PTSDの症状について

【過覚醒】
http://www.cranio.jp/top/top-4-1.html

<過覚醒>になると
 脳の活動状態 : 興奮状態・緊張状態
 精 神 活 動  : 過敏・注意が不要なことに向いてしまう
           とらわれる・不安・恐怖・怒り・焦燥感
           キレる・短気・非現実的思考


<過覚醒>が慢性化すると?
脳は、<過覚醒>の状態が慢性化すると疲労します。
そこで、脳は、疲労回復を図るために、脳の覚醒水準を<低覚醒>にして、「生命活動」と「精神活動」を低下させます。
この状態になると、私たちは日中でも十分に覚醒できず、眠気に襲われて日々の活動に支障が生じます。
それでも、脳の疲労が回復されないと、脳は覚醒水準を<超低覚醒(睡眠状態)>にして、疲労の回復を図ろうとするので、朝起きられなくなり、日中でも寝たくなります。

【トラウマ・PTSD
http://rosehip.jp/index3.html


恐ろしい体験の結果として、麻痺、再体験、過覚醒などの症状が見られてきます。PTSDという定義自体も、時間と共に変化しており、まだ発達段階、研究段階の概念であると言えます。


「麻痺」とは、圧倒的な苦痛の結果、苦痛を感じる感情や感覚を失っていくことです。これは自分を守るためのメカニズムでもあります。蛇ににらまれたカエルの状態とも言えます。何も感じなくなることにより、苦痛が減り、それによって苦痛な状況を生き延びようとする防衛反応とも言えます。けれども、防衛には役立つが、回復しようとしたときに、出来事の感情、感覚をはっきり思い出せないと言う形で回復の妨げにもなりうる反応であるとも言われます。


「再体験」とは、時間と空間を越えて、違う場面で過去の苦痛な記憶が出てくる事を言います。フラッシュバックのように過去の場面が勝手に思い出されてきたり、夢の中で悪夢となって出てきたりもし、人によっては過去の記憶としては浮かばないのに体の反応だけが過呼吸や不安発作の形で出る場合もあります。また、男性の怒鳴り声に反応して、子供時代の強い恐怖がよみがえり、怒鳴る男性に抵抗できなくなる、どうしていいかわからなくなるという具合に、似たような状況刺激により過去の恐怖が再現されやすくなったりします。


「過覚醒」とは、恐怖の体験のために神経の高ぶった状態です。不眠、イライラ、怒りっぽい、集中力がない、などの症状がでたり、ちょっとした刺激で不安や恐怖が出やすかったりもします。


*上記以外の定義としては
1.人格の対物化
2.基本的仮定の崩壊


「人格の対物化」とは、人間が人間としての尊厳を持って取り扱われるのではなくて、物体として取り扱われる体験を意味します。暴力を振るわれる場合には、まるでサンドバックのように扱われ、性被害に遭う場合には、加害者を満足させるための道具として扱われ、ネグレクトされる場合には人形などのように扱われ、阪神大震災に遭遇した場合には、宙を舞うテレビや落ちて割れる花瓶と同じように人が死ぬことを体験する、そういった人間として受け入れがたい体験のことを意味します。


「基本的仮定の崩壊」とは、人は愛されるものだ、愛情とは素敵なものだ、人と親密になることは素敵な体験だ、世界には自分が生き甲斐を感じて生きていける場所がある、自分には幸せに生きる可能性がある、未来には良いことがある、などの生きていくために必要な基本的な世界観を破壊されるような体験を意味します。

心的外傷後ストレス障害
http://www.insight-counseling.com/kizu/shousai/shousai_01_1.html

PTSDの症状〕
PTSD(外傷性ストレス障害−Post traumatic stress disorder)の症状としては、再体験、回避と麻痺、覚醒亢進症状の3つが上げられる。
再体験は、出来事の反復的、進入的、かつ苦痛な想起であり、出来事の悪夢を反復的に見ることもある。また、外傷的な出来事が過去に起こったことにもかかわらず、再び起こっているように行動したり、感じたりする。そして外傷的出来事と同じような内的または外的きっかけから生じる心的苦痛や生理学的反応性などである。
回避と麻痺では外傷と関連した思考、感情、会話を回避し、それを想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力をする。また外傷の重要な側面の想起不能、重要な活動への関心または参加の著しい減退が見られる。
そして他人からの孤立感、疎遠になっているという感覚、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚などがある。
覚醒亢進症状では入眠、または睡眠維持の困難、易怒性、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応があげられる(American Psychiatric Association, 2000)。
この症状が1ヵ月以上継続するとPTSDとされ、1ヵ月以下の場合には急性ストレス障害と診断される。


この多様なPTSDの症状をハーマンは過覚醒、侵入、狹窄の3つのカテゴリーに分けることが出来るとしている。
「過覚醒」は長期にわたって危険に備えていたことの現われとし、
「侵入」は心的外傷を受けた深い傷を反映し、
「狹窄」は屈伏による無感覚反応を反映するとした(Harman,1993)。


狹窄における無感覚反応の研究でヴァン・デア・コークはPET(陽電子放射撮影法)でPTSD患者に外傷体験を思い起こさせたときブローカ領域での酸素の消費が低下したことを観察した(van der Kolk, 1996)。
ブローカ領域は内的体験に触れるための言葉を生み出す部分であることから、
PTSD患者の外傷体験は「言葉にならない恐怖」を引き起こし、感情を言葉で表現する能力を阻害し、感情を身体の機能不全という形で無言のうちに表現させる現象を裏付けるのではないかとしている。


PTSD患者の主訴のずれ〕
これらのケースの多くは困難を抱え来室しているにもかかわらず、訴える症状を治療者が聞いても全く本人が困っていることが伝わってこないという現象がある。面接室に入るまでの緊張感は患者から感じ取ることが出来るが、一度患者自身の問題を語りだすときに冷静になり、「一晩中、過食嘔吐をしている」、「カッターで手首を何度も傷つけてしまう」、「彼氏に殴られ指を骨折した」などの本来は緊張感が伴うはずの話を淡々と話すか、笑顔を浮かべながら話したりすることから、治療者には全く緊急性が伝わってこない。
両親からの身体的虐待や他の外傷体験が語られるときでも、感情が伴って無いことから、治療者が外傷体験に共感することが難しい。父親や兄弟からの性的虐待のエピソードが語られるときでも、患者は涙を流して泣くが、その時の泣き方があまりにも極端で全てが演技じみて見えてしまう。


この現象がハーマンのいう心的外傷後ストレス障害の最大の特徴であると考えられる。外傷を受けた人は記憶喪失と解消そのものの再体験という両極の間を往復し、強烈な感覚を繰り返すことにより何も感じないという砂漠のような空白状態との間を往復し、衝動的な苛立ち行動と全くの行動静止との間を往復することで、この周期的交感が不安定性を生み出し、このために外傷を受けた人の将来は予測不能なものでいっぱいになり、自分は孤立無援だという感覚に陥ってしまう(Harman, 1996)。患者たちは、不安感を相手に伝えてみるが、その背後には患者自身が感じられないという感覚があるので当然治療者に緊急性が伝わらず苛立ちを覚え、治療者を転々と変えてしまい、結局誰にも理解してもらえないという孤独感に苛まれてしまうのである。