日本の個人/独立系開発者【EXTRA】HUDSON × RucKyGAMES

この「日本の個人/独立系開発者」という企画は、読んで字の如くでもあるのですが、僕がインディーズで活躍されている方にお話をお聞きしたりして書かせていただくというものです。ですが、今回、RucKyGAMES君の回は、やや特殊なスタイルをとらせてもらいました。

(実はあとづけなのですが)その理由が、「僕とちくわと鉄アレイ」のリリースでした。

日本の大手ゲームメーカーの中でも老舗中の老舗、あの「やらなきゃ」ハドソンが、RucKyGAMESとのダブルネームでiPhoneゲームをリリースしたのです。既にリリースから1か月以上が経過していますので、このこと自体のインパクトは薄れたかもしれませんが、こうやってMacBook Air 11inchで入力している(さりげなく)今も、ちょっと信じられない気持ちがします。

ハドソンは、どうしたのか? なにを考え、RucKyGAMESとのコラボに至ったのか? 「やらなきゃ」では気が済まなくって、「やっちゃぇ」とか、あるいは「やっちゃった」とか、そういう心境に至りたかったのか?

以下に、同アプリのプロデューサーを務められた竹下氏@ハドソンへのメールインタビューの全文を公開します。今回の経緯だけでなく、ハドソンが、日本の大手ゲームメーカーが、今、なにに直面し、それをどう考えようとしているのか? 実感のこもったお考えを「確認」してください。

■「僕とちくわと鉄アレイ」プロデューサー/竹下功一氏メールインタビュー全文

今回、RucKyGAMESとのコラボタイトルがリリースされますが、きっかけはどのようなものでしたか?

きっかけは、私がRucKyGAMESさんの大ファンだったことからです。
はじめてRucKyGAMESさんを知ったのは「Now Loading」というゲームでした。このセンスはスゴイ!と思って、他の作品も探してプレイしてみました。結果、すっかりその独特な作品群の虜になってしまいました。障子破り、ゲシュタルト崩壊、i刺身・・・ほぼ全ての作品をプレイさせてもらってると思います。

i肉饅も、一時はOpenFeintリーダーボードで世界チャンピオンになれたほど捻りました!(自力です)

どのような手段/方法で、RucKyGAMESとのコンタクトをとられましたか?

もう、突撃メールです。「実は私、ハドソンでiPhoneゲームのプロデューサーをしてるんですが、是非何かご一緒できないでしょうか?」と・・・イタズラと思われてスルーされたり、一発で断られたらどうしよう・・・と不安でした。

RucKyGAMESからの最初の反応はいかがでしたか? また、それをお聞きになってどう思われましたか?

反応はすごく早かったです。もう感激するくらいに、すぐお返事をいただきました。「すぐにミッドタウンに行きます!来いと言われれば札幌でも行きます!」というお返事をいただきました。あのRucKyGAMESさんと一緒にものづくりができる!ということで、私もとても嬉しかったです。

最初にRucKyGAMESさんにお願いしたテーマは、「ハドソンのキャラでもタイトルでも、何でも良いので、何かネタにしてもらえませんか?」というところでした。その後は、もう、とんとん拍子に話が進んでいきました。何度か打ち合わせを行い、アイデアを色々と出していき、その中から今回の「僕とちくわと鉄アレイ」が出てきました。

何故、ちくわなのか?鉄アレイなのか? わかる方にはわかるのではないかと・・・

御社内的に、RucKyGAMESの企画を通すのに苦労されましたか? あるいは苦労はなかったですか?

当初自分もこの企画が他の人に理解してもらえるのだろうか? という不安がありましたが、驚くほどすんなり通りました。本当に、意外なほど、企画を通すことには苦労はなかったです。

過程としては、RucKyGAMESさんからいくつかのアイデアをいただいた中で、RucKyGAMESさんが「ちくわで一本やりたいです!」と言ってくださったので、私もこれでいこう!と決めました。最初はRucKyGAMESさんと私と二人でブレストをして、続いて担当のディレクター、デザイナーも交えての打ち合わせを行い、ゲームの詳細を詰めていきました。

企画を通す時には、RucKyGAMESさんからもらった企画原案を元に、私のほうでプレゼン用の資料を作成しました。そこからは、部内会議で承認を得て、さらに社長や役員が全員出る会議でプレゼンをして承認を得た・・・という過程があります。社長はじめ本部長や役員が出席する会議で、ちくわと鉄アレイについて熱く語る私の姿をRucKyGAMESさんにも見てもらいたかったです!

ちなみに、こんな特殊(?)な企画にも関わらず、NOということは一度も言われなかったです。「遅れてくる笑い」とでも言いましょうか・・・基本的に説明すれば皆にウケてました。私も真面目にプレゼンするんですが、ちくわが、ちくわが、と言えば言うほどおかしくて・・・「ちくわを鉄アレイにはめます」なんて言ってる会議は、なかなか無いと思います。

作業者としてのRucKyGAMESには、どのような印象をお持ちですか?

すごく仕事が早いです! それにとても丁寧で、こちらからの要望にも沢山対応していただきました。このスピードで公開できたのはRucKyGAMESさんのお陰です。とても感謝してます。

今回、RucKyGAMESへの打診からリリースまで、どれくらいの期間でしたか?

はじめてメッセージを送らせていただいたのが5月末だったので、
大体3ヶ月とちょっとくらいでしょうか?実際の制作期間は1ヶ月です。

ちなみに、今回リリースされるもの以外に、企画はございましたでしょうか?

はい。他にも20本くらいはアイデアが出ていました。タイトルだけで言うと「わんこスタソル」「高橋名人のスイカ割り」「冒険島でドーン」・・・といったものがありました。あらためて今、当時のアイデアリストを振り返ってみると・・・結構「ちくわ」の話ばっかりですね。ちくわが6個くらいあります。RucKyGAMESさん、相当ちくわがやりたかったんだなと思います。

他にあがっていた企画も、RucKyGAMESさんがOKしてくれれば、
第2弾、第3弾、と出していきたいと思っています。

そしてついに、RucKyGAMESとのコラボタイトルがリリースされるわけですが、後悔はしていませんか?

実はちょっと・・・というのは冗談で、後悔していません。多分・・・きっと・・・おそらく!

以下、一般的な質問になります。RucKyGAMESのことは忘れてw ハドソンさんのiPhone御担当者さんとしてお答えください。他のプラットフォームとは違う、iPhoneアプリ開発の魅力をお聞かせください。逆に魅力ではなく、苦労される点もあれば、お聞かせください。

iPhoneアプリ開発の魅力は、コンシューマとくらべると、開発から発売までのスピードでしょうか。また新しいチャレンジもしやすい、ということがあると思います。私もコンシューマで開発をしてきた経験があるのですが、iPhoneアプリは開発者にとってもチャレンジし甲斐のあるプラットフォームだと思います。

あと魅力はやはり、世界をターゲットにできる市場である事と思います。コンシューマパッケージのソフトは流通させることも大変ですが、iPhoneアプリならば、まず市場に商品をならべることが出来ます。逆にそういったオープンな市場である事が、苦労するところでもあると思います。数多あるコンテンツの中で埋もれさせないように、お客さんの手にとってもらう為に、どうやっていくか?が重要だと痛感しています。

現状のiPhone市場について感じられていることをお聞かせください(ゲームには限りませんが、ゲームのお話でもOKです)。

これからも広がっていく、伸びていく市場として期待はしています。しかしその反面、コンテンツ数、価格帯、いかに収益を確保できるスキームを構築できるか?等の諸問題もあると思っています。プロデューサーとしては悩ましい事も多いですが、イチユーザーとしてみた時には、こんなに楽しいプラットフォームはないと思います。
無料や相当な安価で、世界中の様々なアプリがプレイできるのですから、飽きることがありません。ハドソンとしても、iPhoneに今後もどしとしと、楽しんでもらえるコンテンツを送り出していきたいと思っています。

現状のiPhoneユーザーについて、どのような層をイメージされていますか? また、それにあわせたタイトルをリリースしようとお考えですか?

現在は(日本では)30〜40代男性が多い層と言われていますが、
この世代は、まさにファミコン世代と被ると思います。こういった層の方へ喜んでいただけそうなタイトルも今後リリースしていきたいと思っています。もちろんそういったものだけではなく、新規コンテンツもリリースしていく予定です。

iPhone市場の今後は、どのようになるとお考えですか?

ユーザー数はもちろんの事、世代、性別を越えて伸びていくと思っています。iPhoneだけでなく、iPadや、iPod touchによってもiOSユーザーの数が広がっていくと思いますので、今後私たちも一層注力していきたいと考えています。

今後のiPhoneアプリ開発、リリースに関する御予定をお聞かせください。

ハドソンではこれからもiPhoneアプリに力を入れていく予定です。今期内でもまだ数タイトルのリリースを予定しています。弊社の持っているブランドや、キャラクター、資産を活かしたものや、全く新しいもの、さらには発売済のタイトルでアップデートを予定しているものもあります。また詳細が決まりましたら、お知らせさせていただきますので、是非よろしくお願いします!

ショートショートアプリシリーズの今後の御予定をお聞かせください(倉西註:「僕とちくわと鉄アレイ」は、そのシリーズの第1弾として企画されたもの)。

いくつかの企画はあがっていますが、実はまだそんなに細かくは決まっていません。シリーズとは言ったものの、まだまだこれからなのですが・・・・とにかく、サクっとスパっと面白いことがやりたい!と思っています。

また今回RucKyGAMESさんとやらせていただいたようなかたちで「われこそは!」というクリエーターさんがいらっしゃったら、是非コラボレーションさせていただきたいとも思っています。制作期間は1ヶ月、あとは企画次第、という事を条件に考えています。これはというものがあれば、是非ハドソンでプロデュースさせてもらいたいと考ています。

御社のiPhoneiPadラインナップ全般について、弊誌読者へのアピールをお願いします。

ハドソンでは、これまで30タイトル以上のiPhoneアプリをリリースしてきました。ボンバーマンなど定番ゲームから、クレヨンフィジクス、ARモンスターといった、新機軸のものまで様々なラインナップを取り揃えております。他のアプリは是非こちらのWebページをご覧下さい!

www.dothehudson.net


※「僕とちくわと鉄アレイ」をiTunesで!
僕とちくわと鉄アレイ - Hudson Entertainment