『捕鯨図識』が面白い。 読んでそのまま字の如く、クジラという、地球最大の哺乳類につきあれこれ綴った本である。 (Wikipediaより、ザトウクジラ) 著者の名前は藤川三渓、讃岐の人、文化十三年の生まれ。黒船来航前後から藤森天山・大橋訥庵等々の「勤皇の志士」と交わりはじめ、思想的影響を大いに蒙り、幕末の動乱に際しては「龍虎隊」なる一種の農兵部隊を組織して「熱誠」を顕そうとした。 奔走家といっていい。 が、そうした態度が逆に藩の忌むところとなり、ほどなく立場を失って、牢にぶち込まれている。 物理的な必然性を伴って改革者に付き纏う、反動現象であったろう。 龍虎隊を編成し、その指揮官に就いたのが文久…