yuhka-unoの日記

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「若者は甘やかされてわがままになっている」というのは本当か?

若者に急増!責任転嫁にする「自己愛型人間」の直し方 - [ストレス] All About
http://allabout.co.jp/r_health/gc/371375/

 
いやいやいやwww急増してないから。若者に限らないから。全世代的にいるから。例えば、威張りたがり屋の嫌な上司なんて、昔からこういうタイプと相場が決まってる。そして、こういうタイプの人間ほど、自分には甘いくせに、部下に「甘えるな!」と言ったり、「近頃の若者は甘やかされてわがままになっている」なんて言って、部下から内心「お前が言うな」と思われたりするのは、もう昔からお約束である。
 

自己愛型人間が増えたことには、いくつかの要因があると思います。なかでも少子化の影響から、親や祖父母、おじやおばから愛情を一身に受け、甘やかされている若者が多いという事実が挙げられるでしょう。

博報堂(2006年)の調べによると、今や1人の子どもが持つ平均ポケット(お金の出所)数は約7つ。つまり、父母、両方の祖父母、おじやおばなどを加えると平均7人くらいから、お小遣いやプレゼントをもらえる、ということです。

記念日には抱えられないほどのプレゼントや大金をもらい、ねだればすぐに行きたいところに連れて行ってもらえる……こんな状況が当たり前になると、与えられることに感謝の気持ちを持てなくなります。我慢する体験、努力して手に入れる体験も持てなくなります。

私も一応若者の端くれだけど…えっとこれどこの世界の話ですか?(笑)
私の周囲にはこんなセレブな子供滅多にいなかったぞ…
一応恵まれた時代に生まれはしたけど、物心付いた頃には不況だったから、それなりにうちの家計は大変だったし、親戚だって盆と正月以外滅多に会わない。「抱えられないほどのプレゼントや大金」なんて貰ったことも無いし、両親は共働きだったから、「ねだればすぐに行きたいところに連れて行ってもらえる」なんてこともなかった。
そもそも、この『1人の子どもが持つ平均ポケット』とやらは、両親祖父母おじおばの側の人数によって左右されるものであって、子供の側は何人兄弟だろうとポケットの数は変わらない。
それにしても、こんなレアケースを妄想して「これが最近の若者だ!」と一般化してしまうのって、どういう心理がそうさせるのでしょうね。
 

また、最近問題になっているのが、若い世代に多い「新型うつ病」(現代型、ディスチミア親和型、非定型など)と呼ばれるタイプのうつ病です。

従来、うつ病は真面目で几帳面、自責感が強いタイプの人が自分を追い込んだ(もしくは追い込まれた)末になる病気と言われてきました。一方で、仕事はやりたくないのに趣味には熱中したり、「こうなったのは会社のせい、親のせい」と他責感を持って抑うつ的になるのが、若い世代に多い「新型うつ病」です。強すぎる自己愛、自己中心性のゆえに、周りを責めながら憂鬱感が強くなってうつ病になってしまうのです。

従来うつ病の典型例と言われていたメランコリー親和型は「真面目で几帳面、自責感が強いタイプ」に見えるが、それはあくまでもメランコリー親和型が「世間様」に対して見せる顔であって、自分が完全に支配できる子供に対して見せる顔は、また違ったものになるのではないだろうか。当然、メランコリー親和型の人間にとって、精神科医やカウンセラーは「世間様」側の人間であり、抑圧された暗黒面は見せないだろう。
若い世代に多いディスチミア親和型などのタイプは、一概に親から甘やかされてきたケースばかりとは言えないのではないか。むしろ、親の甘えを世代間逆転的に受け止めてきたため、親に甘えることができず、その反動から「赤ちゃん返りのやり直し」をしているケースも多いのでは、と私は思っている。
 
親が子供に抱く欲望は、「甘やかしたい」ばかりではない。尊敬して欲しい、感謝して欲しい、良い親だと思わせて欲しい、自分の味方をして欲しい、ストレスをぶつけたい等等、子供にとって快適とは言い難い、マイナスの欲望も多くある。また、「与えたい」という思いも、子供にとって欲しくないものであろうと喜ぶことを強要するものであったり、「世話を焼きたい」という思いも、子供にとっては払い除けたいくらいに不愉快な絡みつきであっても、子供に自分の「世話焼き」を受け入れることを強要するなど、一見親が子供を甘やかしているようでいて、その実親が子供に甘えている場合もある。「あなたのため」の押し付けだ。
当然、こんな与えられ方では、感謝の気持ちも持ちようが無い。
 
甘やかしたがために自己愛型人間になるケースも確かにあるが、逆に全く甘えさせなかったがために自己愛型人間になるケースも多々ある。自己愛型人間の親もまた自己愛型人間であることが多く、親が自分の自己愛を満たす道具として子供を利用する、つまり「親が他人に自慢できる子供」であることを強要された例も多々あるのだ。このような子供は、「特別な存在でないと価値が無い」という親の価値観を内面化してしまうので、非常に挫折に弱くなる。その挫折した位置が、世間から見ればごく普通のポジションであったとしても、「本来なら自分はもっと上にいるべき人間なのに」と思い込んでしまっているので、自分がそのポジションにいることに非常に傷付いてしまう。
秋葉原連続通り魔事件の犯人も、おそらくはこのタイプだろうと思う。犯人の母親は、かつて自分が入れなかったエリート校に息子達を入れようとして、息子達の人格を無視した教育を施したらしい。犯人とその弟は、母親のことを「看守」と呼んでいたという。
 
自己愛型人間は、「自分だけがかわいそう」という思いに囚われがちであり、そうなってしまうと、他人の背後にある苦労や努力や悩みに対する想像力が著しく低下し、それらを「無いもの」扱いしたくなる。それどころか、他人はきっと恵まれた葛藤の無い人生を送っているのだろうと妄想するようになる。
「若者は甘やかされてわがままになっている」と決め付けたくなるのは、「自分だけがかわいそう」という思いに囚われた自己愛なのかもしれませんよ。
 

機能不全家族 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E4%B8%8D%E5%85%A8%E5%AE%B6%E6%97%8F
 
* 「子が一人なら親は可愛がるだろう」「余裕がある筈だから金や愛情をかけて貰えるだろう」「一人っ子なら甘やかされ恵まれている筈だ」というような、それぞれの家庭事情や親の性質、背景の差を全く無視した一般的な偏見により問題そのものが気づかれにくい上、何か問題が起きた場合「一人っ子だから甘やかされた」等と周囲の差別的で的外れな見解で片付けられる場合も多いため、その背景にある深刻な家庭問題や子供が抱える闇を黙殺されやすい。

機能不全家族において子供を追い詰める原因となるのは周囲の固定的な価値観の押し付けや偏見であり 周囲の人間やカウンセラーは、「この子供は〇〇だから恐らくこうだろう」というような固定観念を捨てる必要がある。

 
 
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