日中友好の未来へ たゆまぬ努力

2013年6月4日(火)更新:3
【社説】
 本年は、日中平和友好条約の締結から35周年。だが現在、日本人の85%が中国との関係を「悪い」と回答する(読売新聞2月15日付)。
 “近くて遠い”隣国。そうした状況下にあるだけに、先月、創価学会の代表団が中国を訪れた際、訪問先の復旦大学の女子学生が語った言葉が忘れられない。
 「両国の青年は互いに先入観をもっています。両国の青年交流を進めるのは、私たちの責任だと感じるのです」

〈アジア、世界の平和の礎〉
 池田名誉会長が日中国交正常化提言を発表したのは1968年9月8日。両国の友好はアジア、世界の平和の礎であるとの認識を示し、「日本の青年も、中国の青年もともに手を取り合い、明るい世界の建設に笑みを交わしながら働いていけるようでなくてはならない」と語った。
 名誉会長はその6年後の74年5月、中国を初訪問。同年12月には再び中国を訪れ、周恩来総理と会見。総理は日中平和友好条約の早期締結を念願し、78年に同条約が成立した。
 これまで名誉会長の訪中は10度。名誉会長が創立した民主音楽協会は、初訪中の翌75年には「中国北京芸術団」を招聘し、東京富士美術館も「中国敦煌展」(85年)などを開催。文化交流を進め、民衆同士の相互理解を深めてきた。
 名誉会長、創価学会への中国各界の信頼は厚い。なぜか。工学院大学孔子学院の西園寺一晃学院長は言う。「短期的に良いことをするのは簡単です。しかし、継続することは困難です。創価学会は、名誉会長のリーダーシップのもと、長年にわたって交流を続けてこられました」
 正常化提言から45年、一貫して両国友好を訴え続けてきた名誉会長の信念と行動。ここに友誼の源があるといえよう。

〈堅実に積み重ねた絆の重み〉
 現在、緊張が続く日中関係だが、名誉会長は「未来を決して悲観しておりません」と語る(本年1月の「SGIの日」記念提言)。
 なぜなら、両国の友好は「心ある先人たちが一滴また一滴と、両国の間に立ちはだかる頑強な岩盤を穿ちながら切り開いてきたものであり、今日まで長い歳月を通じて堅実に積み重ねられてきた友好交流の絆の重みがあるからです」と。
 ならば友好の未来も、これからの一滴また一滴の努力の有無にかかっている。
 名誉会長が中国に第一歩をしるしたのは、39年前のきょう。原点の日を胸に、世界の平和へ再出発する日としたい。
   (聖教新聞 2013-05-30)