四日間の不思議 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ) A.A.ミルン「四日間の不思議」。
主人公があまりにも能天気で、面白かった。単純に楽しめるお話。登場人物は皆善い人だし、殺人事件の真相は、(ここから反転)最初にジェニーが想像したように、滑って転んで頭を打っただけだし、その説明でみんな信用してしまうと言うのはちょっと都合がよすぎる気がしないでもないけれど、ジェニーは可愛いし、お笑い小説だからまあ、いいか、みたいな感じ。これは、厳密にいうとミステリーではないね。

書店のレヴュー

くまのプーさん」で知られるA.A.ミルンのユーモアミステリ。可愛らしいお嬢様の主人公ジェニーは18歳。かつて住んでいた邸宅(もう他人が住んでいる)に「うっかり」入り込んだジェニーは、叔母の死体を発見、「うっかり」凶器の位置を変えてしまい、「うっかり」イニシャルの入ったハンカチを忘れ、「うっかり」窓の下に足跡を残してしまう。さて結末は・・・?◆結末はあとがきにしっかり書いてあるので(!)先に読んでしまわないことをお勧めします。このお話、ミステリというよりはユーモアたっぷりの青春物語と言えましょう。窮地に陥ったジェニーを助ける友人ナンシーと逃亡先で知り合った青年デレク。3人の息のあったやり取りが絶妙。その他の登場人物も、殺人事件初体験の警部や自惚れ屋の小説家、妻を何としてでも守りたい気持ちばかりが空回りの犯行現場の住人など、愛すべき人たちばかり。思わず吹き出してしまうような場面満載で、実に楽しい作品です。05/11/09★★★

六〇〇〇度の愛 鹿嶋田真希「六〇〇〇度の愛」。
長きに渡って借り続けていましたが、やっと読了。難しかった。薄い本なのに一ヶ月もかかってしまいました。難解で実によく眠れる本でした。(^^;)ゞ
書店の感想も、書いてて自分でもよくわからん。だったら載せんなよ、とも思ったけれども、悪くない作品だったのでパスするのは惜しい気がして。
ロシア人の母を持つ青年セラフィムは、ユローディヴィであった、ということでいいのでしょうか。

書店のレヴュー

第18回三島由紀夫賞受賞作。凡庸に幸せな生活を送る主婦は、団地の非常ベルの音に突き動かされるように長崎へ向かう。子どもと夫を残して。◆渇きを覚えた女は6000℃の高温にさらされ死が渇きが溢れた過去を持つ長崎に辿り着く。そこで自分と似た混血の青年と出会い体を重ねる。アルコール中毒で自殺した兄、兄を溺愛し自分を虐待した母、兄と自分を同一視する女自身。そして聡明で強い精神力を持つ夫。幸せの絶頂にいるからこそ、死ぬことが恐怖ではなくなるのか。青年との逢瀬の中で、死に魅了されていた自分と決別し、元の生活に戻っていく。生と死、そして宗教。大変難解な観念的小説。05/11/09★★★

映画「ドア・イン・ザ・フロア」が公開され始めた様子。ここに住んでいると、見るのはかなり困難のようだ。
ま、それは置いといて。
この映画の原作は、ジョン・アーヴィングの「未亡人の一年」なんだよね。書店の海外部を作ったときから、ぜひともアーヴィングのコーナーを、と思っていたから、ちょっと気になるんだ。如何せんアーヴィングの作品は、(読んだことのある人はわかるだろうけど)描写が細かく片手間に読めるようなもんじゃないので、なかなか手が出しづらい。でも出したい。
他にも、読みたい本というのは蓄積されるばかり。一応メモ書きなぞしているけれども、収拾がつかない。活字中毒者の方々には共通の悩みかとも思うが、一日に一冊ぐらい軽々読んでしまう人っているわけだし、そういうひとになってみたいな〜、とか切実に思ったりした今日でした。