家から車で約3時間、祖父が所有していた山荘がある。昔は山荘の庭で家族でバーベキューなどしたものだが、今は父がたまに使う位で殆ど使用されていない。高度成長期を経験したことのない私には分からないが、祖父の時代は夢があったのではないか。まじめに働ければ働く程、何かが手に入る。例えばこの山荘。私は夢という言葉が嫌いだ。私のような凡人には、夢という言葉は実態のない概念の押し売りにしか過ぎない。山荘に到着したのは22時過ぎだった。街灯も乏しく、残雪がある。車から荷物を運び入れ、風呂に入ると直ぐに寝た。 早朝に目が覚めてもベッドからは起き上がれず、結局、起き出したのは午前11時頃だった。絶望感に駆られ、「完…