In a Safe Place

In a Safe Place

やっぱりエレクトロニカが好きなのかなあ、と漠然とした印象が湧き上がってくるぐらい反応してしまいました。初めてなはずなのにどこかで聞いたことがある、と記憶をまさぐってみたら、メレンゲのSEで以前使われていた曲があったからでした。それでなくてもどこか懐かしいような感覚があって、壮大であったとしても手に負えないほどではないスケールがありました。描かれている世界が広い、あるいはその世界が拡がりを見せていったとしても、その分距離をとって手を広げれば良い、大きくいだきこめば簡単、というような少しの優しさがにじんでくるようでした。
聞いている途中から、頭の中に流れ込んでくる曲が三つあって、それが誰の曲なのか二つまでしかわからなくてもやもやしていたのですが、もしやと思ってイントロクイズよろしくどんどん曲を巡らせてみたらたどり着きました。一番最初はSigur Rosの「Saglopur」で、次が□□□ の「James Vs. Jane」、そしてイントロだけが何度もリフレインして声まで行き着かなかったのでしばらくの間もやもやしていたのはメレンゲの「ライト」でした。どれも似ているというわけでもないのですが、何が引っかかったのかしばらく実際の音と脳内の音とが混ざり合って妙な感じでした。

天の夕顔 (新潮文庫)

天の夕顔 (新潮文庫)

ひとつひとつの文がなんて美しいのでしょう。「わたくし」という一人称からして気取っているようにも思えるのですが、全然お高く止まっていなくて随分と昔の作品なのにすらすらと読みすすめられました。表現をこしてフィルターを取ってしまったら純愛を装った変態ぎりぎりの物語ではあるものの、ストーカーまがいのことをしてしまう主人公の情けなさや、お互いに素直になれずに長い間思い続けているもどかしさなど、普遍的なテーマを扱っているのであまり躊躇することなく向き合うことができました。それにしてもなんと表現の美しいこと。外国にも翻訳されて受け入れられたというのも素直に納得できるのですが、これは日本語で読んでこそ感じる部分が多くあるとも思えました。

「この籐椅子におかけになって」
「どうするんです」
「どうでもいいのよ」
「わかった。あなたがあとでかけるんでしょう」
「ええ」

おそらく年を経る度に見方が変わってくるであろう作品なので、手元に置いておきたくなりました。

劇場欲は抑えて、連休用に借りていたビデオをコーヒー片手に鑑賞。最初から最後までドキドキしながら見てしまって、女であることや演じるということや老いてゆくことなどなど、様々な要素が敷き詰められていたので二時間半近くあったのですがあっと言う間でした。

騙くらかされるのが好きな私に朗報です。チケットだけでも欲しくなってしまいました。


そして新たなヘドウィグは山本耕史さんのようです。今度はライブハウスでの公演ということで、ちょっと気になります。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ*2

■会場・日程:新宿FACE 2007年2月15日(木)〜3月4日(日) <19公演>
■作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
■作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
■上演台本・演出:鈴木勝秀
■翻訳:北丸雄二

■キャスト
 ヘドウィグ:山本耕史
 イツァーク:中村中       
 他