトはあるにはあるけれど動機まではならないのね。


思えば、少女漫画の男性キャラにあまり興味ないのかもしれない。

だからなのか、百合だと双方女性キャラなので、男女の恋愛モノよりも広く興味もって恋愛モノを読めている気がする。三角関係とか浮気とか男女モノだとさして興味ないものでも、百合となればおいしくいただいている。

逆に、百合にハマってからこっち、少女漫画をあまり楽しめなくなっているかもしれない。以前は女の子みたさに男キャラに対して目をつぶれていたものが、どうも我慢できなくなってしまったようだ。

結局(百合に限らず)、男キャラが出てくる場合は、ある程度以上納得できる男キャラが描けてる作品しかダメなんだよな…… といっても、年齢低めの少年キャラはわりとokだったりするかもだけど。


※ 少年・少女って、少なくとも創作上は結構近い存在なんだと思う。

女性作家でも少年キャラはわりと納得することが多いし、男性作家の少女キャラも個人的には少年入ってるなあと思うことがあっても女性読者の感想はちゃんと少女として共感していたりする。(もちろん旨い作者の場合ならば、だけど)

性差よりも子供と大人/ジェネレーションギャップのほうが大きいのだろう。

大人は“子供”を経験しているけれど、“大人の異性”は実体験していないわけで。

逆の意味で老男・老女も納得しやすいのかもしれない。生物的・社会的に性差は減るし、その年代になるまでは老人を未体験なのでテンプレキャラでも十分納得してしまえる面はあると思う。


追記:百合とあまり関係ない話になってしまったけれど……酷い言い方をすれば、ツマンネぇ男なら居ないほうがマシ、という理由で百合を好んでる面もあるかもしれない。

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