デジタルコンテンツ大国(笑)

著作権法改正巡る2つの対立・「思いやり」欠如が招く相互不信
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000026112007

面白い意見だと思う.「思いやり」欠如でカタが付くなら,クリエータ側(というかクリエータを利用して商売している人)がJEITAやユーザに対応できていないなどと,どうにでも反論できそうな内容で苦笑いしてしまった.

それにも関わらず、JEITAやMIAUは制度変更に対する反対や批判ばかりで、建設的な対案は何ら示していない。これでは、小泉構造改革に反対した抵抗勢力や、テレビに出演している出来の悪い評論家と同じである。

加えて言えば、経済産業省がJEITAの“暴走”を止めなかったことも情けない。コンテンツ振興策として「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」を開催しながら、振興とは正反対の行動をするJEITAを抑制しないならば、経産省は一体何をやりたいのか意味不明である。

対案を出さないとダメだと思っていらっしゃるようだが,お門違いも甚だしいと思う.自分の家の前に巨大なビルが出来て,日光も遮られるし,電波障害も起きるしと言ったとき,ビル建設に反対したとしよう.そのときも対案を出せと言うのだろうか?それを言ったら,コンテンツ屋も反対ばかりしていないで,ユーザとJEITAを満足させる対案を出して欲しいものである.


あと,小泉内閣を支持していらっしゃるが,小泉内閣の言う痛みに耐えた結果が,フリーター・ニートワーキングプアの増加である.OECDは,国民の平均所得の50%以下の所得しかない人々を「貧困層」と定義しているが,日本は現在貧困層の割合が,13.5%であり,アメリカの13.7%に次いで二位となっている.この結果を見越して反対していた人もいるわけだが,それを抵抗勢力と両断するのは,さすが,自民党だけじゃなくて,日本もぶっつぶしてしまった小泉内閣流だと思ってしまった.

コンテンツの権利者とデジタルやネットの関係者が手を取り合って新たな未来を作るしかないのではないか。自分の立場だけを考えた不毛な反対や批判を続けて相互不信を増大させるような時間的余裕はない。

最後の結びは秀逸なのに,全体として,意味のわからない反論になってしまっているのが残念.


個人的には,広く薄く保証金をかけて,コピー制限を無くして欲しいと思っているけれど,これを見ると,やはり,コンテンツ屋・ユーザ・コンテンツ機器屋には深く暗い川が横たわっていると感じる.どうやら日本におけるコンテンツ産業は,繰り返し囚人のジレンマで,誰かが最初に裏切ったため,永遠にお互いを裏切り続けなければならいような状況に陥ってしまったようだ.