北島康介を世界一周の旅には行かせるな!

いつも拝見させて頂いている「パラダイス鎖国」の著者、海部美知さんのブログにアメリカのスポーツについて、
特にスーパーボウルのCMについてのエントリーが書かれていたので引用し、自分の意見を。


ちょうど「若者が車に興味を失っている」と同じように、
このテレビによる「集中効果」がなくなることで、「浮動票」的なスポーツファンが、
スポーツに興味を失っていく、ということが徐々にこのアメリカでも起こるのではないか、
という気がしている。
他に楽しみのない、真ん中へんの人たちは最後まで残るだろうが、
カリフォルニアやニューヨークのような場所では、
「みんなが見るわけじゃないから見ない」という「興味の分散」がスポーツでも起こるんじゃないだろうか。


個人的には「若者が車に興味を失っている」ことについては多様化、
特に消費対象の多様化が原因だと思っている一方、
スーパーボウルのCMの枠が埋まらないことに代表されるようなスポーツビジネスの価値低下の懸念に対しては、
多様化が原因ではなく、単なるバブルだと感じている。


海部さんも指摘されているように、やりたいことをやれる手段が増えてきて、
「何となく見ている、何となくしている」が少なくなりつつある。


ただ、それは「興味の分散」ではないと思う。
個人の興味に変化が起きている、というよりは手段が洗練され、
興味と実行動とのギャップが埋まっているのではないだろうか。


今までの、


「本当はセリエAを見たいけど、放映されていないからしょうがない、
さっきニュースに取り上げられていたスーパーボウルを見よう、CMも気になるし」


が、


セリエAは放映はされていないけど、youtubeでこの前のチャンピオンズリーグが見られるから、
スーパーボウルは見ずに、ネットしよう、CMもあとでyoutubeでupされるだろうし」


になる。


最近読んだ何冊かの本の中にも当たり前のように書かれていたが、
バブルなんてものは人の感情によって崩れていくものだから、
一度、「スーパーボウルのCM枠が売れませんでした」などという報道がされれば、
CMの値段も、「年に一度、アメフト好きな人が見るイベント」の
CMの値段に向けて一気に下がっていくだろう。


テレビの力を否定するつもりはないが、
人の怠け心に最適な「受動メディア」が、インターネットという「能動メディア」によって、
人の価値観とメディアの価値観のギャップを埋め始めていることは間違いないと思う。


人は本当に価値を感じているものにしかお金も時間も使わなくなる。


そういう観点から、最近少しバブリーではないかと懸念しているビジネスが、モバイルCP。
いわゆる有料課金の公式サイトを立ち上げて、月額200〜300円を積み重ね、
収益を上げるビジネスモデルを持つ企業。
この事業をメインに、上場している企業だけでもざっと二桁はある。


何割が「実際にユーザーが今も使っている公式サイト」からの利益なのだろう。
何が言いたいかというと、


「以前登録していた月額300円のデコメサイト、使わずに1年間放置している」


ような状態にあるサイトがどれくらい登録されているのだろう、ということ。
例えば、


「登録して1ヶ月以上アクセスをしていない有料課金サイトがあると、『退会しますか?』というアラートが送られるサービス」


ができたらどうなるのだろう。
現状、CPとキャリアの”利害関係”が一致している以上、上記サービスはリリースすら難しいが、
モバイルのテクノロジーの進化によって、第三者がそんなキャリア&CP泣かせなサービスを作り、
月額100円で提供したら、ユーザーは喜んで登録するだろう。


ピータードラッカーも言っている。
顧客に注目し、イノベーションを起こす企業にこそ、価値があり、利益が生み出される、と。


モバイル業界全体の可能性は今後非常に高いと個人的に感じているが、
新しい分野ゆえのリスクが内在しているとも感じる。




スーパーボウルの話に戻るが、PRとは本当に価値を生み出すのだろうか。
スーパーボウルのCMは現在PR性の高いコンテンツである。
それがバブルがはじけ、PR性がなくなり、
「アメフト好きイベントのCM」
になる。この状態こそがそのCMの、本当の価値ではないだろうか。


PRは人の興味を一時的に過剰化させるツールでしかないのかなと感じる。
プチバブルを意図的に作り出す。
イメージとしては人工的に波を起こさせるような。
勢いはつけます、次の波は自分で作ってください、と。
お金を頂ければもう一回波は起こしますよ、と。


「人の惰性や感情」と「真の価値観」とのギャップを利用し利益を(一時的に)得ているだけではないだろうか。
そこに価値はあるか、甚だ疑問だ。


最近、クォーターパウンダーの件などで取り上げられた、
サニーサイドアップの目に余る行動などを見ていると、
PR会社の存在価値に疑問が沸く。


元日本代表である筑波水泳部の同級生から直接聞いた話だが、
日本代表の某コーチが、北島康介選手の今後に関して酔っ払いながら、こんなことを叫んでいたらしい。



「引退してもしなくてもいい。ただ、康介を、ヒデと同じように、旅なんかには行かせたくない!」




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