ギャルゲー運動

地雷犬日記:BLOGを読んでいたら、「ギャルゲー運動」という言葉があると知ってふーんと思ったのだが、ふと、あれもしかして?、と思って机の上の本棚を見てみるとそこには「新現実」vol.2があり、佐藤心のコラムも載っていたのであった。特集・天皇制だけ読んですっかり忘れてたよ。エロゲやらないから、固有名詞じゃんじゃん出てきても理解できないので読み飛ばしていたのだ。というかなんというかどうでもいいじゃん、エロゲとかさー。いやいやそんなことないですよ。失言失言。そんで、佐藤が「ギャルゲー運動」を提唱したのは、新現実vol.1でなので、自分の持ってるvol.2には実は提唱の部分はない。が、前号を要約した部分があるので、そこから「ギャルゲー運動」にふれた部分を引用してみる。

 前回私たちは、二〇〇一年に発生した「月姫現象」に着目して、ギャルゲーの消費行動が持っているネット
ワーク的性質について論じた。ギャルゲープレイ自体は孤独な営為である。そこには基本的に、キャラクター
とのあいだで交わされる、閉じたコミュニケーションがあるだけだ。しかしだからといって、プレイヤーから
人間的な繋がりがまったく消えてしまったわけではない。「月姫現象」は、近年急速に整備が進められた同人
流通/市場、インターネットなどの新たな社会環境に支えられていた。私たちは、こうしたネットワークに
よって、バラバラである個人がむしろ強く関連づけられていると考えている。
 またそこから、『月姫』(TYPE|MOON/二〇〇〇年)の作品論を通じて、ノベルゲームというシステムを
整理した。同時にノベルゲームを基盤に、『To Heart』(Leaf/九七年)というギャルゲー作品のキャラク
ター/世界観/システムを更新する作業を「ギャルゲー運動」と呼び、具体例として「日めくりカレンダー形
式」「少女マンガ的モノローグ」という特徴的な要素を抽出した。さらに、ギャルゲー運動に属する作品にみ
られる独特な世界観、まさにギャルゲー的リアリズムとしかいいようのない論理で構築された「現代ファンタ
ジー」までを概説した。
 そして私たちは最後に、ノベルゲームという共通システム上で営まれる孤独なコミュニケーションと、ネッ
トワーク上で繰りひろげられる様々な社会的コミュニケーション、すなわちふたつの質的に異なったコミュニ
ケーションが生成し続ける場を「ギャルゲー空間」と名づけ、これを括弧付きではあるが、一種の「ネット
ワークゲーム」であると結論づけた。

<オートマティズムが機能する2:佐藤心新現実vol.02 カドカワムック178(2003):pp.242>

前回のサマリー部分なので、一応ここでなされている定義が簡潔で十分なものだと思うのだが。vol.1読んでないので自信ない。でも常識的に言って、連載記事なわけだから2号の冒頭のサマリー部分が前号を押さえてないってことはないとおもう。ま、地雷犬さんや望月さん(http://d.hatena.ne.jp/motidukisigeru/20040325)の記事を読むための補助線くらいのつもりで。ではでは。
 しかし引用ブロック、綺麗につくれないなあ。
追記:単純に言葉尻だけ捉えるけど「ギャルゲー運動」という言葉の違和感は、「運動」がアクティビティーを想起させることにあると思う。なんつーか、時代の表象のような、ある種のカテゴリの作品が増えることは、あんまし「運動」って感じじゃないと思うんだよね。ぴったりんことする用語をつくるのもなかなか難しいですな。

書き手の自称の問題

めちゃくちゃどうでもいいことだろうけど、下で引いた佐藤心の論文、単著なのに「私たち」でずっと書かれているのはどういうことなわけ?
書き手の自称については、わりといつもひっかかるので、今までにもいろいろ書いてきたけど、たとえばファウストのインタビューで「編集部」がインタビューしてるのに文中の自称が「僕は〜」だったりすることについて、気持ち悪いと思う感覚を改めるつもりはないとしても、ニューウェーブなのかなと譲ることはできるけど、単著の論文で「私たち」はやっぱおかしくない?それともこういうのって人文系ではよくある修辞技法なの?よくあることだとしたら、どういう意味があるの?なんか了解はあるの?私たち、には誰が含まれていると理解するのが一般的?読者と筆者?いやでも前号買ってない自分のような読者は面食らうよ。
昔、斉藤美奈子がなんかの文芸評論で、一人称が「僕」の作品群をとりあげて「僕、僕、言ってんじゃねえよ!」みたいなつっこみをしていた記憶があるけど、評論とか記事とかの自称で「私」とか不定称を使わないのってなんなんでしょうか。わからん。
*この話、3/28日分に続き書きました。
追記:よく考えたら一般的な言葉でもなさそうなので補足。「単著」っていうのは著者が一人の文章と言うことです。著者が複数だと「共著」になります。

はてなのこと

久しぶりにはてなをぶらぶらしたが、結構あれですね、いろんなコミュニティ出身の人がいるんですね。はてな(プ、とか言いそうな人もいるんだなーという感想。まー書きやすいしね。知ってるっていっても、ROMってた先くらいのことで積極的に関わってたわけじゃないから、ネットマスターな人々の名前を発見してへーと思うくらいで、あんま自分のはてなライフには関係ないんですけどね。つか、はてなライフってなに?なんかでも、懐かしい感じがしてちょっとおもしろかった。