中越地震から一年

 何と言っても今日であの中越地震から一年。最近はうちの近所でも地震は多いのですが、この頃の地震のどれよりもあの時は揺れていました。しかも最近のものは震源地からすぐ近くだというのに、あの時は何百キロも離れていたわけですから…。
 当日は友人(新潟出身)が遊びに来ていましたが、とりあえずテレビをつけて驚いて新潟の実家に安否を問う電話を入れていました。その子は新潟市内だったので、当座問題がないということではありました。また職場でも長岡出身の子がいまして、そちらも一応実家近辺は被害が大きくはなかったと言っていましたが、後で実家に帰ったとき、マンホールの蓋が円柱状に飛び出していたのが怖かったと話していました。


 世界的にも大津波だとかハリケーン、そして大地震と大きな災害が目白押しで、新潟中越地震からまだ一年なのと驚いてしまいますが、それぞれの被災者の方は今も一生懸命もとの生活に戻ろうとがんばっておられることと思います。直接の支援はできませんので、その度間接的なことしかいたしておりませんが、情けは人のためならずでもありますし、今後とも関心をできるだけ持ち続けていきたいと思っています。


 一年が経ちましたが、実は中越地震の被災者の方々はまだ多く仮設住宅に残っておられるとのこと。
 住宅再建のめどなし44%

 新潟県中越地震の発生から23日で1年になる。読売新聞が仮設住宅で避難生活を続ける20歳以上の男女300人にアンケートをしたところ、「住宅再建のめどが立っていない」と答えた人が44%にのぼった。


 災害救助法による被災者向け仮設住宅の入居期限まで1年。生活の苦しさを訴える声も発生から半年の前回調査より大幅に増え、自力での住宅再建の難しさが浮き彫りになった。


 仮設住宅にはなお、2812世帯・9160人(9月30日現在)が入居。アンケートは震災から2か月の昨年12月、半年の今年4月に続き3回目で、今回は10月8〜10日に行った。


 住宅建て替えの「めどが立っていない」は、半年前の調査結果とほぼ同じだが、被災時の居住地別にみると、全住民が避難した旧山古志村長岡市)が53%に上り、山古志を除く長岡市の40%、小千谷市の38%、川口町の17%を大きく上回り、意識に“地域格差”が表れていることがうかがえる。


 めどが立たない理由は「資金難」が35%で最も多かった。生活については「苦しくなった」が54%で、半年調査の時より17ポイント増加した。経済状況の苦しさが将来の見通しをいっそう困難にしている。


 一方、「再建のめどが立っている」人でも、「道路の補修や宅地造成が進んでおらず、本当に建て替えられるのか不安」(旧山古志村、72歳女性)、「元の場所は山沿いで雪が多いので別の場所に引っ越したい」(小千谷市、48歳男性)などと漏らし、被災前の居住地を離れて生活再建を目指す人も目立った。
(2005年10月23日3時2分 読売新聞)

 なにより被災した方々は職場もやられた人が多く、特に新潟で住まれている方には長男で家庭を持ち家族を養っている人の割合が多いそうで、職自体をなんとかできなければ生活の建て直しはなかなか難しいと伺っています。いくら地方は地価が低いとはいえ、耐震で大雪に耐える住宅となれば3000万円あたりの金額はかかるということですので。年齢によってはこの金額ではローンは組めないですし。


 残念ながら中越地震のケースには間に合いませんでしたが、ここらの問題に関しては10年前の兵庫淡路の大震災からの動きに関心を持っています。それは、自然災害の後の住宅再建に関する共済制度の検討です。
 今年の1月には、兵庫県被災者住宅再建支援制度調査会が「兵庫県被災者住宅再建共済制度(仮称)創設に係る最終報告」のとりまとめをしています。


 ここで検討されている共済制度は、県レベルで住宅の再建等を支援する互助システムで、地震保険などの限界を認識して個人を越えたレベルで住宅再建の共助の方策を探るものです。

(1) 地震保険等の限界 
地震に起因する火災については 約款上の免責条項から火災保険は給付されず住宅再建機能に限界
② 保険料が高く、加入率が低いため住宅再建促進に機能しない
(2) 公費支援の妥当性と限界
① 妥当性 旧国土庁 被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会 報告
「住宅は単体としては個人資産であるが、阪神・淡路大震災のように大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついているため、地域にとってはある種の公共性を有しているものと考えられる」として、国の審議会等としては、初めて「住宅再建の公共性」を明記し 「共助の精神に基づく共済制度を検討する必要がある」とされた (平成12年12月)。

 国が全国民対象の共済を検討するという話もあるようですが、加入の強制・任意の問題などいろいろ困難もあるそうで、それよりまず県レベルでの取りまとめが早くできないかということでこの調査会が動いているそうです。詳しくは上記調査会のサイトをざっとごらんください。


 少しだけ最終報告での共済制度のありようを紹介すると

 兵庫県被災者住宅再建共済制度(仮称)
(1)共済負担金
・住宅一戸あたり月400円〜500円(年4800円〜6000円)程度の定額負担
(2)共済給付金
・住宅一戸あたりの定額給付 (10万円〜600万円)

 これが基本の負担と給付の金額になります。給付で最も低いのは住宅全損でも再建をしない場合の額で、最大のものは全損で建て直しをはかる時の金額ですね。もちろんこれは県レベルのことですから、たとえば新潟のように雪対策が必要とされるところでは、負担金も少し上積みされるでしょうし、給付金の額も多くなってくるはずです。
 こういう動きは、人口が多い地域で被災者が多く出た場合でなければなかなか遅々とした歩みになりがちかとは思いますが、結局この日本では他人事ではありません。なるべく早く、モデルケースとしてでもどこかで実現してくれることを願っています。