『歴史からの発想 停滞と拘束からいかに脱するか』 堺屋太一 著
歴史からの発想―停滞と拘束からいかに脱するか (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 堺屋太一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/03/02
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
【所感】
5時間くらいっか。とても、20年以上前の本とは思えない。
いつもの事ながら、歴史の背景、とりわけ経済的な外枠を丁寧に説明してくれてて、そこに起因する社会、政治、思想を理解しやすい。
また、戦国時代を明治維新以降の現代と下二桁年代を重ねてみる、というのは、歴史の実感として有効。
【目次】
第1章 知の宝庫「戦国」を読む
超高度成長期「戦国時代」
「偉大な時代」−16世紀・
群雄割拠の乱世・「戦国」とは自由競争社会・土着化した旧貴族・
主家乗っ取りの連鎖反応・武力の「原始的蓄積者」・
それは外来技術から始まった・明、高麗からきた新技術・一変した農業生産・
楽市楽座と商業の発展・海外へ渡った日本人・経理技術の偉大な進歩・
主計将校団、独立の秘密・戦を楽しむ農民・全ての基礎は自由競争「戦国」−雑草的バイタリティーの生態
「作物」対「雑草」・エリートは促成栽培・雑草の楽しみと誇り・
雑草人間が栄える条件・雑草の時代、戦国乱世・戦国成り上がり三人男・
乱世を生き延びるために・巨大なる雑草織田信長・旧体制への徹底的な挑戦・
80年代の雑草は新分野に育つ信長−非日本的、あまりに非日本的な例外
籠城、皆殺し、ゲリラ・「尚武の民」ではない日本人・日本史の例外−織田信長・
常識だった本願寺との妥協・徹底した「価値からの自由」・桶狭間の勝利の核心・
唯目的的評価と慎重な実施・明智光秀の不満・安国寺恵ケイの予言・3分の1の英雄
第2章 日本史に学ぶ「組織」と「人間学」
不世出の補佐役−豊臣秀長
日本に少ない「女房役」・豊臣家の逸材、小一郎秀長・言われた事を確実にする才・
山崎、賤ヶ岳での沈着・貨幣経済の先駆者・秀長亡きあとの豊臣政権・
名女房役4つの条件・女房役は”ハウ・ツー”人間組織人としての「智謀の人」
現在組織の基本形・WhatとHowto・”組織史”3つの革命・忠誠心と冷徹さ・
スタッフとトップ・”名作愚演”のドラマの意味「切れ者」の人間学
辣腕と”同党異伐”の才・”権力志向”と”辣腕志向”・少数の総和は多数より多い・
「少数派大連合」3つのテクニック・神話と虚構の”人間関係”・虚構を見抜いた家康・
踏襲される三成の筋書き・小辣腕家の時代
第3章 中国史−万古不変の知恵
「世界帝国」を築いた3つの発想
世界の中心を貫通させた大帝国・画期的な”物量戦”と”機動戦”・史上初の”機動部隊”・
遊牧民族国家の宿命を破る・不可能を可能にした独創性・
「大量報復思想」の効用・
秘密警察の徹底的活用・
政治手段としての”宗教の自由”・
3つの条件が崩れたとき・強い意志が画期的な発想を生む「勝てる組織」とは何か
宋と元の違い・「勝てる」組織とは・まずリーダーの目的への信念・
「勝てるリーダー」信長・”弱兵凡将”軍団の大成功・最大の障害は既成概念・
信長の誤算・権威と権限の分離・周恩来と朱徳の役割