Hatena::ブログ(Diary)

遼東の豕

2017-05-23

応仁の乱

 応仁元年(1467)に始まった十年戦争ですな。諸国の守護が二派に分かれて戦った。全国で小競り合いが行われたが主戦場は京だったために、都の荒廃は著しかった。原因は複雑で、将軍の跡継ぎ問題、重臣の権力抗争、守護家の相続争いなどが絡み合って、内乱状態に陥る。この応仁の乱の起因と結果を読み取ろうと呉座勇一『応仁の乱』(中公新書)にあたっているのだが、この本、読みにくいなぁ。鈴木良一『応仁の乱』(岩波新書)のほうが読みやすいし、歴史群像シリーズの『応仁の乱』のほうがビジュアル的によく解る。

2017-05-22

To be, or not to be, that is the question

 コペンハーゲンの北40kmにあるエーア海峡に面した城エルシノアが舞台になっている。一説によれば「ハムレット」は、800年代のデンマークの話であるらしい。それをシェークスピアが1600年頃に戯作として完成させた。
 しかし、歌舞伎と一緒で、物語は何百年も前のものを引きながら、衣装とか髪型とか風俗などは当代のもので演じる。
 例えば「妹背山婦女庭訓」(いもせやまおんなていきん)という歌舞伎は、時代背景が大化の改新の頃である。蘇我入鹿が出てくるんですからね。でもね、酒屋の娘とか漁師が重要な役を演じるのだけれど、もちろん江戸風俗そのままの出で立ちで登場し、劇はつつがなく進んでいく。だから「ハムレット」も800年代の話だけれど、1600年代の今(当時)を映していると思って観ればいい。
 ハムレットは、ドイツのヴィッテンベルク大学に留学している最中に、父王の死去に伴ってエルシノアに戻される。彼の通っていた大学は1502年設立だから、時代背景は自ずから決まってくる。
 16世紀中期、日本でいえば川中島の戦い桶狭間の合戦をしていた頃。この時期に、ハムレットの復讐劇は始まる。
 父王が死んで、その弟のクローディアスが兄嫁である王妃ガートルートと再婚し、新国王になった。ガートルートはハムレットの母でもある。ここで繊細な王子のハムレットは悩んでしまう(ギリシャ悲劇は「運命の悲劇」と言われるのだけれど、「ハムレット」は「性格の悲劇」と言われている。これは主人公の性格がドラマに大きく影響しているからに他ならない)。
 ハムレットはきわめて潔癖で真面目なんですね。新国王を見れば、先王に比べて見劣りすることばかり。そりゃ父親と叔父を比較すれば、バイアスはかかる。その上に、軽蔑する男と母親がベッドをともにしているという無節操ぶりも含めて許せない。
 さらに、先王は新国王に暗殺されたのではないかという疑念さえ持つ。まさに疑心暗鬼というやつで鬱々とした日々を過ごしている。
 そんな頃に、エルシノア城では怪異なことが起きはじめる。先王の亡霊が夜な夜な城内を彷徨しているというのである。暗鬼が実際に出てきてしまう。ハムレットは父らしき亡霊に会い、「毒殺されたのは事実であり、クローディアスに復讐してほしい」と言われるのだった。
 ハムレットは亡霊の言を確認するために、狂気を装い叔父王の出方をうかがう。最初は演技の狂気だったのが、だんだんと本気の狂気になっていく。繊細な俳優が役から離れられなくなってしまうのに似ているか。
 ここらあたりから絶世の美女オフィーリアが絡んでくる。ミレーの名作で有名ですよね。小川を流れゆくオフィーリア。一昨年は樹木希林さんでしたが(笑)、本物のほうは絶世の美女です。
 若き繊細な王子と、その王子の狂気の変貌に失意にうちに亡くなってしまうオフィーリア。いくつかの名セリフはあまりにも有名である。
 古今東西、復讐劇は人気があるものだが、そこに複雑なプロットを仕込みながら、ハムレットの悩み、怒り、苦しみ、葛藤などをみごとに描ききっている。「文学作品モナ・リザ」と言われる所以である。

2017-05-21

ハムレットまでいけなかった

 日曜日の朝のフジテレビボクらの時代』が時折りおもしろい。今朝はその時折りのほうだった。樹木希林橋爪功小林稔侍後期高齢者の名バイブレーヤーが揃った。若いネーチャンや小生意気なアンチャンの雑談など聞きたくもないが、人生を煮詰めて――橋爪さんは人生を「オデン」に例えたけれど――いい味を醸して生きている人の話は楽しい。
 
『AERA』の最新号に希林さんのインタビューがあった。編集部は全身ガンに冒されている希林さんに「死生観」を語ってもらいたかったに違いない。しかし、そりゃぁ希林さんだ。若い編集部あたりの思い通りになるわけがない。こんな話をし始める。
《ドラマ「寺内貫太郎一家」でおばあさん役をやったのは31歳のときだったわね。外見は老人を真似たけれど、心の中は30代のまま演じた。実際に70代になってみてどうかっていうと、全く同じ。何も変わらない。精神的な成熟なんてないわね。》
 人は成長しないんだと樹木さんは言う。
 ワシャも年齢を重ねてきてそう思う。クソガキだった頃とあんまり変わっていない。体力が落ちてきているのと、反射神経が衰えていることは実感しているので、実力行使には出なくなったが、それでも気概は相変わらず学生時代のままだ。
 話を少しもどす。
 編集部はそれでもなんとか「老後は怖くない」というテーマのほうに希林さんの話柄を持っていきたくて頑張ったんでしょうね。途中で2016年宝島社の企業広告
http://www.sankei.com/life/photos/160107/lif1601070024-p1.html
「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を記事中に挿し込んで、雰囲気づくりに努めている。でも、結局、樹木希林死生観のようなものは語られずじまいでインタビューは終わった。めでたしめでたし。

 話を大幅にもどす。
ボクらの時代』の橋爪さんと小林さんである。ご両所とも75歳をこえてお元気である。その上にいい顔になられた。橋爪さんが希林さんにこう言った。
「稔侍はね、自分のこと格好いいと思っているんですよ」
 希林さんが「大したことないのにね」と答える。
 照れた小林さんはティッシュをとって鼻を拭って、それを橋爪さんのジャケットのポケットに入れようとする。
「よせよ、おまえはすぐにそういうことをする」
 と橋爪さんと小林さんが小競り合いを始める。まるっきり子供だった。

 そういえば先月、小林さんは愛知県までやってきて某所でロケをした。そこでサインをもらったんですぞ。残念ながら直接ではなかったけれど、映画「鉄道員」の本で、小林さんは「え、こんな本があったの?僕もすぐに買おう」とタイトルをメモしていかれたそうな。

 希林さんの「オフィーリア」の話から「ハムレット」に話を展開しようと思ったんだけど、『ボクらの時代』で書きすぎた。

2017-05-20

「なにを言っていやあがる」と、こういう乱暴な言い方をするときはワルシャワがかなり怒っている時でやんすね、と「やんすね」を語尾に使用するときは、その文章で言っていることが、アホらしくて半分茶化しているような場合が多い。

 この自治体、なにを言っていやあがるんでやんすかね〜。
《<香川・綾川>87歳最高齢町長公用車で通院》
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170519-00000009-mai-soci
 このことについて町長はこう言っている。
《14年4月以降、安全面を理由に車の運転をやめた。町役場から1キロ余り離れた1人暮らしの自宅からは親族が車で送迎しており、「公務の間に公用車を使わせてもらっている。健康管理のために必要で、いいかげんなことはしていない」》のだそうな。
 綾川町はこう抗弁する。
《通院は公務に当たらないが、町長の健康管理を含め、町を挙げてのサポートが必要だ。》
 健康管理は自分の問題だ。公務中に体調不良になったのなら公用車を使って……ということもありうるが、公用車で通院しなければ公務がやれないのなら、さっさと町長など辞めることだ。年齢ではなくこういったけじめがつかなくなったら、酋長などやめて長老になれ。


 眞子様とご婚約をされた小室圭さん。
《祝!眞子さまと婚約・小室圭さんは菓子店勤務の母が女手ひとつで育てた「苦労人」》
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170517-00009700-jprime-soci
 まことに失礼だとは思ったのだけれど、ワシャの書庫に『寛政重修諸家譜』(続群書類従完成会)があるので、つい調べてしまいました。徳川家以下の大名、旗本などには小室姓が見当たらなかった。『華族総覧』(講談社現代新書)で調べてみたが小室姓の記載はなかった。つまり普通の人ということなのだろう。とても素敵なことだ。司馬遼太郎が言っている。「物事も15年も集中してやっておればモノになる」。小室さんも皇室に入られて15年も経てば、立派な皇族になられることだろう。
 おっと女性宮家創設を前提にものを言ってしまった。ワシャは皇室弥栄を心より祈るものであって、必ずしも女性宮家創設に与しているものではない、与しているものかもしれない(笑)。

高須克弥院長、大西健介民進議員蓮舫代表を提訴へ 厚労委の「陳腐」発言で名誉毀損と損賠1千万円》
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170518-00000542-san-soci
 今朝の朝日新聞には社会面の片隅に小さく載っていた。
 どちらも地元の名士なので、気になってしまいました。でも言い分としては高須先生に分がある。美容外科とエステ店の悪徳商法について触れた。その中で、「大量の陳腐な」テレビCMを流している美容外科があるとして、「皆さんよくご存じのイエス○○クリニックみたいに」とあたかもこの○○クリニックが悪徳な美容ビジネスに手を染めているかのような発言した。
 これってもろに「イエス高須クリニック」でしょ。「イエス山田クリニック」とか「イエス佐藤クリニック」って聞いたことあります?絶対ないですよね。あたまに「よくご存じの」を付けたら、「〇〇」にする必要がないほどだ。
 だから高須先生は民進党大西健介議員を訴えることになった。高須先生は言っている。「謝罪を求めたかったが、裁判では金額しかないというので、1千万円を求める。大西氏は党を代表して質問した。党首もOKしているはずだ。民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた。庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」  高須先生は「公」の場だからといって何を発言してもいいということではないと憤る。
 まぁすんなりと謝っちゃったほうが、傷が浅くて済むような気がするんでやんす。

2017-05-19

青いバラ

 東銀座駅の北に「木挽町広場」ってのがあってね、そこにはいろいろな和風なものが揃えてあるんですわ。扇子とか手ぬぐいだとか、簪もあったし根付けを売る店もあった。なにも買う気などないですから、最初からひやかしのつもりであちこちの店をのぞいていると、水引で造ったブローチのようなものを製造販売する店があって、その一角に家紋のキーフォルダーがずらりと並んでいた。家紋好きのワシャとしては、なにげなく「五葉木瓜信長」とか「違い鷹羽は赤穂の殿様」とか思いながら、キーフォルダーをチャラチャラ見ていた。そしたら職人の場所に座っていた30代とおぼしき女性が「お客さん、家紋はなんですかい?」といなせに言ってくるではあ〜りませんか。ワルシャワ家の紋章は「双頭の鷲」である。とは言わず、「下り藤」と正直に答えた。
 そうするとネーチャン、「下り藤」にまつわる話をするではあ〜りませんか。
「下り藤という紋所は由緒のありますもんどころで、遡ってまいりますってえと奈良春日大社までさかのぼります。春日大社藤原氏が大変関係が深かった。そこから加賀安芸伊豆近江などに出ていくと加賀藤原、安芸藤原などがつづまって加藤、安藤などが生まれた」
 って、そのくらい知っていますけど。おそらくワシャの小ばかにしたような表情がわかったのだろう。ネーチャンは「お客さんお名前は?」と話題を変えてきた。
ワルシャワ
 と答えると。
「おっと、そのご苗字は愛知県に多い」
 およよ、当たった。鋭いぞネーチャン。
藤原氏も地方に行って加藤、近藤などと名乗ったが、最終的にはその地名を苗字にした。愛知県ワルシャワという地名がお客さんのご苗字になった。縁起物です。家紋入りのキーフォルダーはいかがです」
 そうくるよね。で、ワシャはこう答える。
「キーフォルダーは間に合っているなぁ」
 ワシャはラペルピンやネクタイピン、ピンバッチなどが好きなのである。左襟に挿したカキツバタのピンを示して「ごめんよ。ワシャがほしいのはピンバッチなんだわ」と付け加えた。
 そう言ったら、ネーチャンの目が輝いたねぇ。手元から水引で造った小さな青い薔薇、赤い薔薇を出して見せてくれた。さっきから手元で作っているのが気になっていたんですよね。
「試作品なんですけど……」
 信州の水引で編んだ上品な青のピン。それはピンバッチというよりネクタイピンだった。
 ワシャは速攻で声を発する。
「買った」
 ネーチャン、困ったように応じる。
「造ったばかりで値段が付けてないんですよな」
「言い値でいい」
「う〜ん」
 ネーチャン、しばらく考えて「2000円」と一声。
 ワシャは胸のポケットから野口英世を2枚出して渡す。
 シャシャシャンシャシャシャンシャシャシャンシャン。
「今日一番気持ちのいい商売でした」
 とネーチャン。
 ワシャがブルーのジャケットの襟に青いバラを付けると、
「お似合いですよ」と言ってくれた。お世辞にきまってますがね。