露メドヴェージェフ首相択捉島訪問 続報

【モスクワ時事】北方領土択捉島訪問を強行したロシアのメドベージェフ首相は22日、現地で開発計画の実施状況を視察するとともに、政府主催の愛国集会「全ロシア青年教育フォーラム」に参加した。終了時に「クリール諸島(北方領土と千島列島)には現代的な軍部隊が必要だ」と記者団に述べ、軍備増強の考えを示した。
また、日ロ関係について「ロシア領であるクリール諸島と結び付けるべきではない。(政府要人は)今後も訪問する」と日本をけん制した。ロシア政府が発表した。
首相は日本側の再三の中止要請を無視。日本政府は外交ルートを通じてロシア側に抗議した。ウクライナ危機で冷え込む日ロ関係のさらなる悪化は不可避で、岸田文雄外相の訪ロや、安倍晋三首相が目指すプーチン大統領の年内訪日に影響しそうだ。
メドベージェフ首相はフォーラムで、愛国青年活動家ら参加者100人を前に「極東で一番重要なのは予算ではなく人材だ」と指摘し、若い世代に極東開発への参加を呼び掛けた。また、択捉島国後島を政府の重視する「優先発展地域」に指定すると明言。「極東にバイオテクノロジーの拠点をつくる」というアイデアも披露した。 
首相はこれに先立ち、水産工場や港湾施設などを視察。「(港湾施設は)極めて現代的な水準。政府による(2007〜15年の)クリール諸島社会・経済発展計画の成果だ」と評価した。7月の次期計画(16〜25年)の閣議決定を踏まえ、外国からの投資に対しては「一番乗りが利益を得るのが原則だ。日本の隣人でも、中国や韓国の友人でも良い」と述べた。
メドベージェフ首相の北方領土訪問は、大統領時代の10年11月、首相転身後の12年7月に続いて3回目。過去2回は国後島を訪れており、択捉島は初めて。視察にはトルトネフ副首相、ガルシカ極東発展相らが同行した。(2015/08/23-00:50)

【モスクワ時事】ロシア外務省は22日、声明を出し、メドベージェフ首相の北方領土択捉島訪問に対する日本の抗議について「国際社会に重要な(9月の日本の降伏文書調印による)第2次大戦終結70年を前に、日本は大戦の結果に反対し続けている」と非難した。
また、ロシア外務省筋はタス通信に対し、岸田文雄外相の訪ロが延期されるという見方が出ていることに「あり得ない」と懐疑的な認識を示した。
岸田外相は22日、アファナシエフ駐日ロシア大使を外務省に呼んで抗議した。この際のやりとりに関して、同筋は「(岸田外相の訪ロには)双方とも言及していない。合意していないことを延期することはあり得ない」と主張した。 (2015/08/23-01:25)<<