第二次世界大戦前夜、ラテン・アメリカは「争いのリンゴ」と目されていた。 列国を魅了した彼の地の価値は、すなわち厖大な食糧及び天然資源。アドルフ・ヒトラーが 「我らはこの大陸に於いて、およそ必要なる総てのものを見出す」 と演説すれば、イギリス人はイギリス人で、 「パンパこそは、我々にとっての穀倉である」 と強弁して譲らない。 パンパとは、アルゼンチン中部に広がる草原地帯で、面積たるや535000㎢の馬鹿でかさ、土壌も肥沃で、同国の農牧業の中心を担う。イギリス人の食卓は、確かにここの生産物に支えられた部分があった。 (パンパ平原の風景) 更にまた、19世紀初頭まで遡って論ずるならば、そもそも南米諸…