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ヨムヨムエブリデイ

肯定ペンギン

くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集』 (集英社文庫)の帯の文句、《角田光代さん大絶賛!! 自由で、たのしそうで、いろんなことを知っていてそれを惜しげもなく教えてくれる。まさにこの人は現代版植草甚一だ。》を見たとき、ほ、ほめすぎじゃないすか、と思った。
いろんなブログを読んでいると、いろんなものを嫌いな人がいるもので、ハルキムラカミ嫌い、川上弘美嫌い、中野翠嫌い、松浦弥太郎嫌いなんかはよく見かける。鼻につく感もよくわかる。万人から好かれる人っていないと思う。そのとことん極めた嫌いぶりを読むのもおもしろいけど、やはり自分が好んで読みたいのは、読んでて気持ちのいいものである。

 悪口はいいたくない。書きたくない。嫌いな人間、憎むべき人間、軽蔑すべき人間はゴマンといるが彼らに悪口をいっても始まらない。百の悪口をいう暇があったらひとつでもいい作品を見つけたい。(中略)……私は否定的ではなく肯定的でものを語りたい。亡き寺山修司が好きだったゲオルグの言葉を私は繰返したい。「明日世界が終わるとわかっていても私は今日リンゴの木を植えるだろう」 / 川本三郎『パン屋の一ダース』(リクルート出版)より

キレイゴトとか甘いとか言われようと、こうでなくっちゃ。
それで現代版植草甚一の『くちぶえサンドイッチ』を文庫で再読したくなり買った。《角田光代さん大絶賛!! 》の大肯定的な帯ももれなく付いてきた。帰りにさっそく読みはじめる。まあね、ところどころ、照れくさくて思わず本をを閉じちゃいたくなるページもあるんだけど、疲れた頭と身体には、その風通しのよい軽やかな文章がとても心地よく感じられる。活字のマッサージみたいである。コーヒー飲みたくなった。