フィルム・ノワールの巨匠、J・P・メルビル監督が対独レジスタンスを描いた「影の軍隊」
第二次大戦、ナチスドイツ占領下のフランスでのレジスタンス(抵抗)運動を描いた映画です。
1969年製作、1970年(昭和45年)日本公開の「影の軍隊」。東京日比谷・みゆき座のプログラムの表紙です。当時、みゆき座は基本的に女性映画のロードショー館だったのですが、こうした映画も上映していたんですね。
監督・脚色はジャン・ピエール・メルビル。フランスの犯罪・暗黒映画、フィルム・ノワールの巨匠です。撮影はピーエル・ロムで、抑えた色調のカメラが印象的でした。主演はギャングや刑事の役も多かったリノ・バンチュラ。他の配役も、ポール・ムーリッス、シモーヌ・シニョレ、ジャン・ピエール・カッセルとフランスの名優たちが並びます。カッセルは当時まだ若手といった感じでした。
右の写真で、若い男の首を後ろから締めている場面がありますが、これはドイツ側に裏切ったメンバーを処刑しているところ。レジスタンスの英雄的行動を高らかに謳いあげるといったタイプの単純な映画ではありません。ナチスと戦うレジスタンスの映画ですから、当然、殺しの場面があるわけですが、メルビルの他の映画と同じように、映像は静謐で、その裏側には哀しみがあります。プロパガンダ的な高揚感とは無縁です。
このプログラムには、メルビルの短いインタビューも収録されています。
「『影の軍隊』は七人の男女の悲劇であって、それ以上でのものでも、それ以下のものでもありません」と語っています。
メルビルのフィルモグラフィーもあります。
個人的には、アラン・ドロン主演の「サムライ」が好きです。前出のインタビューによると、「海の沈黙」「牧師レオン・モラン」と「影の軍隊」が、レジスタンスの時代、「失われた時を求める三部作」というようです。
さて、映画の背景説明として、第二次大戦の解説。
最後に裏表紙。
表紙と統一したデザイン。椅子に縛られた男は、ドイツ軍に捕らえられ拷問にかけられたジャン・ピエール・カッセルという映画の一場面からとったものです。背景はパリの地図。左端にエッフェル塔が見えます。
メルビルの代表作の一つであり、フランス映画の名作でもあり、DVDが出ています。
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ジョセフ・ケッセルの原作も邦訳されていました。この時代、映画の原作はかなり出版されているようです。
- 作者: ジョゼフ・ケッセル,榊原晃三
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おまけで、メルビルの「サムライ」も、ご紹介。
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