小谷野敦 / 片思いの発見(新曜社)



あとがきがおもしろかった。「文学研究における作品論は科学ではない」。そうだね。
メインテーマは文学と倫理。北村透谷が女性にモテたので、日本の文藝評論には
明治くらいからずっと「片思い」の視点が抜け落ちている、らしい。そうなのかよ!

小谷野敦 / 江戸幻想批判(新曜社)



フェミニストの江戸礼賛に対する批判。歌舞伎、演劇の話も半分くらい。
「近世日本の性を幻想するな」という小谷野の姿勢は一貫している。
前半は、論文中心で読み進めるのにちょっと難儀した。

小谷野敦 / 聖母のいない国(青土社)



比較文化的(英対米とか)な文学論。比較文学ってのが、そもそも比較文化的なんだろうけど。
フェミニズムは別に性からひとを解放しないとか、そんな感じ。登場する作品は、
北米大陸(米国、カナダ)のもの。映画の話も出てくるし、たいへん読みやすくオススメ。